米国株は新型ウイルスの試練に耐えられるか?
米国ウィークリー2020年2月18日号
- 米国企業は10-12月期決算を乗り越えたように見える。ファクトセットの「Earning Insight」によれば、2/14時点でS&P500株価指数構成企業の77%が決算発表を終えた中、利益実績および未発表企業の利益予想を合算したベースの純利益が前年同期比0.7%増となった。昨年末時点の予想が同1.7%減だったが、2018年10-12月期以来4四半期ぶりに増益に転換した。更に、2020年1-3月期の利益予想は2/14時点で同2.1%増と増益率が加速する見通しである。
- 先週の米国株市場はダウ工業株30種平均株価(NYダウ)が2/12に29,568ドルの史上最高値を付けるなど堅調に推移した。時価総額の名目GDPに対する比率(バフェット指数)が156%に達していること、およびS&P500株価指数における12ヶ月後の予想EPSベースでの株価収益率(PER)が18.9倍と過去の5年または10年移動平均から見て割高であることなどから、米国株がバブルと言われる水準まで買われ過ぎている点を指摘する声が強まっている。しかし、企業業績の増益基調が維持される限り、将来の期待を先取りすることで株価指数が高値更新をすることが正当化される余地が出てくるかも知れない。
- その一方、新型コロナウイルスの感染拡大が短期的に終息するのかに関する不透明感が拭えず、欧州やアセアンでは景気後退懸念が強まり、コモディティ市場でも商品価格の低迷が目立ち始めた。ユーロドルは2/14に2年10ヵ月ぶりの安値である1ユーロ1.08277ドルを付けるなど米ドルへの資金シフトが進んだ。米国株の中でも、NYSE FANG+指数が2/4に対S&P500株価指数比率で2018/6の過去最高倍率を超える1.112倍を付けるなど、マイクロソフト(MSFT)、アップル(AAPL)、アマゾン・ドットコム(AMZN)、グーグルのアルファベット(GOOGL)の4銘柄を指す「MAGA」株への資金シフトが進んでいる。新型コロナウイルスの感染拡大に伴いリスクに汚染されたグローバル投資マネーが居場所を見失い、リスク資産の中でも相対的に有利と見られる巨大ITプラットフォーマー銘柄を「ラストリゾート」と位置付け、資金逃避を加速させている面があるのかも知れない。
- 米国ではインフルエンザにより2019/10以来12,000人が死亡したことが伝えられた。保険に入れず薬代が高額なために支払えない人がいることと死者数増を関連付ける話も聞かれる。今後、ウイルス感染への対応として国民皆保険を柱としたヘルスケア改革の必要性を訴える声が強まる可能性があろう。大統領選で民主党のサンダース候補が優位となっても不思議ではないだろう。
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(2/14現在)
主な企業決算の予定
●2月18日(火):コンチョ・リソーシズ、デボン・エナジー、ダイヤモンドバック・エナジー、エクストラ・スペース・ストレージ、ボルネード・リアルティー・トラスト、ベリスク・アナリティクス、アジレント・テクノロジー、アメリカン・ウォーター・ワークス、メドトロニック、エコラボ、ウェスティングハウスエアブレーキ・テクノロジーズ、レイドス・ホールディングス、アレジオン、バルカン・マテリアルズ、アドバンス・オート・パーツ、ウォルマート
●2月19日(水):パイオニア・ナチュラル・リソーシズ、ホスト・ホテル・アンド・リゾートリアルティ・インカム、シマレックス・エナジー、アルベマール、ウィリアムズ・カンパニーズ、エバーソース・エナジー、シノプシス、モザイク、アナログ・デバイセズ、ガーミン、ジェニュイン・パーツ、エンタジー、ディッシュ・ネットワーク
●2月20日(木):アライアント・エナジー、SBAコミュニケーションズ、キャボット・オイル・アンド・ガス、サザン、ノルウェージャンクルーズライン・ホールディングス、ニューモント、ホーリーフロンティア、LKQ、ベンタス、バイアコムCBS、ホーメルフーズ、ヘンリーシャイン、テレフレックス、アメリカン・エレクトリック・パワー
●2月21日(金):ピナクル・ウエスト・キャピタル、ディア
●2月24日(月):インテュイット、キーサイトテクノロジーズ、HP、ONEOK、バークシャー・ハーサウェイ
主要イベントの予定
●2月18日(火)
・米NAHB住宅市場指数 (2月)、対米証券投資 (12月)、ニューヨーク連銀製造業景況指数 (2月)
●2月19日(水)
・米アトランタ連銀総裁の講演、米クリーブランド連銀総裁の講演、米ミネアポリス連銀総裁の講演、米ダラス連銀総裁の講演、米リッチモンド連銀総裁の講演
・米FOMC議事要旨(1月28、29日開催分)
・米大統領選挙、民主党指名争う候補者による討論会(ネバダ州)
●2月20日(木)
・米リッチモンド連銀総裁の講演
・米新規失業保険申請件数 (2月15日終了週)、米景気先行指標総合指数(1月)、フィラデルフィア連銀製造業景況指数(2月)
●2月21日(金)
・米大統領選、ネバダ州党員集会(民主)
・G20財務相・中央銀行総裁会議(リヤド、23日まで)
・米中古住宅販売件数(1月)
●2月24日(月)
・シカゴ連銀全米活動指数(1月)、ダラス連銀製造業活動(2月)
(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
本レポートの発行元:フィリップ証券株式会社〒103-0026 東京都中央区日本橋兜町4番2号
TEL:03-3666-2101 URL: http://www.phillip.co.jp/
本レポートの作成者:フィリップ証券 リサーチ部
公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員 国際公認投資アナリスト 笹木和弘
公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員補 増渕透吾
当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。フィリップ証券は、レポートを提 供している証券会社との契約に基づき対価を得ております。当資料に記載されている内容は投資判断の参考として筆者の 見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身 の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害につ いても責任を負いません。当資料の一切の権利はフィリップ証券株式会社に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じま す。
<日本証券業協会自主規制規則「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則平14.1.25」に基づく告知事項> 本レポートの作成者であるアナリストと対象会社との間に重大な利益相反関係はありません。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
こんなに豊富?IG証券のCFD銘柄は17,000以上
外国為替、日本株・外国株、株価指数、債券先物、商品(エネルギー、農産物、貴金属)など多彩な資産クラスをFX取引、CFD、バイナリーオプション、ノックアウト・オプションで提供
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。