米金利の低下とインフレ動向に対する思惑 / ドル円とユーロドルのチャートポイント
米債市場ではインフレに対する思惑が揺れている。今後のインフレについては雇用市場と資源価格の動向に左右されよう。米金利の動きはドル円のトレンドに影響を与え続けよう。ユーロドルはECBイベント後の動きが焦点に。上下のチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
米金利の低下とインフレ動向に対する思惑
【サマリー】
・米金利の低下とインフレ動向に対する思惑
・ドル円は重要チャートポイント125.85を突破し、高値126.31レベルまで上昇
・ドル円 上下のチャートポイントについて
・ユーロドルはECBイベント後の動きが注目
・米金利の低下とインフレに対する思惑
この日発表された3月の米生産者物価指数(PPI)は、前年同月比で11.2%上昇。前年同月比の集計が始まった2010年11月以降で最大の伸びとなった。
しかし、米債市場では各年限の利回りが低下した。調整の米債買いによる一時的な利回りの低下なのか、それとも米インフレがピークを付ける可能性を意識した動きなのか?については、今後の展開を確認する必要がある。
後者の状況が意識され始めているとしても、アメリカのインフレ動向は引き続き雇用市場と資源価格の動向に左右されるだろう。
期待インフレ率の推移を確認すると、5年と10年のそれらには頭打ち感が出ている。一方、1年先の期待インフレ率は高止まりの状況が続いている。
今後の雇用市場や資源価格の動向次第で、インフレのピークアウトに対する思惑は揺れ動くことが予想される。
期待インフレ率のチャート:5年 / 10年
期待インフレ率のチャート:1年
ドル円のチャートポイント
・ひとまず126.30レベルが新たなレジスタンスポイントに
米金利の低下でドル円(USDJPY)は、欧州タイム序盤に付けた高値126.31レベルから125.33レベルまで反落する展開となった。
日足ローソク足のかたちは上影陽線。そして12日のローソク足は十字線のかたちだった。これらの形状は、上昇の圧力がひとまず後退する可能性を示唆している。
米インフレのピークアウトの可能性を指摘する声が聞かれ始めていること、そして国内サイドから行き過ぎた円安に対するデメリットの報道が見られることも考えるならば、目先のドル円は、126.30レベルがひとまず新たなレジスタンスポイントとして意識される可能性がある。
・下値は10日線の維持が焦点に
ドル円(USDJPY)が反落する場合、目先の焦点は10日線(EMA)の維持となろう。この移動平均線は今日現在、124.40レベルで推移している。米金利の低下や円安けん制などで125.00を下方ブレイクする場合は、10日線を視野に一時的にせよ下落幅が拡大する展開を想定しておきたい。
一方、ドル円の上昇トレンドが続き126.30レベルをあっけなく突破する場合は、126.50および127.00といった水準を突破するかどうか?これらの点に注目したい。
ドル円のチャート
ユーロドルの焦点とチャートポイント
・ECBイベント後の動きに注目
ユーロドル(EURUSD)は1.08の維持に成功するも、上値の重い状況は変わらず。今日は欧州中央銀行(ECB)イベント後の動きに注目したい。
今回のECB理事会では、大きな政策転換はないだろう。しかし、年内の利上げに関する市場の関心は高い。短期金融市場では、現在マイナスの状況にある中銀預金金利が、今年12月にプラスになる可能性を織り込む動きが見られる。
ウクライナ紛争の長期化を考えるならば欧州経済への悪影響は避けられず、ゆえにECBが早期の政策転換を実行できるかどうかは不透明な状況にある。それでも今日のECBイベントを含め、ラガルド総裁が高インフレのリスクに対応するために早期の政策転換に含みを持たせるならば、単発的なユーロ買い要因となることが予想される。
・上下のチャートポイントは変わらず
ユーロドル(EURUSD)のチャートポイントだが、下値は1.08レベル、上値は21日線(MA)および短期レジスタンスラインで変わらず。21日線は今日現在、1.0976レベルで推移している。一方、短期レジスタンスラインは1.1090台で推移している。ECBイベントでユーロ買いとなっても、これらテクニカルポイントを完全に突破できない限り、1.08トライの可能性を意識しておきたい。
一方、ECBイベント後にユーロドルが1.08トライ&ブレイクする場合は、フィボナッチ・プロジェクション61.8%の水準1.0757レベルの攻防となるかどうか?この点に注目したい。
このテクニカルポイントをもあっけなく下方ブレイクする場合は、1.07トライを想定しておきたい。
ユーロドルのチャート
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