根強い米金利の先高観 / ユーロドル 目先の焦点とチャートポイント
米金利の先高観は根強い。今後も米金融引き締め政策を意識した上昇トレンドが続くことが予想される。期待インフレ率の急低下が示唆する事とは何か?目先のユーロドルの注目ポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
根強い米金利の先高観
【サマリー】
・米金利の上昇は一服するも先高観は根強い
・期待インフレ率の急低下が示唆すること
・ユーロドル 目先の焦点とチャートポイント
・根強い米金利の先高観
昨日の米国株式市場では主要3指数が続落した。一方、NY金は上昇した。リスク回避の動きを受け、米債市場では2年債利回りと10年債利回り(長期金利)の上昇が一服した。しかし、2年債利回りは1%台の維持に成功し、長期金利は一時1.9%まで上昇する局面が見られた。一方、短期金融市場では、今年4回の利上げ予測が織り込まれ始めている。これらの状況は、米金利の先高観を示唆している。
米金利のチャート
・期待インフレ率の急低下が示唆すること
米債利回りの上昇は、実質金利のマイナス幅縮小を促す要因となっている。米金融政策が引き締め局面にあることを考えるならば、米債利回りは上昇トレンドを維持するだろう。よって、実質金利のトレンドを予測する上で今後注視すべきは、期待インフレ率の動きである。
12月小売売上高と1月ミシガン大学消費者信頼感指数がともに市場予想を下回った14日に、1年先の期待インフレ率は急低下した。
個人消費関連指標の落ち込みは、オミクロン株の悪影響によるところが大きいだろう。しかし、高インフレが影響した可能性もある。今はその影響が限定的だとしても、インフレの高止まりが続けば、今後の個人消費に悪影響を及ぼすだろう。個人消費はアメリカ経済のエンジン役であり、ここが減速すれば景気拡大のスピードも鈍化するだろう。ゆえにインフレ期待も後退しよう。1年先の期待インフレ率の急低下は、上述の点を懸念しての動きと考えることができる。
また1年だけでなく、5年と10年の期待インフレ率も昨年11月中旬から緩やかな低下基調にある。一方、パウエルFRBの政策転換が意識され米債利回りは上昇トレンドにある。これらの動きを考えるならば、今後も実質金利はマイナス幅の縮小トレンドを維持することが予想される。
現在の実質金利の動きが続けば、米ドル相場をサポートしよう。一方、米国株にとっては下落リスクの要因となる。
米期待インフレ率のチャート
ユーロドル 目先の焦点とチャートポイント
・ユーロドルの買い戻し要因
昨日は、ドイツの10年債利回り(長期金利)がプラス圏へ上昇する局面が見られた。2019年5月上旬以来のプラス圏浮上である。
ドイツ債利回りの上昇に加えて、短期金融市場では欧州中央銀行(ECB)による今年後半の利上げを織り込み始めている。これら一連の動きは、ユーロ相場のサポート要因である。
しかし現在、市場の焦点はパウエルFRBの政策動向に集中している。米金利の上昇幅が拡大傾向にあることも考えるならば、欧州債市場の動きはユーロを買い戻す要因とはなっても、上昇トレンドを形成するインパクトはないと予想する。
・ユーロドルのチャートポイント
上述したドイツ債利回りの動きは、昨日のユーロドル(EURUSD)をサポートする一因になったと思われる。しかし、21日線(EMA)で相場の戻りが止められた。よって、本日もユーロドルが反発する場合、2まずは21日線の攻防が焦点となろう。
米債の利回り以上にドイツ債の利回りの上昇幅が拡大する局面では、21日線の上方ブレイクと1.14台への再上昇を想定したい。だが、89日線(EMA)がレジスタンスラインとして意識された直近の経緯を考えるならば、この移動平均線で反落するリスクを警戒しておきたい。
一方、ユーロドルが反落する場合は、短期サポートラインの攻防が焦点となろう。このラインを下方ブレイクする場合は、昨年12月下旬以降サポートとして意識されている1.1270-80レベルのトライを予想する。1.1270-80レベルをも下方ブレイクする場合は、1.1220-30レベルが次の焦点として浮上しよう。いずれの水準も相場をサポートした経緯がある。
ユーロドルのチャート
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