為替介入の影に戦々恐々 150円台で円高突風 経済指標前に緊張感
円高急進は政府の為替介入の可能性を感じさせた。アメリカの雇用統計やCPIの発表を前に緊張感が高まっている。
ドル円相場でドル高基調が続いている。3日のニューヨーク市場では1ドル=150円台突入後、一気に約2.8円の円高が進行する場面があったが、その後の相場は149円台前半で推移。米国経済の底堅さを材料として、長期金利(10年物米国債利回り)の上昇が続く中、日米の金利差を意識した円売りドル買いの流れに変化は出ていないようだ。ただし日本政府は急速な円安に警戒を強めており、3日の円高急進は為替介入の可能性も感じさせる。今後、米国の経済指標を受けてドル高圧力が増す可能性もあるが、政府の介入も意識した緊張感も消えていない。
ドル円相場は1ドル=150.16円到達後、2.8円の円高進行
3日のドル円相場(USD/JPY)は大きな値動きに見舞われた。8月の雇用動態調査(JOLTS)が米国経済の過熱感を示したと受け止められると、1ドル=149円台後半で推移していたドル円相場では一時、150.16円まで円安ドル高が進行。すると一気に円買いドル売りの圧力が強まり、147.37円まで円高ドル安が進んだ。1日の値幅は2.79円で、1円未満の値動きが続いていたこのところの静かさが一転した形となった。
しかしドル円相場は147.37円をつけた数分後には149円台まで回復した。翌4日の値幅は0.4円にも満たない状況で、相場は再び静かさを取り戻している。米国経済の強さが物価上昇圧力につながるとの見方から、長期金利は約16年2か月ぶりの水準となる4.8%台に達しており、日米の金利差を材料視した、円を売ってドルを買う流れは揺らいでいないとみられる。
日本政府は介入の有無についてコメントせず
ただしドル円相場をめぐる緊張感は消えていない。3日の円高急進が日本政府の為替介入の結果だとすれば、これまで進んできた円安ドル高に政府が強い不満を示したといえるからだ。財務省の神田真人財務官は4日、報道陣に対して為替介入の有無について「コメントを控える」としつつ、「一方的な動きが積み重なり、一定期間に非常に大きな動きがあった場合も過度な変動にあたる」と述べた。ドル円相場は1月の安値(127.21円)との比較では約23円も円安が進んでおり、政府として為替介入も排除しない姿勢で臨む構えだ。日本政府は2022年9月と10月に為替介入を行っている。
アメリカ雇用統計やCPIの発表を控え緊張感
一方、今後も米国経済の強さを示す経済指標が発表されればドル高圧力が増す可能性がある。6日には米国の9月の雇用統計、12日には8月の消費者物価指数(CPI)といった米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を左右する経済指標の発表が予定されており、再び相場が揺れる可能性もありそうだ。3日の円高急進は短期的な動きだったとはいえ、ドル買いのポジションを持っていた投資家には大きな損失が出たとみられ、ドル円相場では米国の経済指標と日本政府の介入姿勢の両方をにらみながらの緊張感が高まっている。
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