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為替介入への警戒最大級に ドル円値幅1年半ぶり小ささ 嵐の予兆か

ドル円相場が1ドル=150円台に迫り、1日のボラティリティが縮小している。為替介入があれば値動き復活の可能性も。

出所:ブルームバーグ

外国為替市場のドル円相場で政府の為替介入への警戒感が最大レベルに達している。ドル円相場が1ドル=150円の節目に迫る中、1日の値動きは大幅に低下。値幅が1円を下回る状況が続き、相場の静かさは1年半ぶりの水準といえる。足元の為替相場は2022年10月に為替介入が行われたレベルにも近く、急激に円高ドル安が進行する可能性がこれまでのドル高の流れを抑え込んでいるようだ。ただし前回の介入後のドル円相場では、大きな値動きを伴いながら円高ドル安が一気に進んだだけに、現在の値動きの小ささは嵐の前触れとみることもできそうだ。

ドル円相場の1日の値幅は1円未満が続く

ドル円相場(USD/JPY)は28日のニューヨーク市場の取引が1ドル=149.29円で終了。3日連続の149円台で、円安ドル高圧力の強さを感じさせた。しかしこのところのドル円相場は値動きの小ささも目立ち、28日の値幅は0.5円という小ささ。直近10営業日の平均でみれた値幅は0.7円となり、15日以降の10日連続で1円を下回る水準が続く。値幅の10営業日移動平均が10日以上連続して1円未満となるのは、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを始めた直後の2022年3月下旬以来となる。

ドル円相場と1日の値幅水準の推移

値動きが小さくなっているのは、円安ドル高の流れと日本政府による円買い介入への警戒感が均衡しているためだ。ドル円相場ではアメリカ経済の底堅さを背景にして、円安ドル高の流れが続く。一方、日本政府は2022年9月22日に24年ぶりの介入を実施し、急激な円安進行を阻止する姿勢を強調。その後10月にも2度にわたって為替介入を行った。現在のドル円相場の水準は節目となる150円台や、10月の介入が行われた151円台が視野に入っており、投資家の円高急進に対する警戒感は強い。

2022年10月の介入後は値動きが大きく復活

ただし足元の値動きの小ささは嵐の前触れとみることもできる。値幅の10営業日移動平均は、10月の介入直前にも1を割り込む状況が続いたが、介入1日目の10月21日の値幅は5.75円。週末を挟んだ2日目(24日)の値幅は4.08円で、大荒れの展開となっている。その後のドル円相場では、11月に発表された米国の消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことや、12月に日本銀行が長期金利の変動幅を拡大したことなどが材料となって、大きな値動きを伴いながら円高ドル安が進んだ。2023年1月中旬には1ドル=127円台をつけている。

財務省の神田真人財務官や鈴木俊一財務相はこのところ、足元の円安ドル高について「あらゆる選択肢を排除しない」と口先介入を繰り返しており、日本政府としても緊張感を高めている。今後も政府による介入のタイミングや、その後の値動きの見通しをにらんだ神経質な相場展開が続きそうだ。


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