ドル高が息切れか ドル円再び149円台 日銀の金融政策の行方は?
7月中旬以降のドル高にブレーキがかかった。長期金利低下が要因で、今後は日銀の金融政策の行方の重要性が増す。
ドル円相場で進んできたドル高に息切れの兆しが出ている。ドル円相場は7月以降、1ドル=151円台までドル高方向に駆け上がってきたが、10月末以降に2度あった152円台に向けた上昇はいずれも失速。17日のニューヨーク外国為替市場での取引は1ドル=149円台で終わった。ドルの他通貨に対する強さを示すドルインデックス指数も11月に入ってから下落が加速しており、ドルの強さに陰りが出ている形だ。背景には米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが打ち止めになったとの観測があり、今後は日本銀行の金融政策の行方の重要性が増しそうだ。
ドル円相場は1ドル=149円台に
17日のニューヨーク市場のドル円相場(USD/JPY )の終値は1ドル=149.62円。前日比1.09円のドル安水準で、2日前との比較では1.73円もドル安が進んだ。ドル円相場は10月31日には一時、151.74円というドル高水準をつけたが、11月3日発表の雇用統計で労働市場の過熱緩和が示されると、149円台前半まで後退。その後、13日には改めて151.92円までドル高になったものの、今度は14日発表の消費者物価指数(CPI)で物価上昇減速が示され、再びじわじわと149円台までドル安方向に動いた形だ。
また、ドル高の失速はドルインデックス指数(DXY)の値動きでも鮮明だ。ドル指数の17日の終値は103.92で、8月31日(103.62)以来、約2か月半ぶりの低さ。11月1日には106.88をつけていたが、やはり雇用統計とCPIを経て、約2.8%の下落に見舞われた。
背景にあるのは米国の長期金利(10年物米国債利回り)の低下だ。17日のニューヨーク外国為替市場での長期金利の終値は4.441%。10月下旬に一時、5.021%をつけたことを考えれば、1か月も経たないうちに0.58%ポイントも下がっている。長期金利の4.4%台は依然として16年ぶりの高水準ではあるが、5%を超えて上がり続けるという筋書きは見えにくくなってきた。
アメリカFRB幹部から利上げへの慎重論
長期金利の低下はFRBの利上げが打ち止めになったとの見方が後押ししている。サンフランシスコ連銀のメアリー・デイリー総裁は17日にドイツでのイベントに登壇し、米国の物価や経済成長の先行きは見通せないと強調。経済が危機的な状態にある場合は中央銀行が迅速な対応を取ることが重要だが、現在は「待つという大胆さ」が必要だと述べた。FRBは7月を最後に利上げを見送っており、12月12、13日の連邦公開市場委員会(FOMC)でも政策金利の据え置きが確実視されている。
一方、7月中旬以降のドル円相場でのドル高は、日本銀行の植田和男総裁の「ハト派」姿勢も大きく影響してきた。日銀として長期金利上昇を容認しつつも、植田氏は賃金と物価が並行して上がっていく好循環の達成には確信が持てないとして、大規模金融緩和を維持する立場を強調している。24日発表の日本の10月CPIで物価上昇の減速が感じられれば、マイナス金利撤廃などの大規模金融緩和修正期待が後退し、息切れしてきたドル高を元気づかせる要因として働く可能性もありそうだ。
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