日銀、次はマイナス金利修正? 円安再び大台円目前 米国物価は減速せず
ドル円相場は再び150円台目前に。アメリカの物価動向が円安ドル高圧力となる中、日銀のマイナス金利修正も予想されている。
ドル円相場が改めて円安ドル高方向に振れている。アメリカで12日に発表された9月の消費者物価指数(CPI)は総合指数の伸び率が8月と変わらず。物価上昇圧力が根強いと受け止められ、ドル円相場では150円台目前まで円安ドル高が進んだ。急速な円安進行を懸念する日本政府にとっては引き続き、気の抜けない状態が続く。こうした中、一部では、日本銀行が円安けん制も念頭において、10月末の金融政策決定会合でマイナス金利修正に向けた布石を打ち始めるとの見方も出ている。
アメリカの9月のCPIは8月から減速せず
ニューヨーク外国為替市場のドル円相場(USD/JPY)は12日、1ドル=149.80円で取引を終えた。前日比で0.65円の円安ドル高だ。ドル円相場は中東情勢の不安定化や米連邦準備制度理事会(FRB)幹部らの利上げ打ち止め示唆発言を背景に、10日には148.15円まで円高方向に動いていたが、再び150円台目前まで円安ドル高が進んだ形になった。
相場を動かしたのは12日に発表された9月のCPIだ。総合指数の伸び率は前年同月比3.7%で、8月と同じ数字。CPIの発表を受けた12日の長期金利(10年物米国債利回り)の終値は前日より0.114ポイント高い4.711%となった。FRBが物価上昇を抑えるために政策金利を高止まりさせるとの見方が、円を売ってドルを買う流れにつながっている。
一方、9月のCPIでは、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率が4.1%となり、事前予想通り8月(4.3%)から減速した。コア指数から家賃を除いた指数の伸び率も2.0%まで下がっており、基調としての物価上昇率の低下もうかがわせている。ただ、総合指数は事前予想では3.6%への減速が見込まれていただけに、物価上昇圧力の根強さとして受け止められたようだ。
日銀のマイナス金利撤廃に向けた動きを予想する声も
こうした中、金融市場では日銀の動きに注目が集まる。BNPパリバ証券の河野龍太郎氏は6日のレポートで、今後数週間、円安が止まらない場合、日銀が大規模金融緩和のさらなる修正へ動き出す可能性があると分析。10月30、31日の決定会合で、「12月や1月会合でのマイナス金利政策の撤廃の可能性を示唆するかもしれない」とした。同時に、日本の長期金利が上振れる事態に備え、日銀が定める長期金利の上限を1.5%に引き上げる可能性もあるとしている。
また、第一生命経済研究所の藤代宏一氏も9月28日のレポートで、「為替が急激に円安に振れるなどすれば、日銀が対応を迫られる可能性は否定できない」として、2024年前半のマイナス金利撤廃を予想している。
次は日銀の金融政策がドル円相場を左右か
日本政府は2022年10月にドル円相場が151円台に突入すると為替介入を実施。その後、11月になってアメリカで発表された10月のCPIが予想を下回る結果となり、2023年1月中旬につけた127円台に至る円高ドル安の流れが始まった。しかし今回は150円台目前になってもドル高圧力は弱まっておらず、日銀の金融政策修正が円安是正に向けた次の一手となる可能性がある。
FRBの金融政策に関しては、10月31日から11月1日までの連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げを見送り、12月会合まで経済情勢を見極めるとの見方が有力。今後は物価上昇が続く中でも大規模金融緩和を続け、円安に直面している日銀の胸の内をめぐり、ドル円相場が動く局面も出てきそうだ。
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