米CPI、9月減速予想 12日発表 S&P500上昇後押しも
12日発表のアメリカのCPIは伸び率が下がる見込み。FRB幹部発言で金利が下がる中、SP500上昇の可能性も。
アメリカで12日に発表される9月の消費者物価指数(CPI)は上昇率の低下が見込まれている。食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は2年ぶりの低さになる予想で、物価上昇抑制を目指す米連邦準備制度理事会(FRB)にとって朗報だ。FRB内からはこのところ、利上げ打ち止めを示唆する声も出ており、長期金利(10年物米国債利回り)の低下につながっている。S&P500種株価指数は10日に1か月半ぶりの3営業日続伸を記録しており、9月のCPIの結果がさらに上昇を後押しする可能性もある。
アメリカの9月CPIはコア上昇率が4.1%に低下予想
9月のCPIは労働省が12日午前8時30分(日本時間12日午後9時30分)に発表する。ロイター通信のエコノミスト調査によると、総合指数の伸び率は前年同月比3.6%で、8月の3.7%から低下する見込み。コア指数の伸び率は4.1%となり、こちらも8月(4.3%)から物価上昇が減速する見通しだ。予想通りになれば、コア指数の伸び率は2021年9月(4.0%)以来の低さとなる。
FRBは物価上昇の抑制を目指し、2022年3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げに着手。2023年6月と9月は利上げを見送ったものの、9月の経済見通しでは2024年も政策金利を高止まりさせる方向性を示している。FRBの姿勢は金利の先高観につながり、長期金利は8月以降、4%台で推移。10月3日には16年2か月ぶりの高さとなる4.802%まで上昇した。
FRB幹部の利上げ打ち止め示唆発言で長期金利が低下
一方、こうした金利水準の上昇を背景にして、FRB幹部からは利上げ打ち止めを匂わせる発言が出ている。ダラス連銀のローリー・ローガン総裁は9日の講演で、金利水準の上昇には経済を冷やす効果があることを踏まえ、「(FRBが)追加的な金融引き締めを行う必要性が薄れる」と言及した。またFRBのフィリップ・ジェファーソン副議長も9日に「必要とされる追加利上げの度合いについて慎重に検討する状況にある」と述べている。
これらの発言を受けてニューヨーク債券市場では、3連休明けにあたる10日の長期金利の終値が4.655%となり、前週末から0.127ポイント低下した。7日にイスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃し、イスラエルも大規模な反撃に出ていることで中東情勢が不安定化していることも、安定資産である米国債が買われて値上がりし、利回りが低下する流れにつながったもようだ。
金利水準の高さが重荷になってきたS&P500(SPX)の10日、3営業日続伸し、終値は前日比0.52%高。3日間の上昇率は2.35%となった。3営業日続伸は8月下旬以来で、9月に4.9%下落したS&P500に久しぶりの追い風が吹いたようにもみえる。
中東情勢は引き続き見通しがつかない状態で、金融市場をとりまく環境は複雑さを増している。こうした中でも、9月のCPIが物価上昇の減速を感じさせれば、FRBの利上げ打ち止め観測が広がり、株式市場に楽観的な見方が広がる可能性もありそうだ。
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