S&P500の上昇続く? FRB再びタカ派か 物価上昇減速わずか
13日のパウエル議長の会見はタカ派の可能性。アメリカの株価の先行きはマグニフィセント・セブン以外の強さが注目される。
年初来高値の更新を続けているS&P500種株価指数が持続性を試されている。12日に発表されたアメリカの11月消費者物価指数(CPI)は物価上昇の減速がわずかにとどまる結果。13日に予定されている連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の会見は再び政策金利の高止まりを強調する「タカ派」のトーンになる可能性がある。この場合は金利水準低下が底打ちし、大手ハイテク株が引っ張ってきた株価上昇の逆風になるおそれもありそうだ。S&P500の先行きを占う際には、力強い株価上昇が大手ハイテク株以外にも広がっていくかが注目点のひとつになる。
アメリカのS&P500は史上最高値まであとわずか
S&P500種(SPX)の12日の終値は前日比0.46%高の4643.70。3営業日連続で年初来高値を更新し、2022年1月3日の史上最高値(4796.56)まで約153ポイントに迫った。上昇の要因は11月CPIの結果だ。総合指数の伸び率は前年同月比3.1%で、10月の3.2%から低下。食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率も4.0%となり、10月(4.1%)から下がった。いずれも事前予想通りの結果で、米国経済の最大の課題である物価上昇の落ち着きが続いていることが投資家を安心させたとみられる。
ただ、株式市場の好反応は10月CPI発表時ほどではなかった。10月CPIは総合指数の伸び率が前月の3.7%から3.2%まで大幅に低下。発表があった11月14日のS&P500は1.91%上昇した。これに対して11月CPIの物価上昇減速は小幅といえ、S&P500の上昇も比較的小さかったといえる。長期金利(10年物米国債利回り)は4.206%で12日の取引を終え、金利の大きな低下はみられなかった。
パウエル議長はFOMC後会見でタカ派にシフトか
最新の物価動向を受けて、パウエル氏は13日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で軸足をタカ派寄りに移す可能性がある。11月CPIの結果は、FRBが目標とする物価上昇率2%にたどり着くまでの道のりが容易ではないこと感じさせたからだ。FOMCは利上げ見送りが確実視されているが、パウエル氏が記者会見でFRBが来年春にも利下げに踏み切るとの金融市場の過剰な期待を牽制することが想定される。パウエル氏は前回11月1日のFOMC後会見では、夏場の物価上昇率の低下を前向きに評価して「物価上昇は明らかに冷えてきている」と述べるなどし、S&P500反転の下地をつくっていた。
アメリカのマグニフィセント・セブンは頭打ち
こうした中、今後のS&P500の先行きは相場を引っ張ってきた大手ハイテク株の息切れを他の銘柄がカバーできるかにかかってきそうだ。半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)など「マグニフィセント・セブン」とも呼ばれる大手ハイテク株7銘柄は11月中旬以降は株価上昇が頭打ちになった。長期金利の低下ペースが弱まってきていることが背景だ。パウエル氏がタカ派姿勢を強調した場合、長期金利には上昇圧力がかかり、大手ハイテク株の逆風になることも考えられる。
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