米株次第のドル円相場
米株の不安定化が続き、ドル円のボラティリティ(1週間)は12%台まで上昇中。リスクリバーサルは再び低下しています。米株が落ち着かない限り、ドル円は下値トライを意識すべきフェーズにあることが昨日の動向で確認できました。不透明感が高まる中での目先の焦点は?
焦点は米指標データと米株の動向
現在、投資家心理は上下に大きく振れている。トレンドのけん引役である米国株式市場では、ダウ平均が1,000ドル前後で上下に振れる不安定な相場が続いている。ベンチマークであるS&P500指数のボラティリティ(=20日間の標準偏差を年率換算した値)を確認すると、36%台まで上昇中。この水準は欧州債務危機が意識されていた2011年後半以来の高水準である。
「ボラティリティの高止まり→先行き不透明感のさらなる高まり→不安定な相場」というサイクルを脱するきっかけとして注目されるのが、良好な米指標データである。本日は2月の米雇用統計が発表される。総じて市場予想を上回る場合は投資家心理の一時的な改善要因となり、米株の反発を予想する。逆に市場予想を下回る場合は続落を警戒したい。
後者の場合、「冴えない指標データ→金融緩和の強化に対する期待→株高」というシナリオは考えられるか?この問いに対する筆者の答えはノーである。その理由は2つある。第一の理由は、FEDの緊急利下げ後、米株が下落で反応したことである。第二の理由は、追加利下げの確率と米株の反応である。短期金融市場では3月18日のFOMCで追加の利下げに踏み切る可能性を100%と織り込んできた。緊急利下げ後、6月FOMC→4月FOMC→3月18日FOMCと、急速に追加利下げのタイミングが前倒し状態となっているが、米株の不安定な値動きは続いている。金融緩和の強化によるポジティブ・インパクトよりも、新型ウイルスによるネガティブ・インパクト(=景気減速の懸念)を市場関係者が意識していることがうかがえる。よって、「冴えない指標データ→金融緩和の強化に対する期待→株高」の可能性は低いと考えている。
S&P500指数の動向
ドル円のボラティリティとリスクリバーサル
ドル円は、本日早朝に105円台へ下落する局面が見られた(安値105.96)。昨日のレポートで筆者は、リスクリバーサルの反転を理由にレンジ相場へシフトする可能性を示唆したが、米株の反落によりこの予測は外れた。今一度、ドル円のインプライドボラティリティ(1週間)を確認すると、再び上昇している。しかもその水準は12%と、2017年4月以来である(この時は111円台から108円台まで下落した)。一方、リスクリバーサルは再び低下している。米株の底固めが確認されるまで、ドル円は常に下落リスクを意識すべきフェーズにある、このことをここ数日の上下動は示唆している。
本日は米指標データとその内容を受けた米株の動向がドル円のトレンドを決定しよう。リスクリバーサルの動向を考えるならば、警戒すべきはさらなる下落である。105.50にはビッドが観測されている。良好な指標データに米株が反発で反応する場合は、昨日のNYタイム後半で上値をレジストした106.50、およびロンドンタイムにレジスタンスとして意識された107.00の攻防が焦点となろう。
ドル円のインプライドボラティリティとリスクリバーサル
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