WTI原油が大幅安、協調減産合意も需要減補えず メキシコは減産枠拒否
・メキシコ、日量40万バレルの減産枠受け入れず
・G20産油国に同500万バレルの負担求める方針
ニューヨーク原油先物相場が9日の取引で大幅に反落した。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国で成るOPECプラスが同日開いた緊急会合で、5月からの日量約1000万バレルの協調減産を決定したが、需要の縮小を補い切れないとの見方が強い。さらに、OPECプラスに参加するメキシコが減産枠を拒否したことで、日量1000万バレルの減産さえも危ぶまれる。
ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)に上場するWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の5月限は、前日比2.33ドル(9.3%)安の1バレル=22.76ドルで取引を終えた。
OPECプラスは6月まで日量約1000万バレル減産する。サウジアラビアとロシアがそれぞれ生産量を日量約850万バレルに減らし、全ての参加国が23%の生産を削減するという。
一方、7月からは減産幅を日量800万バレルに、2021年1月から22年4月までは日量600万バレルとする方針。
6月までの減産規模は、世界の供給の約10%に相当する。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の落ち込みによる需要の減少は日量2000万バレルを超えるとみられており、需要の喪失分にははるかに及ばない。
メキシコ、会合立ち去る
さらには、メキシコが自国に割り振られた日量40万バレルの減産を拒否し、会合を立ち去ったことで、OPECプラスの足並みが揃っていないことが明らかになった。
メキシコのエネルギー相はその直後にツイッターで、同国は日量10万バレルを減産する用意があると述べている。
G20エネルギー相会合
今後は主要20カ国・地域(G20)のエネルギー相による20日の緊急テレビ会合に注目が移る。議長国のサウジはロシアとともに、米国やカナダなどG20の産油国が日量500万バレルを削減することを求めるとみられる。
米国は原油安などを受けて同国のシェールオイル企業がすでに生産を削減していると表明。また、米企業は反トラスト(独占禁止)法により他社との生産調整を禁止されている。
しかし、ロシアは米国のこれまでの減産を協調減産とはみなさないと言明しており、協議が難航するのは必至とみられる。
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