グロース株(成長株)の注目銘柄5選
ヘルスケア、人工知能(AI)、クリーンエネルギーセクターにおける変革が投資家の注目を集めています。成長戦略が明確な、注目すべき成長株5選をご紹介します。各銘柄は時価総額と取引量に基づき選定されています。
グロース株(成長株)を見極めるポイント
グロース株(成長株)とは、売上高、利益、キャッシュフローの伸びが市場の平均成長率を大幅に上回る企業の株式を指し、通常この成長は株価に反映されます。成長株を発行する企業は独自の製品を開発し、最先端にいる傾向があります。このような企業は、業界の構造を変えるような革新的な製品・サービス・技術を投入することで顧客を呼び寄せ、それぞれの分野で市場シェアを獲得することを得意としています。
製薬、人工知能(AI)、クリーンエネルギーなどが革新的な変化を追い求める中で、過度な期待感が先走りしてしまうこともあります。この記事では、これまでに成長を遂げており、潤沢な資金や成長戦略を持っているグロース株5銘柄をご紹介します。
注目のグロース株(成長株)銘柄5選
ここでは、2024年に注目の成長株5銘柄を紹介します。取り上げる銘柄は、時価総額と取引量に基づいて選ばれています。また、過去の値動きは将来の株価動向を示すものではありません。
GEベルノバ(GEV)
大量の電力を消費するデータセンターの普及は、世界のクリーンエネルギー需要を押し上げています。GEベルノバはこの需要に応えるだけの技術、知見、資金力を兼ね備えている数少ないサプライヤーの一つです。
同社の前身はゼネラル・エレクトリック(GE)のエネルギー事業で、4月2日に独立した企業として事業を開始しました。売上高の約半分は再生可能エネルギーで、世界有数の風力タービンのサプライヤーでもあります。
米国ではインフレ抑制法によって税負担が大きく軽減されます。同社の米国内の陸上風力発電能力は117ギガワットと、市場シェア6割を握っています。洋上風力発電の設備容量は1ギガワットにとどまり、そのほとんどがフランスとドイツに集中しています。
ガスタービンにおいては世界シェアの45%を占めており、格付け会社のS&P グローバル・レーティングは2月、「このシェアは競合であるシーメンス・エナジー(ENR1n)と三菱パワーを合わせたものよりも大きい」としました。また、「2023年度の再生可能エネルギー事業の受注額は54%増の226億ドルと著しく好調」であり、同社は「エネルギー転換において重要な役割を果たす立場にある」と評価しています。さらには、再生可能エネルギー業界の不安定さを乗り切るための「多額の現金残高と低い負債水準」の強みがあると同社を分析しました。
GE日立ニュークリア・エナジーは同社の一部となっており、原子炉を建設しています。2024年第1四半期の原子力関連売上高は2.29億ドルのみで、陸上風力発電の10.59億ドルには及びませんでした。
マイクロソフト(MSFT)
マイクロソフトの時価総額は1月に3兆ドルを突破し、アップルを抜いて世界で最も価値のある上場企業となりました。投資家たちに人気の理由は、同社がAI分野において他社をリードしていると見られているからです。同社は2019年以来、チャットGPTを開発したオープンAIに130億ドルを投資しており、その生成AI技術をAzure クラウドコンピューティングプラットフォーム、Microsoft Office製品群、検索エンジンのBing、基本OSであるWindowsなどに組み込んでいます。
これらのAIアップグレードのメリットは、同社のインテリジェントクラウド事業に最も顕著に現れています。同事業は、2024年3月末までの3ヶ月間における売上高の43%を占めました。
同期の売上高は前年同期比17%増の619億ドルで、純利益は同20%増の219億ドルでした。
三菱重工業(7011)
中国からの脅威に対抗するため、日本政府は防衛費を増額しています。三菱重工業は主要防衛関連企業でありながら、容易に水素に切り替えが可能な先進ガスタービンや原子炉など、日本のエネルギー転換に欠かせない技術も持っています。さらに、世界の宇宙産業において日本の存在感を際立たせるために不可欠なロケットの製造から打上げまでを一貫して手掛けています。
このような事業内容と政策の一致は、同社の事業と株価にとって好材料となっています。3月31日までの1年間における受注高は前年同期比48.5%増の6.684兆円で、純利益は70.2%増の2220億円となりました。
同社の株価は年初来で61%上昇しており、5月21日には1,327円50銭で大引けとなりました。
日本製鉄(5401)
鉄鋼は成熟産業として見られることが多いですが、日本製鉄は世界のエネルギー転換と米国の産業基盤の再構築に大きなチャンスがあると見ています。
米国政府は、クリーンエネルギー、電気自動車、先進的な製造への支援や、新たなインフラの建設に1兆ドル以上を計上するとしています。これらのプロジェクトは必然的に大量の鉄を消費することから、同社がUSスチールを149億ドルで買収しようとしている理由も明らかです。
同社はUSスチールの製鉄所の先進化や環境負荷の低減に14億ドルを投じるとしており、これによって「米国産業の強靭化を果たし、中国の脅威に対抗し重要な日本との関係を強化する」としています。また、買収した場合でも社名やピッツバーグの本社は変更せず、「原料採掘から製品製造まで米国で行われるメイド・イン・アメリカであり続ける」とも述べています。
ジョー・バイデン米大統領とドナルド・トランプ元米大統領は買収案に反対していますが、USスチールの株主はこの提案を承認しました。買収が成功した場合、同社はUSスチールの製鉄所に新しい水素技術を展開できるようになり、二酸化炭素排出量を削減することで米国の気候変動目標達成に寄与します。
ノボノルディスク(NOVOb)
ノボノルディスクは、世界的に患者数が増えている肥満症と糖尿病を治療する「オゼンピック」と「ウゴービ」が成功を収めたことで一躍有名になりました。これらは「セマグルチド」という治療薬の注射で、2型糖尿病と肥満症の患者に週1回処方されます。セマグルチドはGLP-1作動薬の一種であり、インスリンの分泌を増やすことで血糖値を下げ、食欲を減らす効果があります。
同社が行ったセマグルチドの過去最大の臨床試験では、心臓発作や脳卒中を引き起こす循環器疾患による死亡率を大幅に減少させることが結論づけられました。この結果は、同社の名声と業績をさらに押し上げる可能性があります。
同社の主なマーケットは、成人の42.4%が肥満とされている米国で、オゼンピックは2018年2月、ウゴービは2021年6月に上市しました。
2018年に1118億3000万デンマーク・クローネだった売上高は、2023年にはその2倍以上に伸びています。2023年の純利益は2022年比51%増の836億8000万クローネとなり、2024年の第1四半期では前年同期比28%増の254億クローネとなりました。同社の時価総額は本社を置くデンマークの国内総生産(GDP)を超えており、5月16日時点で、首都コペンハーゲン証券取引所の時価総額の87%を占めました。
同社は、高まる自社医薬品への需要に対応できず、議決権株式の77%を保有する親会社のノボ・ホールディングスに資金援助を要請しました。ノボ・ホールディングスは2024年2月、ノボノルディスクからの配当金を充当することで、医薬品受託製造会社のキャタレント(CTLT)を約165億ドルで買収すると発表しました。この買収提案は、米規制当局によって審査されています。
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