生成AI（人工知能）関連の株式テーマの銘柄5選
AI（人工知能）は、働き方や学び方に加え、旅行、医療へのアクセス、コミュニケーションなどのあり方を革新します。この記事では、注目すべき生成AI関連株5銘柄を紹介します。取り上げる銘柄は時価総額に基づいて選ばれています。
生成AI（ジェネレーティブAI）の背景知識
AI（人工知能）業界は、機械学習、自然言語処理、ロボット工学などの進歩により、近年大きく成長しました。世間の注目を集めるのに一役買ったのは、対話形式で質問に回答できるChatGPT（チャットGPT）でした。ChatGPTは「Chat Generative Pre-trained Transformer」の略で、このようなAIはさまざまな角度から私たちの生活や働き方に変化をもたらす可能性があります。この記事では、トレーダーが生成AI時代にいかに投資できるかについて、必要な知識をご紹介します。
AIとは？
ブリタニカ百科事典では、AIを「知的生物が取り組むタスクを実行する、デジタルコンピュータまたはコンピュータ制御ロボットの能力」と定義しています。一方で、米国のエヌビディア社は、AIを「コンピュータプログラムまたは機械が、明確な命令を受けることなく、思考・学習・行動する能力」と表現しています。
生成AI（ジェネレーティブAI）とは？
IBMは生成AIを「トレーニングに使われたデータを基に、質の高い文章や画像などのコンテンツを生成することができる深層学習（ディープラーニング）モデル」と定義しています。生成モデルは統計分析に長年使われていますが、近年のディープラーニングにおける進展により、そのモデルを画像や文章などの複雑なデータタイプにも適用できるようになりました。
エヌビディアは生成AIの主な使い道を、言語、視覚、聴覚の3つに分けています。最も注目を浴びている言語ベースの生成モデルは大規模言語モデル（LLM）で、これは文章やマーケティングコンテンツの生成、コードの記述、翻訳、さらには遺伝子配列の決定にも使うことが可能です。視覚的な使い道としては、3D画像やアバター、ビデオ、グラフ、その他イラストレーションの生成があります。音楽や人の声の生成など、聴覚的な生成AIも近年発展を見せています。
オープンAIは2023年9月25日、ChatGPTに音声と画像関連の機能を追加しました。これによりユーザーは、ChatGPTと会話をしたり、モデルへの説明のために画像を使用することが可能となりました。例えば、ユーザーは冷蔵庫の中の写真をChatGPTに見せることで、夕飯の献立の提案を受けたり、そのレシピの詳細を聞いたりすることができます。
エヌビディアはまた、生成モデルが成功するためには、品質、多様性、スピードが必要だとしています。
トレーダーはどのようにしてこの革命的な技術に投資すればいいのでしょうか。純粋な生成AI銘柄は非常に限られていますが、多くの名だたる企業がAI技術を利用し、生成AIに対して投資しています。
注目の生成AI（ジェネレーティブAI）関連株5選
ここでは、注目すべきAI関連銘柄を5つご紹介します。価格と株価推移は2024年5月20日時点の引用です。過去の値動きは将来の株価動向を示すものではありません。
Reddit（RDDT）
Reddit（レディット）は関心別に集められたオンラインコミュニティを支えるウェブサイトを運営しています。毎日、8200万人以上のユニークユーザーが、10万以上のアクティブなコミュニティでやりとりをしています。
同社は5月16日、オープンAIとの提携を発表しました。これにより、同社はオープンAIのAI技術を活用し、ユーザーやモデレーター向けの新機能やツールを作ることができるようになります。また、同社のコンテンツがオープンAIのChatGPTや新製品に使用されることで、ユーザーは新たなコミュニティを発見し、やり取りをすることが可能となります。この提携により、オープンAIは同社の広告パートナーとなります。
発表を受け、同社株は5月17日に10％上昇しました。投資家はこの提携が広告収入を押し上げることを期待しています。
同社の株価は2024年3月21日の上場以来、25.3％上昇しています。
アルファベット（GOOGL）
2023年8月31日に時点で、アルファベットは時価総額世界第4位の企業でした。同社は生成AIをGoogle Cloud（グーグルクラウド）やビジネス向けのWorkspace（ワークスペース）など、さまざまなサービスに展開しています。
例えば、同社のGemini（ジェミニ）を利用することで、ユーザーはGoogle AIの大規模言語モデル（LLM）にアクセスできるようになり、文章やリストの作成、計画の立案、新しい知識の習得などを行えます。また、Firebase（ファイアベース）はGeminiのAPIを使い、アプリケーションに機能を追加できる開発プラットフォームです。Project IDX（プロジェクト IDX）はAIによるコードの記述を可能にし、Studio Bot（スタジオボット）ではAIがコーディングを支援します。
同社の株価は、年初来で26.7％上昇しています。
マイクロソフト（MSFT）
マイクロソフトは全世界で22万1000人の従業員を擁する、世界有数の最先端技術企業です。ソフトウェア、クラウドサービス、デバイスの営業・マーケティングを行っており、AIが今世紀最大の技術と見て多額の投資を行っています。
同社はオープンAIと長期的なパートナーシップを結んでおり、2019年と2022年に続き、2023年1月にはオープンAIに100億ドルを出資しました。この提携により、スーパーコンピューティングシステムを開発してオープンAIのAI研究を加速させ、その結果得られた高度なAI技術を商業化することを目的としています。また、同社はオープンAIのモデルを家庭用および企業向けの製品に組み込む予定です。
同社のAzure OpenAI Service（アズール・オープンAIサービス）はLLMを展開、カスタマイズ、ホスティングするクラウドソリューションであり、GPT-4モデルと画像生成モデルのDALL-E（ダリ）をサポートしています。また、最近ではAzure上で、オープンAIが開発した最新型モデルのGPT-4oのプレビューを開始しました。この新モデルは、テキスト、画像、音声を組み合わせることで、顧客サービスの強化、先進的アナリティクス、コンテンツのイノベーションなど、ビジネスに多くの可能性をもたらします。
同社の株価は、年初来で13.5％上昇しています。
アドビシステムズ（ADBE）
アドビは世界に28,000人の従業員を要する、グローバルソフトウェア企業です。ソリューションとして、Adobe Creative Cloud（アドビ・クリエイティブクラウド）、Adobe Document Cloud（アドビ・ドキュメントクラウド）、Adobe Experience Cloud（アドビ・エクスペリエンスクラウド）などを主に提供しています。
同社のFirefly（ファイアフライ）は100以上の言語を用いたテキストプロンプトを理解し、画像の生成、画像内のオブジェクトの追加と削除、異なる色のバリエーションの作成、3Dオブジェクトからの画像生成などを可能にします。Firefly Image 3では構成、ディテールのリアルさ、雰囲気やライティングが改善され、ユーザーはより高品質の画像を生成させることができます。同社はFireflyの無償版と有償版を提供しています。
その他のサービスには、先進的なAI機能を提供するAdobe Experience Cloud、文章上のソースに関連した質問に答えてくれるAIアシスタント機能が搭載されたAdobe Acrobat（アドビ・アクロバット）などがあります。
2023年は好調だった同社ですが、2024年に入ってからは18.8％下落しており、取引のチャンスである可能性があります。
台湾積体電路製造（TSM）
台湾積体電路製造（TSMC）は、半導体に特化したファウンドリーです。契約ベースで顧客から受け取った設計図をもとにチップを製造することで、顧客と競合を避けています。同社は2023年、288の技術を基に、528の顧客向けに11,895もの製品を生産しました。
生成AIは高度な処理能力と接続帯域が必要で、搭載される半導体の量も多くなります。そのため同社は、このようなAIアプリケーションの実現に大きく貢献できると。
現在は熊本県に新工場を建設しており、2024年後半に生産を開始する予定です。
株価は年初来で48.2％上昇しています。
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