サイバーセキュリティがテーマの注目銘柄5選【2024年最新】
企業を攻撃から守るサイバーセキュリティ関連銘柄には、長期リターンが期待できます。クラウドストライクやトレンドマイクロなど、第2四半期に注目の米国・日本株を紹介します。この記事で取り上げる銘柄は、時価総額に基づいて選ばれています。
サイバーセキュリティ関連銘柄の背景
リモートワークや地政学リスクにより、デジタル上でのセキュリティに対する重要が高まるにつれ、サイバーセキュリティ関連銘柄の人気が高まっています。
新型コロナウイルスの感染拡大の落ち着きとともに、サイバーセキュリティ関連銘柄の株価は横ばいとなり、2020年と2021年に膨れ上がった評価額を抑え込む形となりました。しかし、2023年に人工知能(AI)やクラウドへの移行が大きく進んだことを受け、人気を取り戻しつつあります。
サイバーセキュリティが今後も政府や企業にとって重要な課題であることは変わらず、関連サービスを提供する企業にとっては好材料となります。
サイバーセキュリティ関連銘柄の魅力
サイバーセキュリティ関連銘柄の魅力は近年高まっています。新型コロナウイルス感染拡大の影響で自宅勤務を命じる企業が増えると、それに伴ってサイバーセキュリティ関連の支出も増加しました。過去5年間には仮想通貨の需要も高まっており、デジタル資産を守る強固なセキュリティが技術が求められています。
また、国や個人によるサイバー攻撃が複雑化する中、将来に向けた安全保障の強化も必要となっています。米国のサイバーセキュリティ・社会基盤安全保障庁は、国家主導のサイバー攻撃を行なっている国の一つとして、北朝鮮を挙げています。
このような状況下でも、一般的に企業はサイバー攻撃への対策が不十分であると見られています。マッキンゼーが2022年10月にまとめたレポートによると、デジタル経済とともにサイバー犯罪が成長する中で、およそ2兆米ドルの市場機会があると試算されています。これは企業のサイバー攻撃に対する強い懸念を表しています。
ハイテク企業が提供する他のサービスに比べ、サイバーセキュリティ関連サービスは景気後退に強いとされていますが、テクノロジー業界全体が悪化すると、影響を受ける可能性があります。しかし、政府機関を顧客として持っている大手サイバーセキュリティ企業は、景気の浮き沈みの影響を受けにくくなります。
サイバーセキュリティ関連銘柄の取引方法
サイバーセキュリティ株は、投資家が世界各国の株の中から選んで取引をする、トレーディングプラットフォーム上で個別株として取引することができます。また、上場投資信託(ETF)の一部として取引することも可能です。
例えば、ブラックロックのiShares Cybersecurity and Tech ETFにはサイバーセキュリティ関連株が複数含まれており、その割合はそれぞれの企業の時価総額によって決められています。また、HACK ETFMG Cyber Security ETFの運用資産は1兆円を超えており、これも時価総額に注目しています。
サイバーセキュリティ株は、ハイテク関連株と同じように市場によって左右されます。決算シーズンには取引量の増加に伴ってボラティリティも高まるため、投資熱が高まる傾向にあります。
ハイテク株と同じように、サイバーセキュリティ株は比較的リスクの高い銘柄であると見られており、マクロ経済的な変化、特に米連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策の発表に反応します。
また、サイバーセキュリティ株は地政学リスクが高まると上昇することもあります。ロシアのウクライナ侵攻後、西側諸国を標的としたロシアのサイバー攻撃を念頭に、英国に拠点を置くダークトレース(DARK)の株価は高騰しました。
注目のサイバーセキュリティ株5選
ここでは、取引を検討すべき日米のサイバーセキュリティ関連銘柄をご紹介します。(株価とその推移は2024年5月10日時点の引用です。過去の値動きは、将来の株価動向を示すものではありません。)
クラウドストライク(CRWD)
クラウドストライクは、エンドポイント、クラウドワークロード、アイデンティティ、データを保護するための先進的なクラウドネイティブプラットフォームを米国内外で提供しています。2011年に創業し、2019年6月にはナスダックに上場しました。同社の顧客には、米フォーチュン誌が選ぶ世界上位100社「フォーチュン100」企業のうち61社が含まれています。
同社のAIネイティブプラットフォームである「Falcon XDR」は、セキュリティとITを統合し、全てのリスク領域を保護します。IDCの調査報告によると、Falcon XDRを利用している企業は6倍の費用対効果を得ており、投資回収期間は5ヶ月となっています。
同社は3月、エヌビディア(NVDA)と戦略的提携を結び、エヌビディアのAIコンピューティングサービスをFalcon XDR上に導入することを明らかにしました。また、5月9日にはクラウドを脅威から守る包括的なセキュリティソリューションを提供するために、グーグルクラウド(Google Cloud)とも提携を結びました。
同社の株価は、年初来で25.6%上昇しています。
CACIインターナショナル(CACI)
CACIインターナショナルは、重要な国家安全保障上のプロジェクトや政府の近代化をサポートする知見と技術を、米国官公庁向けに提供しています。1962年にハーブ・カーとハリー・マーコウィッツによって創業され、1968年に上場しました。同社のソリューションはC4ISR(軍事活動に必要な機能)、サイバー、宇宙、デジタルソリューション、エンジニアリングサービス、企業向けIT、ミッションサポートを幅広くカバーしています。
2024年期第3四半期の純利益は1.154億ドルで、同期の受注額は35億ドル、そのうち46%は新規顧客でした。新規顧客にはアメリカ欧州軍(USEUCOM)とアメリカアフリカ軍(USAFRICOM)も含まれており、コミュニケーション・ITの知見を5年間にわたって提供するという、約13億ドルの契約を結んでいます。
同社の株価は、年初来で32.3%上昇しています。
ブーズ・アレン・ハミルトン・ホールディング(BAH)
110年の歴史を持つブーズ・アレン・ハミルトンは、マネジメントと技術に関するコンサルティングや幅広いデジタルソリューションを、政府機関や企業向けに提供する企業です。同社の主な事業は、コンサルティング、AI、デジタルソリューション、エンジニアリング、サイバーなど多岐に渡ります。
サイバーセキュリティ事業では、「フォーチュン500」企業、重要サービスやインフラ、米国連邦政府機関、国防機関、情報機関などに、国家サイバーソリューション、防御ソリューション、フルスペクトラム・ソリューションを提供しています。
2024年期第3四半期決算の売上高は25.7億ドル、純利益は1.456億ドルでした。また、売上高予想も上方修正しました。
同社の株価は、年初来で22.4%上昇しています。
NTTデータ(9613)
NTTデータは日本国内外でIT・ビジネスサービスを提供する企業で、コンサルティング、産業別ソリューション、ビジネスプロセスサービス、IT近代化、マネージドサービスを展開しています。同社の歴史は、日本で電信サービスが始まった150年前に遡ります。
サイバーセキュリティ事業では、コンサルティング、技術統合、検知と対応の統合管理、危機対応をカバーする統合セキュリティサービスをグローバルに展開しています。同社はクラウドストライク、オクタ(OKTA)、ゼットスケーラー(ZS)、フォーティネット(FTNT)などの著名サイバーセキュリティ企業と戦略的提携を結んでおり、7,500人以上のサイバーセキュリティ専門家と、全世界80ヶ所以上の拠点を擁しています。
この5年間で株価は堅調に推移しており、年初来では15.1%上昇しています。
トレンドマイクロ(4704)
トレンドマイクロは1989年にウイルス対策ソフトウェアの開発を目的として創業されました。現在ではハイブリッドクラウドセキュリティ、ネットワーク防御、中小企業向けセキュリティ、エンドポイントセキュリティで業界をリードしています。同社は世界65ヶ国に約7,500人の従業員を擁しており、50万社以上を顧客として抱えています。
同社の統合プラットフォーム「Trend Vision One」では、ワークフローの自動化や管理、専門的なサイバーセキュリティサービスを提供することで、さまざまなハイブリッドIT環境をサポートします。
同社はまた、マイクロソフト(MSFT)、AWS(アマゾン ウェブ サービス)、グーグル(GOOGL)、IBM(IBM)、VMウェア(VMW)などと戦略的提携を結んでいます。
同社の株価は、年初来で1.1%下落しています。2月の中旬に52週高となる8,994円をつけた後に急落し、3月4月にはやや持ち直しました。第1四半期決算はプラットフォーム関連の年間経常利益(ARR)が51%増となり、12.4億ドルにも上る企業全体のARRの37%を占めるという好決算だったものの、5月8日の決算発表後に株価は再度下落しています。
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