FXにおけるペナント そのパターンや有効な手法を解説
ペナントはFXのチャートに現れるトレンドの継続(コンティニュエーション)パターンで、市場の動きを予測するために多くのトレーダーが使用しています。ペナントの使い方や類似パターンとの違い、有効な手法などについて解説します。
ペナントの見つけ方
ペナントはチャート上に高値を2点以上結んだ下降トレンドライン(レジスタンスライン)と、安値を2点以上結んだ上昇トレンドライン(サポートライン)を引いて見つけます。
加えて、フラッグポールがあるかどうかも確認してください。フラッグポールがない場合はトライアングル(三角持ち合い)となり、ペナントではありません。
また、ペナントは動きの方向により、上昇ペナントまたは下降ペナントの2種類に分けられます。フラッグポールが上向きなら上昇ペナント、下向きであれば下降ペナントとなります。
上昇ペナントと下降ペナントについては、以下の章で詳しく解説します。
FXのペナントは2種類 エントリーの方向とタイミングは?
FXのペナントの種類は、基本的に以下の2つに分けられます。
形の違いを理解し、エントリーの方向とタイミングを間違えないようにしましょう。
1. 上昇ペナント(上昇ペナント型)
上昇ペナント(上昇ペナント型)は強い上昇トレンドで発生する、継続(コンティニュエーション)パターンです。ペナントは長い上向きのフラッグポールに続いて保ち合い期間が形成され、その後にブレイクアウトが起きて上昇トレンドが継続します。
ペナントで上方へのブレイクアウトを狙うトレーダーは、新しく生まれた強気のモメンタムを利用して買いエントリーを検討することができます。レジスタンスラインをブレイクアウトした場合、上昇トレンドが続く兆しとなるからです。
または、ペナント内でレジスタンスラインやサポートラインを利用し、逆張りでエントリーをすることも可能です。ただし、エントリーと逆方向にブレイクすると大きな損失が発生する可能性があるため、損切りの逆指値注文を入れておくと良いでしょう。
2. 下降ペナント(下降ペナント型)
下降ペナント(下降ペナント型)は、上昇ペナントの反対のチャートパターンです。上昇ペナントが強い上昇トレンドで現れるのに対し、下降ペナントは強い下降トレンドで発生します。
まず、価格の急落にあたるフラッグポールで始まり、その後下落が一段落します。この段階で二等辺三角形が形成され、その後は下方へブレイクし、下降トレンドが継続します。
トレーダーは、ペナントの下方へのブレイクで売りでのエントリーを検討することが可能です。サポートラインをブレイクした場合、下降トレンドの継続が期待できるからです。
FXのペナントと類似のパターンの違い
ペナントには似たチャートパターンがあり、取引の方向とタイミングを間違えないためには、違いをしっかりと理解することが必要です。
最初は分かりづらいかもしれませんが、チャートにたくさん線を引いて、どのチャートパターンに当たるかを考えてみましょう。
1. ペナントとフラッグの違い
ペナントに似たチャートパターンにフラッグがあります。ただし、この2種類のチャートパターンにはさまざまな違いがあります。
フラッグとは、トレンドとは逆向きの2本の平行なトレンドラインで構成され、狭い長方形の形状をしているチャートパターンです。
これに対し、ペナントは上昇トレンドや下降トレンドの後に形成されますが、特定の方向には傾いておらず、だんだん狭くなる三角形になります。ただし、どちらもトレンドの継続を示すことから、基本的にはトレンド方向へのブレイクアウトでエントリーします。
2. ペナントとトライアングル(三角持ち合い)の違い
ペナントはトライアングル(三角持ち合い、三角保ち合い)に非常によく似たチャートパターンです。しかし、ペナントとトライアングルには重要な違いがあります。
トライアングルはペナントと同じく三角形を形成しますが、トライアングルにはペナントで見られるフラッグポールがありません。
また、ペナントが形成する戻しは浅く、通常はフラッグポールの38%未満とされ、深い戻しはペナントではなくトライアングルであることを示します。そして、ペナントは上方または下方へのトレンドの継続を特徴とします。ただし、トライアングルもトレンドの方向へのブレイクアウトを狙うのが基本です。
最後に、ペナントは短期のパターンで、通常は1~3週間以内に完了する一方、トライアングルは通常これより長い期間をかけて形成されます。
3. ペナントとウェッジの違い
ウェッジもペナントに似たチャートパターンです。ペナントはレジスタンスラインとサポートラインが徐々に狭くなっていきます。しかし、ウェッジは上下がどちらも同じ方向に上がるか下がるのが特徴です。
下の図は、2本の上昇するトレンドラインの間で価格が行き来する「上昇ウェッジ」と呼ばれるパターンです。逆に、2本のトレンドラインが下落している場合は「下降ウェッジ」と呼ばれます。
また、基本的にはウェッジもペナントと同じくトレンドの継続を示します。しかし、その位置とトレンドの強さによっては、トレンドの転換が期待されるケースもあるため注意が必要です。
具体的には上昇トレンドの天井圏で上昇ウェッジが現れた場合、または下降トレンドの底値圏で下降ウェッジが現れたときには、トレンドの転換が示唆されます。
ペナントを使ったFXの手法
取引にあたっては、上昇ペナントと下降ペナントに同じアプローチを使えます。具体的には、上昇ペナントでは買いを、下降ペナントでは売りを検討します。
下の例は、ポンド/NZドルのチャートに現れた、上昇ペナントの取引方法を示したものです。
相場の突然の急激なブレイクアウトを確認した後、トレーダーは取引のエントリーを検討します。ペナントが形成された後、急激な値動きを伴ってブレイクアウトしたことで、上昇トレンドの継続が示唆されています。
ペナントの上でローソク足が終値を付けたら、そこがエントリーポイントです。この例ではブレイクがやや大きく、上方への動きが継続することをより強く示唆しています。
損切りの逆指値注文は、ブレイクアウトしたローソク足の安値に置くことができます。ただし、より保守的なトレーダーは、ペナントの下に置き、下落によるリスクを制限します。
例えば、上昇ペナントならレジスタンスラインの下に逆指値注文を置くことで、より浅い値幅で損切りするのです。ペナントの下に損切りの逆指値注文を置いた場合、多くのトレーダーが許容できるリスク水準になるはずです。
相場は期待する方向に常に動くとは限りません。そのため、トレーダーは常に堅実なリスク管理を行う必要があります。さらに、失ってもよい資金のみを使用して取引するようにしてください。
目標価格の設定には、フラッグポールの起点からペナントまでの距離(値幅)を測り、それをペナントのブレイクポイントから目標までの距離にあてはめることができます。
FXのペナントにおける2つの注意点
ペナントは比較的見つけやすく、初心者の方でも取引で利用しやすいチャートパターンです。ただし、取引の際には注意していただきたい点もあります。
1. ダマシが起こりやすい
ペナントなどのブレイクアウトを活用してエントリーするチャートパターンは、比較的ダマシが起こりやすいと言われています。つまり、ブレイクアウトでエントリーしたにもかかわらず、ペナント内に戻ってきてしまうといったことが起こりやすいのです。
例えば、上昇ペナントでレジスタンスラインのブレイクアウトのタイミングでエントリーをしたものの、下落してペナント内に戻ってきてしまうといったケースが考えられます。そのため、上昇ペナントでエントリーした場合はブレイクアウトしたローソク足の安値、下降ペナントでエントリーした場合はブレイクしたローソク足の高値に損切りの逆指値注文を入れておくと良いでしょう。
2. 現れる頻度が低い
ペナントは他の代表的なチャートパターンと比較して、現れる頻度が低い傾向があります。要するに、ペナントに頼って取引をすると、取引チャンスが非常に限られたものになってしまうのです。
したがって、ペナントだけでなく、他のチャートパターンも使えるようにしておきましょう。
FXのペナントでダマシを回避する方法
ペナントは有効なチャートパターンです。しかし、他のテクニカル分析と同じくダマシが発生することもあります。
ダマシを回避するためには、以下の2点に注意してください。
「ペナントを抜けたタイミングでエントリーしたものの、再びペナント内に戻ってしまった」という事態を避けるために、しっかりと回避方法を理解しておいてください。
1. ラインがきれいに引けているかを確認する
ペナントは上方のレジスタンスラインと下方のサポートラインで構成されますが、エントリーをする前にそれぞれがきれいに引けているかを確認してください。なぜなら、反発回数が多いほどラインが機能しており、ペナントも機能しやすいからです。
例えば、1~2回しかライン近くで反発していない場合は、ダマシが発生する確率が高まります。そのため、基本的には3回以上ラインで反発していることが望ましいです。
2. 複数のテクニカル分析と組み合わせる
ペナントを含むチャートパターンを使ってエントリーポイントを見つける方法は万能ではないため、複数のテクニカル分析と組み合わせましょう。つまり、複数の根拠を持つことで、取引が成功する確率を上げるということです。
例えば、ペナントの他にRSIやストキャスティクスを使って買われ過ぎや売られ過ぎを見たり、ボリンジャーバンドを使って±2σで跳ね返ったことを確認したりするといった方法が挙げられます。チャートパターンのみを使ってエントリーをするのはあまり得策ではないため、取引の前には必ず複数の裏付けを用意しましょう。
まとめ
ペナントはトレンドの継続を示すチャートパターンであり、大きな上昇または下落(フラッグポール)の後に二等辺三角形のような形状をした保ち合い期間があり、その後ブレイクアウトして同じ方向への動きが継続するのが特徴です。
見つけやすくエントリーポイントも分かりやすいですが、ダマシが起こりやすかったり、現れる頻度が低かったりすることには注意が必要になります。そのため、複数のテクニカル分析と組み合わせるなどの工夫をして、取引が成功する確率を高めたうえで活用するようにしましょう。
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