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米国株2025年の見通し:トランプ政策期待で3年連続の株高か、リスクはインフレの再燃 S&P500予想

昨年に続き2024年の米国株も株高の1年となった。2025年以降は、トランプ政策が米国経済を支える可能性がある。米国株は3年連続の株高が期待できる。リスクはインフレの再燃である。2025年のS&P500の展望。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

この記事の結論

2025年の米国株は3つの下支え要因により、3年連続で株高となることが予想される。S&P500は6,600ポイントの攻防が焦点となろう。この水準を突破すれば、6,800ポイントが視野に入る。リスク要因はトランプ関税によるインフレの再燃である。このリスクが市場のテーマに浮上する場合、S&P500は52週線のトライと下方ブレイクする可能性を想定しておきたい。


S&P500は2年連続の株高、高まる3年連騰の期待

2023年に続き2024年の米国株も強気相場を維持した。S&P500は、前年比で25%高の状況にある(先週27日時点)。米長期金利が4.6%台へ上昇している。それでも株高のけん引役である大型ハイテク株に買いが入る状況を考えるならば、2年連続の株高で終るだろう。2025年も強気相場の流れが続けば、2000年以降で4回目の3年連続の株高となる。筆者はその可能性があると考えている。

S&P500の年間騰落率:2000年以降

S&P500の年間騰落率:2000年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 2024年:12月27日までの動向

米大統領選挙の翌年は株高のアノマリー、1960年以降11勝5敗

2025年もS&P500が上昇すると考える理由の一つが、米大統領選挙の翌年のアノマリーである。1960年以降、米大統領選挙の翌年のS&P500は16回のうち11回の上昇、5回の株安と株高へ振れる傾向が見られる。平均の上昇率は10.2%である。

もう一つ注目すべきは、景気後退の局面(リセッション)では株安の傾向にあることだ。しかし現在の米国経済は、底堅い労働市場が土台となり強さを維持している。下で述べるトランプ減税や各種の規制緩和が経済を支える可能性が高いことも考えるならば、来年に米国経済がリセッションへ陥る可能性は低いだろう。

米大統領選挙の翌年のアノマリーを重視するならば、2025年のS&P500は上昇が予想される。

S&P500 米大統領選挙の翌年の騰落率:1961年以降

S&P500 米大統領選挙の翌年の騰落率:1961年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 1961年~2021年までの騰落率

2025年の米国株を支える3つの要因

トランプ減税と規制の緩和
税制面でドナルド・トランプ米次期大統領は、2025年末に期限を迎える税制改革法(TCJA、2017年に制定されたいわゆる「トランプ減税」)の延長と恒久化で個人の所得減税を目指している。また、法人税率を現行の21%から引き下げるだけでなく、米国内で製造する企業に対しては15%まで引き下げる方針を示している。

税制の改正には米議会の承認が必要である。第一次トランプ政権で減税の法案が通過したのは2017年12月だった。前回の状況を考慮するならば、トランプ減税が成立してもその効果が発揮されるのは2025年の後半以降となることが予想される。しかし、税制改正の進展は期待先行の株高要因となろう。実際にトランプ減税が実行される場合は、2026年の企業の利益成長の押し上げに貢献することが予想される。また、金融規制やエネルギー生産規制の緩和も米国経済の成長を促すだろう。

企業の利益成長
ブルームバーグがまとめたデータによれば、2025年のS&P500の一株利益(EPS)は270.77ドルと予想されている(2024年12月27日時点)。1年前の予想は242ドルだった。今年の夏を境に予想EPSの推移は頭打ちの状況にあるが、2024年の238.64ドルと比べて13.46%増の見通にある。また、2026年の予想EPSは本レポート掲載時点で303ドルと、2025年の予想比で11.9%増の見込みである。

トランプ減税と規制緩和は利益成長の押し上げに貢献するだろう。堅調な利益成長の見通しは、米国株の上昇要因となろう。

S&P500 2025年の予想EPS推移

S&P500 2025年の予想EPS推移

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 2023年12月以降、2024年12月27日時点

上昇が抑制される原油価格
米長期金利はトランプ政策の影響を先取りするかたちで4.6%台まで上昇している。一方、2024年の原油先物価格は、中東情勢が緊迫化しても上昇が抑制された。

2025年以降はトランプ米政権の誕生により、中東情勢がひとまず落ち着く可能性が出てきた。事実、パレスチナ・ガザ地区で戦闘を続けているイスラエルとイスラム組織ハマスの間で停戦の交渉が大詰めを迎えているとの報道が見られる。また、ロシアとウクライナの紛争もトランプ政権の仲裁で、ひとまず手打ちの方向に向かうだろう。トランプ第二次米政権の発足は、エネルギー供給の安定化に貢献することが予想される。

中国経済は長引く不動産市場の低迷に直面している。2025年は米国との貿易摩擦の問題も抱え苦境が続くだろう。一方、トランプ米政権はエネルギーの生産量を増加する方針にある。米中の動向は需給の緩みを市場参加者に意識させるだろう。

上で述べた状況を総合的に考えるならば、2025年の原油先物価格の上昇は抑制される可能性がある。原油高の抑制は、米長期金利の上昇圧力を後退させる要因になり得る。

原油先物価格と米長期金利:週足 2022年以降

原油先物価格と米長期金利:週足 2022年以降

2025年のリスク要因はインフレの再燃

2025年の米国株にとって最大のリスク要因は、インフレの再燃である。2025年に想定される米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げは2回。インフレ再燃の可能性が現実味を帯びる場合は、利下げが1回もしくは利下げの停止に追い込まれる可能性も否定できない。

インフレ再燃の可能性を高める要因として警戒したいのが、トランプ次期政権が掲げる関税の強化だろう。トランプ次期米大統領は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、政権発足の初日に中国、メキシコそしてカナダからの輸入品を対象とした関税の大幅な引き上げを行うことを表明している。

米国のインフレはコモディティ価格の低下を軸に鈍化の傾向にある。しかし、サービス価格のインフレには粘着性が見られる。関税の強化でコモディティ価格が再び持続的に上昇する場合は、インフレ再燃を市場参加者に意識させるだろう。

米債市場はトランプ政策の影響を先取りする動きが見られる(上のラインチャートを参照)。しかし、インフレ再燃とその影響を現時点で織り込んではいない(織り込むことはできない)。ゆえにインフレのリスクが再びマーケットのメインテーマとなる場合は米長期金利の上昇が予想される。このケースではS&P500が、10%以上下落する展開を想定しておきたい。

米国のインフレ率:2020年以降

米国のインフレ率:2020年以降

2025年 S&P500の見通し(概要)

2025年もS&P500は強気相場の流れが続き、筆者は3年連続の株高を見込んでいる。現時点では6,600ポイントまでの上昇を想定している。

だが、第一次トランプ政権(2017年~2020年の4年間)のS&P500は平均で約14%上昇した。2025年に企業の利益成長見通しが上方に修正される場合、S&P500は6,600ポイントを突破する可能性がある。2024年末が6,000ポイント前後で終わると仮定する場合、6,800ポイント台が視野に入る

一方、S&P500の調整局面では3つの移動平均線-13週線、26週線そして52週線の攻防に注目したい。インフレの再燃、米FRBの利下げ停止そして米長期金利が急上昇するリスク回避相場が発生する場合、S&P500の水準次第ではあるが52週線を瞬間的にトライそして下方ブレイクする可能性を想定しておきたい。

※チャート分析の詳細については、こちらIG米国株レポートを参照してください

S&P500のチャート

週足:2019年8月以降

S&P500のチャート 週足:2019年9月以降

出所:TradingView


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