高値更新のナスダック100、FOMCの焦点はパウエル会見とドットプロット、金利の上昇には警戒
13日の市場でナスダック100が最高値を更新した。22,000ポイントを視野に強気相場にある。今週は24年最後のFOMCが開かれる。焦点はパウエル米FRB議長の会見となろう。FOMCイベントを無難に通過すれば、年末高の期待がさらに高まろう。だが、長期金利の動きには注意したい。ナスダック100の週間見通し。
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 基準日:11月5日
・しかし、先月22日に財政規律を重んじるスコット・ベッセント氏が財務長官に指名されて以降、4.5%付近まで上昇していた米長期金利が突如低下へ転じた。長期金利の低下はハイテク株の買い戻しを促し、ナスダック指数の逆襲が始まった(上のラインチャートを参照)
・今月9日以降、アメリカの長期金利(10年債利回り)が再び反発している。しかしこの局面でもバリュー株・小型株からハイテク株へのローテーションが続き、先週13日までにナスダック指数は4週連続で上昇した。ダウ平均やS&P500の買いが失速したこともあり、ナスダック指数の強気相場が鮮明となっている(上のラインチャートを参照)
アメリカ株価指数の週間騰落率:10月~12月13日の週まで
ブルームバーグのデータで筆者が作成
懸念は米長期金利の動き
しかし、今週の米国株は長期金利(10年債利回り)の動き次第で、不意打ちの下落に直面する可能性がある。注目ポイントを以下にまとめた。
・先週9日以降、アメリカの長期金利は反発へ転じている。13日の市場では、11月22日以来となる4.4%台まで上昇する局面が見られた
・長期金利の上昇に連動するようにS&P500には売り圧力が強まり、ダウ平均は約5年ぶりに7日続落の展開となった
・ナスダック指数は4週連続で上昇した。しかし、先週の上昇幅は限られた(上の棒グラフを参照)。強気相場にあるナスダック指数にも長期金利の上昇リスクが波及しつつある
アメリカの長期金利:日足 24年10月~12月16日 午前10時
出所:TradingView
迫る今年最後のFOMC、焦点はパウエル会見とドットプロット、金利の上昇を警戒
ブルームバーグのデータによれば、先月15日に長期金利が4.5%へ到達する局面が見られた。17-18日に今年最後の米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。FOMCイベントで長期金利が4.5%を完全に突破する場合は、金利上昇のリスクがハイテク株に波及する展開を警戒したい。注目ポイントを以下にまとめた。
・12月のFOMCでは0.25%の利下げがすでに織り込まれている。よって、今回の焦点は来年以降の利下げパスとなろう。市場参加者は、パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長の会見から利下げの道筋を読み解こうとするだろう
・来年1月のFOMCでは、利下げ見送りの可能性が高まっている。3月のFOMCでの利下げ確率はレポート掲載時点で56%台にある。パウエルFRB議長の会見がタカ派と市場で捉えられる場合は、3月の利下げ見送りの確率も高まることが予想される
利下げの予想確率:来年1月と3月のFOMC
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 12月16日 午前7時時点の予想確率
※マイナス表記:利下げ
・FOMCの参加者による政策金利の予想(ドットプロット)も米金利の動向に大きな影響を与えるだろう。9月のドットプロットでは、25年末の予想中央値が3.4%だった。現状、短期金融市場で予想される水準は3.8%台であり、FOMCの参加者が想定する水準よりも高い
・タカ派のパウエル会見とドットプロットの上方修正が重なれば、米利下げパスの不透明感が高まるだろう。このケースでは、長期金利の4.5%突破を警戒したい
・長期金利が4.5%以上の水準へ上昇すれば、ハイテク株の割高感を市場参加者に意識させる要因となろう。金利上昇のリスクは、ハイテク株比率の高いナスダック100の下落を促す要因となろう
ナスダック100 今週の見通しと注目のテクニカルライン
今週のレジスタンスライン
今週の前半は、12月の購買担当者景気指数(PMI)速報値と11月の小売売上高が材料視される可能性がある。週後半は上で述べたFOMCイベントが材料視されるだろう。これらの材料をこなしナスダック100が強気相場を維持する場合は、以下で取り上げているサポートラインの攻防に注目したい。
・日足のMACDとモメンタムは、ナスダック100が強気相場にあることを示唆している。先週13日の市場では、フィボナッチ・エクステンション50.0%の水準21,818がレジスタンスラインとして意識された。今週も強気相場が続く場合、まずは21,818ポイントの突破を確認したい
・21,818ポイントだけでなく、フィボナッチ・エクステンション61.8%の水準21,938をも突破する場合は、IG米国株レポートで注目している22,000のラインをトライするサインと捉えたい
・パウエル会見とドットプロットが利下げパスの不透明感を後退させる内容となれば、ナスダック100は22,000ポイント台へ上昇することが予想される。このケースでは、フィボナッチ・エクステンション76.4%の水準22,085ポイントの攻防を想定しておきたい
レジスタンスライン(1時間足)
・22,085:フィボナッチ・エクステンション76.4%
・22,000:レジスタンスライン
・21,938:フィボナッチ・エクステンション61.8%
・21,818:フィボナッチ・エクステンション50.0%
今週のサポートライン
ナスダック100は強気相場にある。だが、先週13日の市場では、日足ローソク足で市場の気迷いを暗示する十字線が現れた。強気相場のなかの下落を警戒したい。注目のサポートラインを以下にまとめた。
・13日の日足ローソク足は、市場の気迷いを暗示する十字線となった。この状況で今日と明日の12月PMI速報値と11月小売売上が予想以下となれば、ナスダック100はFOMCを前にした調整売りに直面することが予想される。このケースでは、10日線のトライを想定したい
・さえない米経済指標に加えて、パウエルFRB議長の会見とドットプロットで利下げパスの不透明感が高まる場合は、10日線の下方ブレイクと20日線のトライを想定したい。サポートラインへ転換する可能性がある21,200ポイントの下方ブレイクは、20日線をトライするサインと捉えたい
・1時間足のストキャスティクスとRSIで短期的な相場の過熱感を確認したい。上で取り上げたレジスタンスラインをナスダック100がトライする局面で、ストキャスティクスとRSIがともにデッドクロスへ転じる場合は下落を警戒したい。特に、買われ過ぎの水準でのデッドクロスでは、その可能性を強く意識したい
サポートライン
・21,490:10日線(日足、12月13日時点)
・21,200:サポートライン(日足)
・21,105:20日線(日足、12月13日時点)
ナスダック100のチャート
1時間足:11月25日以降
出所:TradingView
日足:24年9月以降
出所:TradingView
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