【IG米国株レポート】 米株高の裏では安全資産買いが進行 / S&P500指数は上値トライを意識しつつも反落相場を警戒
米国株(S&P500指数)と米国債のボラティリティ指数はともに低下の基調にある。投資家の心理は強気に傾いており、今週の米国株の焦点は、新たな上値の水準を探ることにある。しかし、米株高の裏では安全資産を買う動きが見られる。短期的な相場の過熱感が意識されやすい状況にあることも考えるならば、今週は不意打ちのような反落相場を警戒しておきたい。詳細はIG米国株レポートをご覧ください。
サマリー
・ボラティリティ指数は低下基調を維持し、ラッセル2000は上昇幅が拡大している
・今週のS&P500指数の焦点は、新たな上値水準の見極めとなろう
・米株高の裏では安全資産買いが進行している
・短期的な過熱感も考えるならば、不意打ちのような反落相場を警戒しておきたい
低下基調を維持するボラティリティ指数
投資家の心理を表すVIX指数(VIX)は、13ポイント前後まで低下している。一方、米国債の先行き変動リスクを表すMOVE指数も低下基調を維持している。
ボラティリティ指数のチャート:日足 年初来
ラッセル2000が示す投資家の強気心理
ボラティリティ指数の低下は、投資家のリスク選好姿勢を支えている。この点を端的に示唆しているのが、ラッセル2000(RUT)の動向である。
ラッセル2000のトレンドを日足チャートで確認すると、21日線と50日線との間でゴールデンクロスの状況にあり、かつ200日線を大陽線で一気に上方ブレイクすることに成功した。
200日線の攻防では、レジスタンスへ転換する可能性のあった半値戻しの水準1,818前後をも大陽線で一気に上方ブレイクした。
さらに昨日は、先週1日の上昇を止めたフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準1,862レベルをも大陽線で一気に突破した。
ラッセル2000は、小型株で構成されている。ゆえに、株式市場で先行きリスクが意識される場合は、他の株価指数より先に下落する傾向がある。
そのラッセル2000が、上で述べた重要なテクニカルの水準を難なくブレイクアウトしている状況は、投資家の心理が強気に傾いていることを示唆している。
今週の焦点は、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準1,916レベルのトライとなろう。ラッセル2000がこのテクニカルポイントをも突破する場合は、米株高がさらに進行するシグナルの一つと想定しておきたい。
ラッセル2000のチャート:日足 23年6月以降
S&P500種株価指数(SPX)、今週の焦点は上値水準の見極め
先週、デイリーFXのサイトに掲載した米国株のレポートでは、S&P500種株価指数(SPX、以下ではS&P500指数)を取り上げた。
年初来高値をトライする前に調整の反落相場を警戒したい、と述べたが、実際には先週1日に7月31日の終値4,588.96レベルを突破し、年初来高値を更新した(12月1日の終値は4,594.63)。
上で述べたボラティリティ指数の低下基調とラッセル2000(RUT)の上昇相場も考えるならば、今週のS&P500指数の焦点は、大陰線が示現した7月27日の高値4,607ポイントをも突破し、さらに上値トライのシグナルが点灯するかどうか?この点を見極めることにある。
実際にS&P500指数がこのチャートポイント(4,607レベル)をも突破する場合は、調整の反落局面で4,600前後がサポートの水準として意識されるかどうか?この点も重要な焦点となろう。
4,600前後で相場がサポートされる場合は、地合いの強さを市場参加者に印象付けると同時に、さらなる上値トライのシグナルにもなろう。
S&P500指数のチャート:日足 23年3月以降
不意打ちのような反落を警戒
短期的な過熱相場が意識されやすい状況に
今週の米国株(SPX)の焦点は、新たな上値水準の見極めにある。しかし同時に、不意打ちのような反落相場も警戒しておきたい。
そう考える理由の一つが、短期的な相場の過熱感(短期間で進行した株高)である。
S&P500指数の価格と50日線の水準の乖離率は5%超に達している(下のチャート、赤矢印を参照)。21年以降のトレンドを確認すると、50日線との乖離率が5%超まで拡大すると、相場が反落するトレンドパターンが見られる。
12月中旬にかけてタックスロス・セリングが相場の上昇を抑制する場合は、調整の反落ムードが高まる可能性がある。
このケースでは、10日線の下方ブレイクと4,500ポイントのトライを想定しておきたい(上の日足チャート、青ラインと黒点線を参照)。
S&P500指数のチャート:日足 21年以降
米株高の裏で進行する安全資産買い
米国株の反落相場を警戒すべき、もうひとつの理由が、米株高の裏で進行する安全資産の買いである。
米債市場では利回りの低下基調が鮮明となっている。先週は、金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りの低下幅が拡大した(下のチャート、赤ラインを参照)。この動きは、パウエルFRBの表向きの姿勢(データ次第で利上げを維持する姿勢)とは裏腹に、近い将来、政策の転換(利下げ政策)がFOMC(連邦公開市場委員会)の議題にあがることを米債市場の参加者が意識していることを示唆している。
そして、米国株のトレンドに大きな影響を与える長期ゾーンの利回り(以下では長期金利)は11月以降、低下のトレンドを鮮明にしている(下のチャート、黒/緑のラインを参照)。
直近の米長期ゾーン利回りの低下(長期国債の買いが進行している状況)はインフレの鈍化だけでなく、将来の景気減速を警戒する動きと捉えることができる。
米金利のチャート:日足 年初来
そして国際商品市況では、金価格の上昇が止まらない。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心である2024年2月物は1日、20年8月以来、約3年4カ月ぶりに史上最高値を更新した。そして、4日朝に一時1トロイオンス2,152ドルまで上昇し、連日で史上最高値を更新する局面が見られた。
また、米国の株式市場では、ディフェンシブセクターであるヘルスケア株や公共株が買戻しの基調にある。
安全資産の代表格である米国債と金価格の上昇、そしてディフェンシブセクターの買い戻しは、将来の先行きリスクを意識した動きと捉えることができる。
NY金先物価格と米株ディフェンシブセクターのチャート:日足 年初来
ボラティリティ指数の動向に要注意
さらに、冒頭で述べたボラティリティ指数が、直近は反発のムードにあることも気がかりである。
特にMOVE指数の動きが注目されるが、MOVE指数が上昇するならば、それは米金利の上昇リスクを反映した動きとなる可能性がある。
今週は11月の雇用統計をはじめとしたアメリカの重要な雇用関連の経済指標が発表される。
雇用市場の堅調さがあらためて確認される場合は、短期的にせよ米金利の上昇リスクが再び浮上する要因になり得る。
また、11月のISM非製造業景況指数なども相場の変動要因となる可能性がある。
強い経済指標が、不意打ちのような米国株の反落相場の要因となる可能性を意識しておきたい。
ボラティリティ指数のチャート:日足 年初来(再掲)
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