【アメリカ株】S&P500節目の5000割れ 米中の関税報復合戦を警戒 ナスダック100の見通し
関税政策で米中の報復合戦が激化している。8日のS&P500は反落し終値で節目の5000ポイント割れとなった。主力のハイテク株売りが続いている。ナスダック100も節目の16,000ポイント割れを警戒する局面にある。

サマリー
トランプ米政権の相互関税が日本時間9日午後1時1分に発動した。中国製品の関税率は累計で104%となる。米関税による貿易戦争とそれによる景気不安を受け、8日の米株式市場でS&P500は終値で節目の5,000ポイントを下抜けた。VIXとVXNは高止まりしている。マグニフィセントセブンの下落が続いていることも考えるならば、今日以降もナスダック100は下値トライを意識したい。目先の焦点は16,000ポイントの攻防となろう。
米国株の買い続かず、S&P500は節目の5,000割れ
8日の米株式市場で主要指数は反落して終えた。この日はS&P500の11業種すべてが下落した。なかでも前日比2%超下落したのが、すべて景気に敏感なセクターだった。トランプ米政権の相互関税による貿易戦争の激化とそれによる景気不安に対する警戒心の高まりを示唆する動きである。
多くの機関投資家が運用のベンチマークにするS&P500は昨日、終値で節目の5,000ポイントを下抜けた。今日以降、反発の局面でこのライン(5,000ポイント)が抵抗線へ転換すれば、チャート分析の観点ではまた一つ弱気のシグナルが点灯することになる。
S&P500 セクター別パフォーマンス:4月8日

ブルームバーグのデータで筆者が作成

ブルームバーグのデータで筆者が作成
ナスダック100を対象とするVXNも同じ状況にある。7日と8日に連続で40ポイントへ上昇した。昨日は40.56ポイントまで上昇し、昨年8月5日の上ヒゲ水準40.12ポイントを突破する局面が見られた。そして39ポイント台で高止まりしている。今のボラティリティ指数の動きは、投資家心理の急速な冷え込みを示唆している。
VXN:日足 2024年7月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成
注目すべきは、昨夏の株安と今回の株安で、ボラティリティ指数の動きに違いが見られることである。VIXの日足ローソク足をみると、昨年8月の株安局面では長い上ヒゲで60ポイントへ到達し、その後急低下した。しかし今回の株安局面では、日足ローソク足で60ポイントへ到達した。一方、VXNは短い上ヒゲで2日連続の40ポイント到達となった。そして昨夏とは違い、どちらのボラティリティ指数も急低下することなく高止まりしている。
上述した景気敏感セクターの売りも考えるならば、トランプ関税による貿易戦争とそれよる景気減速に対する市場参加者の懸念が相当に強いことが分かる。よって米国株は、下値リスクを意識する状況が続こう。反発しても戻り売りを想定したい。
ナスダック100の見通しと注目のテクニカルライン
16,000の攻防
IG証券の米国テク株100(ナスダック100が原資産のCFD、以下ナスダック100)の1時間足を見ると、ナスダック100の地合いの弱さが見て取れる。その一つが、18,220ポイントで2度上値が止められたことである。また、ローソク足の上で推移しているパラボリックとゼロラインを下回るMACDのトレンドも地合いの弱さを示唆している。
トランプ関税リスクは、マグニフィセントセブンの売り要因となっている。昨日の市場でも7銘柄すべてが下落した。
特に、トランプ関税でアジア生産を軸としたビジネスモデルへの懸念が高まっているアップル(AAPL)の年初来下落率が30%を超えてきた。テスラ(TSLA)の下落率は45%に達している。4月後半以降に決算が控えていることも考えるならば、いずれの銘柄も上昇トレンドへ回帰することは期待できない。マグニフィセントセブンの影響を受けるナスダック100は、下値トライを意識したい。
マグニフィセントセブンと米株価指数の動向:年初来の変動率

ブルームバーグのデータで筆者が作成
ナスダック100が続落する場合、目先は16,000ポイントの攻防に注目したい。テクニカルの面では、2023年10月の安値が基点のフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準15,985ポイントの維持が焦点となろう(週足チャート参照)。ナスダック100が16,000ポイントを目指すサインとして、週足チャートの半値戻し16,331ポイントの攻防に注目したい。
今日以降、ナスダック100が16,000ポイントを下方ブレイクする場合は、7日のIG米国レポートで取り上げた15,000ポイントを視野に下落幅の拡大を警戒したい。
サポートライン:週足
・16,331:半値戻し
・16,000:サポートライン
・15,985:76.4%戻し
・15,000:サポートライン
・14,941:61.8%戻し
3つのレジスタンスラインの攻防に注目
一方、ナスダック100(米国テク株100)が反発する場合は、1時間足の3つのレジスタンスライン 、17,500ポイント、17,740ポイントそして18,200ポイントの攻防が焦点となろう。前者2つのラインはレジスタンスラインへ転換する可能性がある。
最初のライン17,500ポイントの下にはパラボリックが推移している。このテクニカルの上方ブレイクは短期的な買いのサインになり得る。このケースでは、17,500ポイントを意識したい。フィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準17,160ポイントの突破も17,500ポイントをトライするサインの一つになり得る。
今の米株式市場はボラティリティが拡大する状況にある。ナスダック100が17,740ポイントをも突破すれば、18,000ポイントの攻防が視野に入ろう。週足のローソク足は、この水準がレジスタンスラインへ転換する可能性を示唆している(赤矢印を参照)。テクニカルの面では、1時間足の半値戻しの水準18,095ポイントの攻防に注目したい。このテクニカルラインの上方ブレイクは、3つ目のレジスタンスライン18,220ポイントをトライするサインと捉えたい。
レジスタンスライン:1時間足
・18,220:レジスタンスライン
・18,095:半値戻し
・17,740:レジスタンスラインへ転換する可能性あり
・17,500:レジスタンスラインへ転換する可能性あり
・17,160:23.6%戻し
米国テク株100のチャート
1時間足:4月3日以降

出所:IGチャート
週足:2022年7月以降

出所:TradingView
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