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【米国株の見通し】景気不安が新たなテーマに 調整入り目前のナスダック100 大手小売り決算を警戒

米国市場では、景気不安が新たなリスク要因として意識され始めている。今週は経済指標のほか、米小売り大手の決算も材料視される可能性がある。ウォルマートに続き個人消費の懸念を高める決算内容が続けば、ナスダック100の調整入りを警戒したい。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

記事の概要

2月のISM製造業景気指数はインフレの懸念と景気不安を強める内容となった。米債市場では、景気の動向を反映して動く10年債利回りが4.1%割れが視野に入る。インフレ再燃の先にある景気不安を意識した動きである。米国経済を支える個人消費の懸念が浮上するなか、今週は経済指標だけでなく米小売り大手の決算も材料視される可能性がある。主力ハイテク株の売りでナスダック100は直近の高値から約8%下落している。調整局面入りの可能性が高まってきた。

景気不安が米国市場の新たなテーマに

3日のアメリカ株式市場では、主要な株価指数が下落して終えた。S&P500のセクター別パフォーマンスを確認すると、景気敏感株の売りが株安をけん引したことが分かる。

S&P500のセクター別パフォーマンス:3月3日

S&P500のセクター別パフォーマンス:3月3日

ブルームバーグのデータで筆者が作成

一方、米債市場では景気の動向を反映して動く10年債利回り(長期金利)が4.1%台へ急低下した。昨年12月の低水準を下抜け、4.1%割れが視野に入る。上述した景気敏感株の売りも考えるならば、景気不安が米国市場の主要なテーマに浮上してきた。

米国 10年債利回り:日足 24年12月以降

米国 10年債利回り:日足 24年12月以降

出所:TradingView


トランプ関税とスタグフレーションの懸念

3日の米国市場で材料視されたのが、米サプライマネジメント協会(ISM)の製造業景況感指数だった。2月は50.3と、1月の50.9から製造業の活動が低下した。ブルームバーグがまとめた市場予想の50.7も下回った。

問題はその内容だった。先行指標の新規受注は48.6と、1月の55.1から大きく落ち込んだ。雇用も48.6と、1月の55.1から急速に悪化した。いずれも景気判断の分かれ目である「50」を下回った。

一方、支払い価格は62.4と、1月の54.9から7.5ポイントと急上昇した(下のチャート、赤ラインを参照)。コストの上昇が企業活動の停滞を招き始めてきた状況が示唆された。

米国ISM製造業景気指数:直近1年間

米国ISM製造業景気指数:直近1年間

ブルームバーグのデータで筆者が作成

景気不安が高まるなかトランプ米政権は4日、カナダとメキシコの輸入品に25%の関税を賦課する。中国の輸入品に対しては、先月4日に続き新たに10%の追加関税を課す。また、トランプ米大統領は3日のSNS投稿で、輸入農作物への関税を4月2日に発動することを明らかにした。

矢継ぎ早の関税強化はコスト高の要因となる。米国経済の土台である個人消費の先行き懸念が高まるなか、コストの上昇で企業収益が圧迫されれば、景気の減速とインフレ再燃が同時に発生する「スタグフレーション」の懸念がさらに高まるだろう。上述した米国10年債利回りの動向は、その可能性を早くも意識した動きと考えることができる。

米小売り大手の決算に注目、個人消費の懸念高まれば株安の進行を警戒

米国経済の先行き懸念は、2月下旬からじわじわと高まっている。そのきっかけとなったのが、こちらのIGコモディティレポートで取り上げた経済指標-消費者マインドの低下と期待インフレ率の上昇だった。

経済指標以外でも個人消費の先行き懸念を高めた要因があった。それが、先月20日の米小売り最大手ウォルマート(WMT)の決算だった。2025年2月から1年間の通期調整後の1株当たり利益が2.50~2.60ドルと、ブルームバーグがまとめたアナリスト予想平均の2.66ドルを下回った。小売り最大手のウォルマートが示した慎重な利益見通しは、個人消費の先行き懸念を高めた。

今週の4日にターゲット(TGT)が第4四半期決算、6日にコストコ(COST)が第2四半期決算を発表する。ウォルマートと同じく焦点は業績の見通し(ガイダンス)となろう。投資家の期待を下回るガイダンスが示される場合は、個人消費の先行き懸念をさらに高める要因になり得る。経済指標だけでなく、小売り決算でも米株安が進行する展開を警戒したい。

米小売り企業の決算見通し

米小売り企業の決算見通し

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / カッコ:前年同月比(通期は前年比)

株価は、個人消費の減速を先取りする状況にある。年初来の動向を確認すると、S&P500のパフォーマンスを上回っているのがコストコとウォルマートのみである。

だが、2月後半以降はコストコの上昇が抑制されている。ウォルマートは決算後の軟調地合いが続いている。ディスカウントストアを運営するダラーゼネラルとダラーツリーは指数のパフォーマンスを下回っている。ターゲットは年初来で10%下落している。

トランプ関税によるインフレ再燃が警戒されるなか、経済指標だけでなく小売りの決算も個人消費の懸念を高める場合、スタグフレーションが新たなリスク要因として米国株の前に立ちはだかる展開を想定しておきたい。

S&P500と小売り株の動向:年初来

S&P500と小売り株の動向:年初来

ブルームバーグのデータで筆者が作成


ナスダック100は調整局面入り目前、目先の見通しとテクニカルライン

調整局面入り目前、52週線のトライを想定する局面に
ナスダック100は現在、2月19日の終値ベース高値22,175.60ポイントから約8%下落する状況にある。直近の高値から10%以上下落すれば、調整局面入りのサインが点灯する。今週の経済指標と大手小売り企業の決算が株安の要因となる場合は、52週線と昨年8月以降の高安で算出される半値戻しが展開している19,840ポイントのトライを想定したい。

・ナスダック100が週間予想レンジの下限19,840ポイントをトライするサインとして、以下にまとめたサポートラインの攻防に注目したい。最初の焦点は、週足チャートにプロットしたフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準20,397ポイントと200日線である。200日線は昨日時点で、20,211ポイントで推移している

・ナスダック100が200日線を下方ブレイクすれば、心理的節目の20,000ポイントの維持が焦点に浮上しよう

・ナスダック100が20,000ポイントをも下方すれば、52週線を視野に下落幅の拡大を想定したい。この移動平均線は今週、昨年8月の安値と今年2月に付けた最高値の半値戻しの水準19,833ポイント付近で推移している。2つの重要なテクニカルラインが展開している19,840ポイント前後は、節目の20,000ポイント以上に重要なサポートラインと想定したい

サポートライン
・20,397:38.2%戻し(週足)
・20,211:200日線(3/3時点、日足)
・20,000:心理的な節目(日足)
・19,843:52週線(3/3時点、週足)
・19,833:半値戻し(週足)

反発の局面では89日線までの反発を想定
一方、今週の経済指標と小売り決算で景気不安が後退する場合は、ナスダック100の反発を想定したい。しかし、日足のMACDとモメンタムは弱気相場の勢いが増していることを示唆している。13週線は上昇から下落基調へ転じている。トランプ関税が矢継ぎ早に発動されることも考えるならば、景気不安は米国株の重石となろう。
ゆえにナスダック100が反発しても、上昇幅が限られる可能性がある。今週は、89日線をレンジの上限と想定したい。

・ナスダック100が89日線をトライするサインとして、まずは5日線の攻防に注目したい。この移動平均線は20,800ポイント台で推移している

・5日線を上方ブレイクする場合、次は26週線のトライが焦点となろう。この移動平均線は今週、20,888ポイント付近で推移している。このテクニカルラインの上方ブレイクは、21,000ポイントをトライするサインと捉えたい

・21,000ポイントの攻防では、このラインがレジスタンスへ転換するかどうか?が焦点となろう。レジスタンス転換となれば、地合いの弱さを市場参加者に印象付けよう。一方、21,000ポイントを上方ブレイクすれば、予想レンジの上限である89日線を視野に上昇幅の拡大を想定したい

レジスタンスライン
・21,181:89日線(日足)
・21,000:レジスタンスライン(日足)
・20,888:26週線(週足)
・20,826:5日線(3/3時点、日足)


ナスダック100のチャート

日足:年初来

日足:年初来

出所:TradingView

週足:24年7月以降

週足:24年7月以降

出所:TradingView


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