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アメリカ株 3週ぶり反発も底打ち判断は早計、米国債がリスク資産に S&P500 今週の見通し

先週のS&P500は3週ぶりに反発して終えた。一方、米国債と米ドルは売られた。「米国リスク」を意識したこれらの動きを考えるならば、S&P500が底打ちしたと判断するのはまだ早い。今週も上下に振れる不安定な相場を警戒したい。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

記事のサマリー

先週の主要な米株価指数は反発して終えた。米国株式市場の時価総額のうち約80%をカバーするS&P500は、2023年11月以来の大幅上昇となった。しかし、米国株が底打ちしたと判断するのは早計だろう。安全資産の米国債が売られ、外為市場では米ドル安が続いている。「米国リスク」を象徴する動きである。今週のS&P500は、反発局面での「急反落」を警戒したい。週間の予想レンジは5,000~5,700ポイント。



S&P500、23年11月以来の上昇も底打ち判断は早計

7~11日週の主要な米株価指数が反発して終えた。米国株式市場の時価総額のうち約80%をカバーするS&P500は、2023年11月以来の大幅上昇となった。米大手銀行のJPモルガン・チェース(JPM)の好決算とボストン地区連銀のコリンズ総裁が情勢次第で金融市場を支援する意向を示したことが材料視された。

しかし、S&P500が底打ちしたと判断するのは早計だろう。そう考える理由の一つが、米債券市場と金価格の動きにある。

S&P500の週間変動率:2023年9月以降、2025年4月11日の週まで

S&P500の週間変動率:2023年9月以降、2025年4月11日の週まで

ブルームバーグのデータで筆者が作成


安全資産のゴールド、リスク資産の米国債

景気の動向を織り込んで動く米10年債利回りは先週11日、4.58%まで上昇する局面が見られた。9日の市場では20年債と30年債が5%へ到達する局面が見られた。

現在の米国市場は、トランプ関税によるスタグフレーションの懸念が強く意識される状況にある。本来であれば、景気の先行き懸念は安全資産である米債買いの需要を高める要因である。しかし、先週の市場では突如として米国債が売られ金利が上昇した。

先週の米債売りについて市場では、デリバティブ取引による売りや海外ヘッジファンドの売りなど様々な憶測が流れている。今後注視すべきは中国政府の動きとなろう。米財務省の対米証券投資統計によれば、中国政府は今年の1月時点で米国債を7,608億ドル保有している。昨年12月の7,590億ドルから増加した。しかし2014年以降、中国政府は米国債の保有を徐々に減らしている。

先週8日に3年債、9日に10年債の米国債入札が行われたが、中国は参加しなかったとの情報が流れた。米中間では関税の報復合戦が激化している。インフレ再燃のリスクが意識されるかで、中国が米国債売りのカードを切る可能性がくすぶる状況も考えるならば、米債市場の不安定な動きは今週も続くことが予想される。

中国の米国債保有高の推移:2000年以降

中国の米国債保有残高の推移:2000年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

米国債の不安定な状況が続く可能性を示唆しているのが、予想変動率を示すMOVE指数である。先週8日に139.88と、2023年10月以来の水準(141.67)まで上昇する局面が見られた。米国債のボラティリティ拡大を警戒する市場心理を示唆する動きである。

MOVE指数:日足 2023年9月以降

MOVE指数:日足 2023年9月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

一方、スポットの金価格は史上初めて3,200ドル台へ到達し、最高値を更新した。本来であれば、米金利の上昇はゴールドの売り要因である。それでも金価格が最高値を更新した状況は米国債が「リスク資産」として認識され、安全資産の地位から陥落しつつある状況を示唆している。

米国10年債利回りとスポット金価格のチャート:1時間足 4月8日~11日

米国10年債利回りとスポット金価格のチャート:1時間足 4月8日~11日

出所:TradingView


強まる景気不安、利下げを催促する市場

短期金融市場の動きにも注目したい。先週11日の時点で今年12月末の政策金利の予想水準が3.57%前後へ低下している。4月8日には一時3.26%まで低下し、4回利下げの可能性が意識された(FOMC参加者は今年2回の利下げを想定)。

3月18-19日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれた。パウエルFRB議長はトランプ政策を見極める必要性に言及し、利下げを慎重に進める姿勢を示した。FOMC翌日の(日本時間3月20日)の予想水準は3.6%台だった。政策金利の予想水準がジリジリと切り下がる今の状況は、トランプ関税による景気不安に対応するため、米FRBが2回以上の利下げに追い込まれる可能性を意識した動きと言えよう。

だが、トランプ関税はインフレを再燃させるだろう。軽率な利下げはその可能性をより高める要因となろう。よって、パウエルFRB議長は慎重に事を進める姿勢を維持するだろう。だが、後手に回れば景気不安が強まる。米FRBの限界もまた、米国市場(株式と債券)の不安定化を招く要因になり得る。

米国 政策金利の予想推移

米国 政策金利の予想推移

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / OISに基づく予想 / 4月11日時点


S&P500 今週の注目材料は決算と小売売上高、上下のテクニカルライン

企業決算と3月の小売売上高
11日の米国株が反発した一因となったのが、JPモルガン・チェース(JPM)の好決算だった。今週から米企業の決算発表が相次ぐ。ゴールドマンサックス(GS)やシティグループ(C)など銀行決算の他、17日(日本時間18日早朝)のネットフリックス(NFLX)の決算も材料視されよう。焦点は業績の見通しにある。投資家の不安心理を後退させる強気の見通しが相次げば、短期的な米国株の買い戻し要因となろう。一方、トランプ関税による景気懸念を意識した弱気の見通しが相次ぐ場合は、米株安を警戒したい。

経済指標では、3月の小売売上高が材料視されるだろう。ブルームバーグの市場予想では、 国内総生産(GDP)の算出に使用されるコア指数(コントロール・グループ)を含め、3月の個人消費は堅調な伸びを示すことが見込まれている。堅調な小売売上高は、米国株の買い戻し要因となろう。

強い予想であるがゆえに警戒すべきは、その予想を下振れる場合である。4月のミシガン大学消費者態度指数(速報値)は50.8と、3月確報値の57.0から低下した。ブルームバーグ予想の53.8も下回り、2022年6月(50.0)以来の低水準となった。3月小売売上高でも個人消費の先行き懸念を強める内容となれば、スタグフレーションの懸念が米国株の重石となろう。

米国 小売売上高:直近1年間

米国 小売売上高:直近1年間

ブルームバーグのデータで筆者が作成

今週のレジスタンスライン、予想レンジの上限は5,700レベル
米国500(S&P500が原資産の株価指数CFD、以下S&P500)の1時間足チャートでトレンドを確認すると、下値の水準が切り上がり、パラボリックでは買いのシグナルが点灯している。MACDもゴールデンクロスでゼロラインを上回る状況にある。ひとまず弱気地合いが後退している状況で、上で取り上げた今週の注目材料が米国株の買い戻し要因となれば、以下にまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。

変動幅が拡大しやすい状況にあることを考慮し、週間の予想レンジ上限は5,700ポイント前後と想定したい。この水準はトランプ関税が発表された際の米国500(S&P500が原資産の株価指数CFD)が付けた高値レベルである(1時間足チャートを参照)。テクニカルの面では、5,760ポイントまで低下している50日線のトライが焦点となろう。

S&P500が5,700ポイントをトライするサインとして、レジスタンスラインへ転換する可能性がある5,400ポイント、半値戻しと20日線が展開している5,500ポイント、そしてフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準5,646ポイントと、100ポイントのレンジでの攻防に注目したい(いずれも日足チャートを参照)。

レジスタンスライン:日足チャート
・5,700:予想レンジの上限、50日線
・5,646:61.8%戻し
・5,500:半値戻しと20日線が展開
・5,400:レジスタンスライン

今週のサポートライン、予想レンジの下限は5,000レベル
上で述べたとおり米国債は現在、「リスク資産」として認識されている。S&P500の反発局面では、米金利の急上昇による「急反落」を警戒したい。週間の予想レンジ下限は5,000ポイント前後。この水準は、相場が反発した先週9日以降の高安のフィボナッチ・リトレースメント74.6%戻しの水準にあたる(1時間足チャートを参照)。

S&P500が5,000ポイントを目指すサインとして、まずは日足の一目転換線の攻防に注目したい。このテクニカルラインの下方ブレイクは、5,100ポイント台へ反落するサインと捉えたい。

38.2%戻しをも下方ブレイクし半値戻しを一気にトライする場合は、5,100ポイントの維持が焦点となろう。半値戻しの下方ブレイクは、5,000ポイントをトライするサインとなろう。

サポートライン
・5,265:一目転換線(日足)
・5,168:38.2%戻し(1時間足)
・5,091:半値戻し(1時間足)
・5,000:予想レンジの下限(1時間足)


米国500のチャート

1時間足:4月2日以降

1時間足:4月2日以降

出所:IGチャート

S&P500のチャート

日足:今年2月以降

日足:今年2月以降

出所:TradingView


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