【IG米国株レポート】 ナスダック100、今週の見通しとチャートポイント
長期ゾーンの利回りと実質金利の上昇や中国の景気不安を受け、米国株は反落相場へ転じている。特にナスダック100は重要なチャートポイントをブレイクする展開となっている。今週のナスダック100の見通しは?注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG米国株レポートをご覧ください。
サマリー
・ナスダック100とアメリカ実質金利の関係に変化が生じている
・実質金利の上昇が続けば、ナスダック100はさらに下値トライを警戒する局面に
・ナスダック100の下落局面では、14,300の維持が焦点となろう
・一方、上昇の局面では2つの移動平均線の “レジスタンス転換” に注目したい
変化が生じているナスダック100と実質金利の関係
こちらのレポートで指摘したとおり、今週の米国株は引き続きアメリカ金利、特に長期ゾーンの利回り動向に影響を受けることが予想される。
特にハイテク株比率の高いナスダック100(NDX)は、米金利の影響を受けることが予想される。
そう考える理由は、ナスダック100と実質金利(10年の実質金利)との関係に変化が生じていることにある。
この点を下のラインチャートで確認すると、3月に発生した地銀の連続破綻による金融システム不安が後退して以降、ナスダック100は上昇トレンドを形成してきた。
一方、アメリカの債券市場では、景気の底堅さと連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ姿勢を受けて利回りが上昇した。直近では、米国債の需給に対する市場参加者の警戒心も長期金利の押し上げ要因となっている。
基本的に長期金利と実質金利の上昇は、株式市場にとってネガティブな要因である。しかし、下のチャート(緑ゾーン)を確認すると、ナスダック100と実質金利の上昇が同時に発生していることが分かる。
AIが一大テーマとなり、エヌビディア(NVDA)やメタ・プラットフォームズ(META)など、ごく少数の主力ハイテク株の上昇がナスダック100をサポートしてきたとはいえ、7月下旬までは実質金利の影響を跳ね除けるだけの力強さがナスダック100にはあったことをこの期間の上昇トレンドは示している。
しかし8月に入ると、両市場の関係性に変化が生じている(下チャートの赤ゾーンを参照)。こちらのレポートで指摘したとおり、現在アメリカの債券市場では3つの要因が意識され、長期ゾーンを中心に利回りが上昇している。
10年債利回りは先週、昨年10月以来となる4.3256%まで上昇する局面が見られた。この動きを受け8月以降、実質金利の上昇幅が拡大していることが分かる。
注目すべきは、ナスダック100が実質金利の上昇に追随できずに下落トレンドへ転じていることである。
そして他の主要な株価指数も同じく下落トレンドへ転じている。これらの動きは、実質金利の上昇に米国株が耐えきれなくなってきたことを示唆している。
ゆえに、今週も長期ゾーンの利回りと実質金利の上昇が続く場合、ナスダック100の下落幅が拡大することが予想される。
ナスダック100とアメリカ実質金利のチャート:日足 23年3月以降
下落局面でのチャートポイント
ナスダック100(NDX)のトレンドを日足チャートで確認すると、重要ポイントの14,675レベルをローソク足の実体ベースで下方ブレイクしている。
この水準は6月下旬にサポートへの転換が確認された経緯がある。その水準を難なく下方ブレイクしている今の状況は、ナスダック100の地合いの弱さを示唆している。シグナルラインとのデッドクロスが示現し、かつゼロラインを下回る状況にあるMACDもナスダック100の地合いの弱さを示唆している。
上で述べたとおり、今週も長期ゾーンの利回りと実質金利の上昇基調が続く場合は、ナスダック100のさらなる下落を警戒しておきたい。
このケースでは、20日MAと50日MAとの間で、デッドクロスの展開となることが予想される。この状況が確認される場合は、市場参加者に地合いの弱さをより意識させるだろう。
ナスダック100の下落局面で注目したいのが、14,300レベルの攻防である。14,332レベルは、4月25日安値と7月19日高値の半値戻しの水準にあたる。一方、100日MAが14,294レベルまで上昇してきている(18日時点)。2つの重要なテクニカル指標が展開している14,300レベルを、今週の重要なサポートポイントと想定しておきたい。
ナスダック100が14,300レベル(100日MA)を完全に下方ブレイクする場合は、さらなる下値トライのシグナルとなり得る。
このケースでは、14,000台の維持が次の焦点となろう。すぐ下の水準13,952レベルはフィボナッチ・リトレースメント61.8%にあたる。テクニカルの面でも14,000レベルは、14,300レベルと同じく重要なサポートポイントと想定しておきたい。
ナスダック100のチャート:日足 23年2月以降
反発局面でのチャートポイント
4時間足でナスダック100(NDX)のトレンドを確認すると、ストキャスティクスは売られ過ぎの水準で推移している。一方、RSIは売られ過ぎの水準から反発のムードにある。これらオシレーター系指標の動向を考えるならば、米金利の上昇が一服する局面では、相場の反発が予想される。
ナスダック100の反発局面では、先週14日と15日に相場の上昇を止めた50日MA(18日時点15,193レベル)の攻防が焦点となろう。すぐ上の水準に20日MAが推移している状況も考えるならば、15,200レベルの攻防に注目したい(上の日足チャートを参照)。これら移動平均で相場の戻りが止められる場合は、下落トレンドが続くシグナルになり得る。
一方、ナスダック100が20日MA(18日時点15,283レベル)を完全に上方ブレイクする場合は、直近高安のフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準15,400レベルおよび76.4&%の水準15,600レベルの攻防に注目したい。
直近のトレンドを重視するならば(下チャートの青矢印を参照)、これらのリトレースメントの水準は、レジスタンスポイントとして意識される可能性がある。
ナスダック100のチャート:4時間足 23年7月以降
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