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【米国株】トランプ米政権「米国売り」再燃を警戒か、要人発言に一喜一憂、S&P500に決算の壁

米国株はトランプ大統領やベッセント財務長官の言動に一喜一憂する不安定な状況にある。今週以降のS&P500には、関税リスクだけでなくハイテク決算の壁も立ちはだかる。変動幅の拡大を警戒する状況が続こう。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

記事のサマリー

トランプ米大統領が連邦準備制度理事会(FRB)に早期の利下げを要求したことを受け、中銀の独立性に対する懸念が強まっている。相互関税による景気懸念も重なり、21日の市場では「米国売り」が再燃した。しかし、22日の米株式市場はベッセント財務長官の発言で急反発した。米長期金利の上昇は一服し、外為市場では米ドルが買い戻された。政権要人の言動に一喜一憂する今の状況は、かえって米国株の先行き不透明感を市場参加者に意識させるだろう。
今週以降、S&P500には関税リスクだけでなく決算の壁も立ちはだかるだろう。テスラの第1四半期決算は減収減益だった。次はアルファベットの決算に注目が集まろう。S&P500は引き続き、上にも下にも大きく振れる不安定な相場を警戒したい。


トランプ米政権「米国売り」再燃を警戒か、要人発言に一喜一憂の米国株

21日の米国市場と外為市場で「米国売り」が再燃した。トランプ米大統領は自身のSNSで、景気を下支えするために連邦準備制度理事会(FRB)に対して早期の利下げを行うことを要求し、パウエルFRB議長を「ミスター遅すぎる男」と批判した。相互関税によるスタグフレーションの懸念が強まるなか、米FRBの独立性を脅かすトランプ氏の言動は米国市場の信認を揺るがし、米国市場は「株安・債券安」の展開となった。外為市場では米ドル安が進行した。22日のIG為替レポートで述べたとおり、米ドル相場のトレンドを示すドル指数は98ポイント割れの局面が見られた。2022年3月以来の米ドル安水準である。

しかし、22日の市場は真逆の展開となった。スコット・ベッセント米財務長官が投資家との非公開の会合で、米中間の貿易摩擦が緩和することを見込む発言をしたとブルームバーグが報じた。貿易戦争の緩和期待で米株式市場では主要指数がそろって前日比2%を超える大幅高となった。外為市場では米ドルが買い戻され、節目の140円を下抜けたドル円(USD/JPY)は141円台へ急反発。本日早朝には143円台まで上昇する局面が見られた。米10年債利回りは4.4%台から4.3%台へ低下した。

トランプ米大統領は、パウエルFRB議長を解任する意図はないと表明した。米政権の要人による一連の言動、特にパウエルFRB議長を巡るトランプ米大統領の言動の変遷は、「米国売り」の再燃を警戒していることをうかがわせる。この点を敏感に意識してか、23日の米株価指数CFDは22日の流れを維持し軒並み上昇している。日本やドイツの株価指数も大幅上昇でリスク選好ムードにある。

IG証券の株価指数CFD:午後12時時点の動向

IG証券の株価指数CFD:午後12時時点の動向

出所:IG証券の取引プラットフォーム


VIX指数の高止まりが示唆する根強い投資家の警戒心

昨日の米株式市場は、ベッセント財務長官の発言で大幅反発の展開となった。トランプ大統領がパウエルFRB議長の解任を否定したことも、一時的にせよリスク回避ムードを後退させる要因となろう。

だが、先行きに対する投資家の警戒心は根強い。この点を示唆しているのがS&P500を対象とするオプション取引のボラティリティを基にシカゴ・オプション取引所(CBOE)が算出・公表しているVIX指数である。「20」を超えると投資家の不安心理が高まっているとされるこの指数は4月4日以降、「30」が下限となっている。

ベッセント氏の発言に反応した昨日の米株高は、米中の貿易交渉を市場参加者が重視していることを示唆した。ゆえに、今後は米中交渉のヘッドラインが米国株を大きく動かす要因となるだろう。ベッセント氏の言う通り米中摩擦が緩和の方向に向かえば、米国株は22日のような急反発の展開が予想される。一方、VIX指数が高止まりするなかで貿易交渉を巡り米中の対立が先鋭化すれば、下落相場を警戒したい。

VIX指数:日足 年初来

VIX指数:日足 年初来

ブルームバーグのデータで筆者が作成


米国株に決算の壁、テスラ減収減益、アルファベット決算を警戒

今週以降の米国株は、関税交渉の報道に加えてマグニフィセントセブンの決算でも大きく動くことが予想される。

電気自動車大手のテスラ(TSLA)が22日の引け後に2025年1-3月期(第1四半期/1Q)決算を発表した。売上高は前年同期比9.2%減の193億3500万ドル、営業利益が同比66%減の3億9900万ドル、最終利益は71%減の4億900万ドルだった。1年ぶりの減収減益となった。株価は時間外で上昇したが、決算の内容を精査した23日以降の動きを注視する必要がある。

テスラ1Q決算の概要
・売上高:193億3500万ドル (予想:213.7億ドル)
・営業利益:3億9900万ドル (予想:11億3000万ドル)
・調整後1株利益:27セント (予想:43セント)
・粗利益率16.3%        (予想:16.1%)
※アナリスト予想:ブルームバーグ調査

次は、24日引け後に第1四半期決算(1Q)を発表するアルファベット(GOOGL)に注目が集まろう。19日の米国株レポートで指摘したとおり、焦点は第2四半期(2Q)の業績見通しとなろう。特にクラウド事業の成長性が重要視されるだろう。

アルファベット2Qの業績予想
・売上高:933億9,400万ドル(前年同期比10.21%増)
・1株利益:2.13ドル(前年同期比12.51%増)
・クラウド事業の収益:132億2,000万ドル(前年同期比27.77%増)
・クラウド事業の営業利益:21億7,300万ドル(前年同期比85.38%増)
※アナリスト予想:ブルームバーグ調査、4月23日 午前11時時点

アルファベットの株価見通し
強気の見通しで成長懸念を払しょくできれば、2月の終値ベース高値から31%下落しているアルファベットの株価は反発することが予想される。20日線とトライアングル上限を突破すれば、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準166レベルと交錯している50日線(22日時点で165.77ドル)や19日のレポートで述べた13週線、52週線のトライが視野に入ろう。アルファベットの決算が投資家の期待を上回る内容となれば、他のハイテク株の買い戻しを促す要因にもなり得る。

問題は、投資家を失望させる見通しが示される場合である。この場合、同社の株価は4月7日の安値140.53レベルの下方ブレイクと節目の140.00ドル割れを警戒したい。株価が140ドルを下抜ける場合は、19日のレポートで取り上げたサポートラインのトライを想定したい。

アルファベットの株価チャート:日足 年初来

アルファベットの株価チャート:日足 年初来

出所:TradingView


S&P500の見通しとテクニカルライン

まずは5,400の攻防が焦点に、5,500までの反発を想定
日足の一目均衡表、MACD、DMIはいずれもS&P500が弱気地合いにあることを示唆している。一方、IG証券の米国500(S&P500が原資産の株価指数CFD)の1時間足チャートでは、下落基調のトレンドチャネルを上方ブレイクし、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準5,372ポイントを突破する局面が見られた。MACDもゼロラインを上回る状況にあり、パラボリックでは買いシグナルが点灯している。これらテクニカルラインの動向を総合的に考えるならば、S&P500は弱気地合いのなかの「反発」を意識する局面にある。

S&P500が反発基調を維持する場合、目先は5,500ポイントのトライが焦点となろう。この水準は、2月高値と現時点での4月安値の半値戻しの水準にあたる(日足チャート、黒矢印を参照)。また4月9日の反発局面では、このラインの手前で反落した経緯がある。

現在、レジスタンスラインとして意識されている日足の一目基準線がサポートラインへ転換すれば、短期的な買い戻しが続く可能性を市場参加者に意識させる要因になり得る。このケースでは、5,400ポイントの突破を想定したい。本日早朝の株高局面では、この水準がレジスタンスラインとして意識された(1時間足チャートを参照)。

S&P500が5,400ポイント台へしっかりと上昇する場合は、5,500ポイントを視野に上昇幅の拡大を想定したい。今月14日に米国500の反発を止めた5,460レベルの突破は、5,500ポイントをトライするサインと想定したい。

レジスタンスライン
・5,500:4月9日の高値レベル、半値戻し(1時間足、日足)
・5,460:4月14日の高値水準
・5,400:レジスタンスライン(1時間)

節目の5,000トライを警戒
上で述べたとおり、現在の米国株は政権の要人発言で一喜一憂する不安定な状況にある。VIX指数も高止まりしている。米国株にとってネガティブな言動があれば、今の反発ムードは一気に萎むだろう。相場の上昇局面では「急反落」を警戒したい。

S&P500が再び下値をトライする局面では、節目の5,000ポイントを再トライする可能性を意識したい。この水準は、4月9日に発生した急反発の高安のフィボナッチ・リトレースメント76.4%にあたる(1時間足チャートを参照)。このラインをトライするサインとして、以下にまとめた各フィボナッチ・リトレースメントの攻防に注目したい。特に21日の下落を止めた61.8%の水準5,091ポイントの攻防に注目したい。5,100ポイントを維持できるかどうか?を見極めるテクニカルラインでもある。

サポートライン:1時間足
・5,244:38.2%戻し
・5,168:半値戻し
・5,091:61.8%戻し
・5,000:心理的節目、76.4%戻し


S&P500のチャート

日足:2月以降

日足:2月以降

出所:TradingView

米国500のチャート:1時間足 4月以降

米国500のチャート:1時間足 4月以降

出所:TradingView


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