アマゾン株、上昇控えめ 好決算も反応薄 4-6月期見通し期待外れ
アマゾンが示した4-6月期の総収入の見通しは市場予想を下回った。時間外取引での株価は1%程度の上昇にとどまっている。
アマゾン・コムが4月30日の取引時間終了後に発表した2024年1-3月期決算は総収入と利益がともに市場予想を上回った。人工知能(AI)サービスの提供基盤となっているクラウド事業の成長も加速している。ただ、4-6月期の見通しは市場予想を下回り、投資家は完全には満足しなかったもよう。アマゾンの株価は30日の時間外取引で1%程度の値上がりとなり、大幅な上昇には至っていない。
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アマゾンの1-3月期決算は総収入とEPSが予想超え
アマゾンの1-3月期決算は総収入が前年同期比12.5%増の1433.13億ドル、1株当たり利益(EPS)が約3.2倍の0.98ドルだった。LSEGがまとめた直前の市場予想は総収入が1424.97億ドル、1株当たり利益が0.82ドル。発表された実績はいずれも予想を上回る好決算だった。
投資家の注目度が高いクラウド事業は収入が前年同期比17.2%増の250.37億ドル。3四半期連続で伸び率が加速する好調ぶりだった。顧客企業の業務インフラ投資への意欲とアマゾンのAIサービスの魅力がクラウド事業の成長を勢いづかせたとしている。アンディ・ジャシーCEOは決算会見で、クラウド事業でのAIサービス展開は「まだ初期の段階にある」として今後の成長の見通しに自信を示した。
また、ネット通販を主な収益源とする北米事業と国際事業では、国際事業の営業利益が9.03億ドルとなり、11四半期ぶりの黒字転換を果たした。ジャシー氏は国際事業の将来性について「とても強気だ」とし、北米事業で成果を上げた配送網効率化などの取り組みを国際事業でも進めるとしている。
アマゾンの4-6月の見通しは予想割れで株価は沸かず
ただ、アマゾンが示した4-6月の見通しは期待外れだった。総収入の見通しは1440億-1490億ドル。中間値の1465億ドルはLSEGがまとめた予想の1500.72億ドルを下回った。アマゾンの見通しは前年同期比9.0%増にあたる水準で、1-3月期から成長が大きく減速することになる。
こうした発表を受けて、アマゾンの株価(AMZN)は控えめな上昇となっている。30日の時間外取引では177ドル前後での取引が続き、30日の終値(175.00ドル)との比較では1%程度の上昇率だ。瞬間的には6%高をつける局面もあったが、投資家は発表内容を全面的に歓迎したわけではなかったようだ。
アマゾンは配当支払いを表明せず 設備投資は増加へ
投資家の関心はアマゾンが配当金の支払いを行うかにも集まっているが、ブライアン・オルサブスキーCFOは決算会見で「長期的な成長機会への投資が優先事項だ」と述べ、余裕資金はAI投資などに振り向ける見通しを示唆した。2024年の設備投資は2023年よりも「かなり大きくなる」としている。
大手ハイテク企業の決算ではアルファベット(GOOGL)が25日に初の配当実施を発表して株価を急騰させた。また、メタ・プラットフォームズ(META)は2月の配当開始発表で株価が大きく値上がりしたが、24日の1-3月期決算発表では設備投資の負担増が悪材料視されて株価が急落していた。今回のアマゾンの決算は配当実施や設備投資の見通しでも投資家の期待を膨らませることはできなかった。
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