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6月米CPIと米国債利回りの反応 / 外為市場の予想シナリオ

今日の注目材料は6月の米CPI。焦点は米債市場の反応。米国株の動向も外為市場のトレンドに影響を与えよう。想定される外為市場のシナリオは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

6月米CPIと米国債利回りの反応


【サマリー】
・国際通貨基金(IMF)は今年と来年の米経済成長見通しを下方修正
・今日の注目材料は6月米CPI
・米CPIの結果を受けた米国債利回りの反応に注目
・外為市場の予想シナリオ


・6月CPIと米国債利回りの反応

国際通貨基金(IMF)は、インフレリスクを理由に今年の米経済成長率を2.3%(6月時点2.9%)から下方修正した。来年の成長見通しについても1.0%(6月時点1.7%)と同じく下方修正した。

インフレリスクに対する各市場参加者の思惑を左右する材料として、今日は6月の米消費者物価指数(CPI)に注目が集まろう。予想(前年同月比)は8.8%、コア(食料品やエネルギーを除いたインフレ率)が5.7%である。
今の高インフレの主因は、エネルギー価格の上昇によるところが大きい。よって、CPI全体の内容に注目したい。

米国のインフレ率(CPI)推移

米国のインフレ率(CPI)推移 米労働省 / 月次(2020年以降)前年同月比(%)


今回のCPIの注目点は、インフレの高止まり、もしくはその加速が確認される場合の米国債利回りの反応である。特に長期債利回り(10年債利回り)の反応を注視したい。

IMFが指摘した「インフレリスク→経済成長リスク」の方が強く意識されるならば、将来の景気動向を反映して動く10年債利回りは低下することが予想される。

一方、連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利上げのスタンスが維持されるとの観測により、2年債利回りの低下幅は、10年債利回りのそれと比べて限定的となる可能性がある。

現在、逆イールドの状況(10年債利回りと2年債利回りの格差)は、2007年以来の水準まで拡大している。米CPI発表後にこの動きがさらに加速すれば、米景気の先行きに対する米債市場の参加者の懸念を高める要因となり得る。

10年債利回りと2年債利回りの格差

10年債利回りと2年債利回りの格差 ブルームバーグのデータより作成 / 日足(2006年7月以降)

外為市場の予想シナリオ

・米金利の低下/米株安ケースのシナリオ

6月CPIで米国のインフレリスクが意識され10年債利回りが低下で反応する場合、外為市場は米国株の動きでトレンドが左右されると予想する。

米国市場が「金利低下 / 株安」という典型的なリスク回避相場となれば、資源国通貨や新興国通貨に対して米ドル買いの圧力が高まることが予想される。

そしてこのケースでは、円買いの圧力も高まるだろう。円相場は、クロス円を中心に円高優勢の展開となることが予想される。

ドル円(USDJPY)も下値トライとなる場合、目先の焦点は136円台の維持である。
あっさりと135円台へ下落する場合は、サポートラインとして相場の下落を止めている21日移動平均線(SMA / 今日現在135.63前後)の維持が次の焦点として浮上しよう。

また、135円台のサポートポイントとして注目しておきたいのが、直近の高安をベースとしたフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準135.06レベルである(135円台の維持)。

ドル円のチャート

ドル円のチャート TradingView 日足(今年5月以降)


・米金利の低下/米株高ケースのシナリオ

6月米CPIの内容を受け10年債利回りが低下する一方、米国株が上昇で反応する場合、外為市場では米ドル安優勢の展開が予想される。米CPIが総じて予想以下の内容となれば、このケース(金利低下/株高)が発生する可能性がある。

実際に米国市場が上述の反応を示す場合、リスク性の高い通貨(資源国通貨や新興国通貨)の買いだけでなく、短期間で下落幅が拡大していた欧州通貨(ユーロとポンド)でも買戻し優勢の展開が予想される。

パリティ水準(1ユーロ=1米ドル)の攻防が焦点となっているユーロドル(EURUSD)は、5日移動平均線(EMA)の突破に成功するか?まずはこの点を確認したい。

5日線の突破に成功する場合、次の焦点は1.02レベル(10日線)のトライ&ブレイクとなろう。

ユーロドルのチャート

ユーロドルのチャート TradingView 日足(今年5月以降)


・米金利の上昇/米株安ケースのシナリオ

6月米CPIが予想以上となり、インフレリスクとFRBの金融引き締め強化の思惑が強く意識される場合、米国株は下落で反応する可能性が高い。

このケースでの焦点は、米国債利回り(米利回り)の反応である。米利回りが上昇で反応する場合、外為市場では、米ドル買いの圧力が主要通貨に対して最も高まることが予想される。

このケースでは、ユーロドル(EURUSD)がパリティ水準(1ユーロ=1米ドル)以下の攻防へ完全にシフトする可能性を高めよう。また、対資源国通貨や新興国通貨でも米ドル高の展開が予想される。

一方、ドル円(USDJPY)は、米利回りの上昇がサポート要因となり137円台へ上昇する可能性がある。だが、直近の高値137.75レベルのトライ&ブレイクは米利回りの動向次第となろう。



・米金利の上昇/米株高ケースのシナリオ

6月米CPIの発表後に米国市場が「金利上昇 / 株高」で反応する場合、外為市場では米ドル高優勢の展開が予想される。

このケースで米ドル高が加速しやすい通貨ペアは、ドル円(USDJPY)である。米利回りの上昇による米ドル買い圧力と株高による円売り圧力が合わさることで、直近の高値137.75レベルのトライ&ブレイクとなるか?この点が一番意識されるのが最後のケースであると予想する。


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