アップル株、下落は止まるか 11月2日に決算発表 米中関係に不安
アップルの7-9月期決算は総収入の動向が焦点だ。米中関係の悪化も中国との関係が深いアップルの株価には重石となる。
アップルが11月2日の取引時間終了後に発表する2023年7-9月期決算は総収入の動向が焦点になる。9月発売のiPhone(アイフォン)15は販売不調が報じられ、市場関係者は7-9月期の総収入は前年同期よりも少なくなると予想。アップルが決算発表でこうした観測を打ち破れば、下落続きの株価が浮上するきっかけになる可能性もある。ただしアップル株の不振の背景には、売り上げと生産の両面で関係が深い中国とアメリカの対立が悪化することへの懸念もあり、投資家にとっての不安の種は決算発表後も残りそうだ。
アップルの7-9月期の総収入は1.0%減の予想
アップルは米国東部時間の2日午後5時(日本時間3日午前6時)に決算会見を開く。金融情報会社リフィニティブのデータによると、アップルの7-9月期決算に関する市場予想は、総収入が前年同期比1.0%減の892.85億ドル、1株当たり利益(EPS)が7.8%増の1.39ドルと見込まれている。アップルは過去14回の四半期決算のうち、総収入で2回、1株当たり利益で1回、市場予想を下回っている。
アップルの株価(AAPL)は2022年の1年間で約27%下落。約2割減だったS&P500種株価指数(SPX)を下回るパフォーマンスだった。一方、25日の終値(171.10ドル)は2022年末比31.7%高で、株価は大きく上昇している。ただし7月31日に高値(196.45ドル)つけてからは約13%下落している計算で、株価は不振といえる状況だ。
リフィニティブによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は25.90倍。スマートフォン市場でのライバルにあたる韓国サムスン電子(18.25倍)や、スマホの基本ソフトで競合するアルファベット(19.20倍、GOOGL)よりも割高になっている。アナリストが提示する目標株価の平均は198.71ドルで、現状よりも約16%高い。42人のうち11人が強い買い、18人が買いを推奨。12人は維持、1人は売りを勧めている。
7-9月期のiPhone販売額は2.4%増の予想
アップル株の下落は8月3日に発表した4-6月期決算で総収入が3四半期連続での減収となったことが嫌気されたことがきっかけとなった。総収入の約半分を占めるiPhoneの販売額が前年同期比2.4%減となり、全体の足を引っ張った。このため7-9月期は9月に発売したiPhone15シリーズのスタートダッシュに期待がかかるが、販売は1年前の14シリーズのペースを下回っているとも報じられている。iPhone販売額に関する市場予想は2.4%増で、2022年7-9月期(9.7%増)を下回る数字。アップルがこうした控えめな期待を大きく超える数字を出せれば、投資家にとっては安心材料となりそうだ。
ただしアップルの株価は米中関係の悪化にも下押しされてきた。9月6日に中国政府が政府職員に対してiPhoneなどの外国製端末を使わないように指示したと報じられた際は、3営業日で株価が6.1%下落。また、米商務省が10月17日に中国向け半導体輸出規制の強化を発表したことも、米中関係の悪化を印象付けた。アップルにとって中国を含む中華圏は、米州と欧州に次ぐ3番目の市場規模があり、生産拠点としてもつながりが深い。米中関係悪化はアップルの事業に大きな影響を与える懸念がある。
米中関係の悪化にはアップルも神経を尖らせているようだ。中国国営英字メディアのチャイナ・デイリーは18日、アップルのティム・クックCEOが北京で中国商務省の王文濤部長と会談し、米中両政府が対話を強化し、安定的な経済関係を維持することを支持すると述べたと報じた。ただ、中国の影響力拡大に対する米国内の警戒は容易には緩まないことも事実で、中国に対する依存度の高さがアップルの不安材料としてこれまで以上に意識されていく可能性もある。
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