ドル円と円金利について
リスク選好と回避、どちらの相場でもドル円の変動幅は限定的となっています。今回はその理由について考えてみました。キーワードは円金利です。詳細はマーケットレポートにて。
リスク回避局面でもドル円の下落幅は限定的 その要因とは?①
リスク回避局面(=株安局面)の外為市場では、米ドル高と円高が同時に発生するというのがこれまでのトレンドパターンである。そして「円高>米ドル高」のパターンも健在である。だが、直近のドル円は下落幅が限定的となっている。日米同時株安にもかかわらず、昨日は108.72でサポートされた。
対米ドルで円高が限定的となっている要因はいくつかある。ひとつは相殺要因としての米ドル高である。昨日は日本円とスイスフラン以外の主要通貨で米ドルは上昇した。
貿易収支の赤字が常態化し始めていることも円高圧力を後退させる要因である。経常黒字を土台とした円買い需要を縮小させるからだ。
上述した要因以外で現在筆者が注視しているのが、円金利の動向である。国際金融市場では、円と外貨(主に米ドル)をある一定期間、互いの金利を付加し「貸し合う」ことで資金を調達する取引がある。黒田日銀による「異次元緩和」導入後、円金利の指標のひとつであるLibor3か月物は低下基調を辿り、2016年1月にマイナス金利政策を決定して以降、ついにマイナス圏へと突入している。直近ではマイナス0.11%台まで低下する局面が見られた。しかし、昨年後半からそのマイナス幅が急速に縮小し始め、現在ではマイナス0.041%台で推移している。円金利のマイナス幅が拡大するということは、それだけ円が値引きされて借りることができるということである。このため、米ドルを保有している海外投資家にとっては、その米ドルを担保に円を安く借り、借りた円を原資にして他の投資にあてることができる。逆に言えば、マイナス幅が縮小すればする程、円を借りる動機がなくなる。円Libor(3か月物)が上昇し始めたのは、昨年11月以降である。この間、米株をはじめとする世界の主要な株価指数はリスク選好局面にあった。しかしドル円は、125.85(2015年6月に付けたアベノミクス導入後の最高値)を起点とした長期レジスタンスラインの突破に失敗し、現在(109.00前後)に至る。つまり、円金利の上昇により①リスク選好局面でも円を借りる需要が後退していた(=円キャリートレードが下火になっていた)→ ②リスク回避局面では円を買い戻す必要がない → ③だから現在ドル円の下落幅は限定的となっている、と考えることができる。
次回のレポートでは円金利以外の要因も考えてみたい。
円Libor(3か月物)
ドル円チャート
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