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米雇用統計後の展望 / ドル円とユーロドルのチャートポイント

サマリー:『外為市場は米雇用統計の後に大きく動く展開を予想。雇用統計が市場予想を上回る場合はドル高およびリスク回避相場を警戒。市場予想を下回る場合は米株にとってポジティブ。ドル円とユーロドルのチャートポイントについて』。詳細はマーケットレポートをご覧ください。

Source: Bloomberg Source: Bloomberg

米雇用統計後の展望

・5月雇用統計が市場予想を上回るケース

今日の各マーケットは、5月米雇用統計後に大きく動く展開が予想される。

結論から言うと、良好な雇用統計は米長期金利(以下では米金利)の上昇圧力を高めると同時に、株式や商品といったリスク資産の下落圧力を高める要因にもなると筆者は考えている。アメリカの雇用市場の改善はさらなる景気回復の期待を高めると同時に、FEDが資産購入の縮小(テーパリング)に踏み切る要因にもなり得るからだ。

前者は米金利の上昇要因である。そして米金利が上昇すれば、外為市場では昨日と同じく米ドル高の圧力が高まることが予想される。ドル円(USDJPY)は、年初からの上昇トレンドが抑制された110.96(3/31高値)のトライが焦点となろう。
一方、ユーロドル(EURUSD)は50日EMA(今日現在1.2096レベル)の攻防に注目したい。

FEDのテーパリングが市場の焦点となっているタイミングで『良好な雇用統計→米金利の上昇』となれば、米株にとってはネガティブである。ハイグロース株を中心に売り圧力が高まる展開を警戒したい。

また、『米金利の上昇→米ドル高』は、国際商品市況にとってネガティブである。商品価格の上昇にサポートされてきた資源やエネルギー関連の各セクターでも売り圧力が高まる展開を警戒しておきたい。


・5月雇用統計が市場予想を下回るケース

昨日はISM非製造業景気指数が発表された。総合では64.0と、前月の62.7から上昇し過去最高を記録した。

だが、雇用指数は55.3と58.8から低下した。製造業と同じく、サービス業でも企業の採用活動が滞っていることが確認された。

他の雇用指標では強い内容が確認されているが、ISM雇用指数の内容を考えるならば、前回(4月雇用統計)と同じく今回の雇用統計も予想から大きくかい離する結果となる可能性があることは意識しておきたい。

FEDのテーパリングが市場のテーマとなっている中で、雇用統計が市場予想を下回る場合、米金利は1.5~1.7%のレンジを維持する展開を予想する。

外為市場では、昨日進行した米ドル高の調整(反落)を予想する。だが、その幅は各通貨ペアでまちまちとなろう。円安トレンドにより下値がサポートされやすい状況にあるドル円は21日MA(今日現在109.39レベル)の水準以上で反転するかどうか?この点が焦点となろう。一方、ユーロドルは1.22台への再上昇に注目したい。

また、さえない雇用統計は米株にとって“良いニュース”となる可能性がある。テーパリングの観測が後退する要因となり得るからだ。
米金利の上昇が抑制される可能性があることも考えるならば、バリュー株、グロース株に関わらず、市場予想を上回る決算を公表した銘柄を中心に買い優勢の展開を予想する。

ISM雇用指数

ISM雇用指数

ドル円とユーロドルのチャートポイント

・ドル円

市場の短期的な予測を反映するリスクリバーサル(1週間)は上昇基調にある。そしてこの予測に沿うかたちでドル円(USDJPY)は昨日、節目の110円を大陽線で上方ブレイクした。NY終値ベースでも110円台の維持に成功している。

今の地合いの強さを考えるならば、次の上値の焦点は110.96レベル(3/31高値)のトライおよび突破となろう。

111円台へ上昇する場合は、その水準をNY終値ベースで維持できるかどうか?この点を確認したい。これに成功する場合は、111.00レベルがレジスタンスからサポートへ転換したシグナルとなる。このシグナルが点灯する場合、市場参加者にドル円の地合いの強さをさらに印象づけよう。

一方、下値の焦点は21日EMA(今日現在109.39レベル)の維持である。109.50レベルでの底堅さを考えるならば、まずは21日EMAのトライおよび維持となるか?この点を確認したい。

21日EMAを下方ブレイクする場合、次のターゲットは50日EMA(今日現在108.92レベル)である。5月の動向を考えるならば、サポートラインとして意識されやすいのはこちらのEMAである。

ドル円のチャート

ドル円のチャート

・ユーロドル

ユーロドル(EURUSD)は昨日、21日EMA(今日現在1.2156レベル)を大陰線で下方ブレイクした。新たなレジスタンスのポイントとして浮上している1.2260レベルで三度上値が抑制されての大陰線は、ユーロドルが再び調整相場へ転じるシグナルとなり得る。この点は、市場の短期的な予測を反映するリスクリバーサル(1週間)が低下基調にあることでもうかがえる。

ユーロドルが反落する中、今日は50日EMA(今日現在1.2096レベル)の攻防となるかどうか?この点が焦点となろう。1.21台の維持と言い換えても良いが、いずれにしても50日EMAをも下方ブレイクすれば、来週以降のユーロドルは、さらなる調整を意識する展開となることが予想される。

このケースでは、1.20レベルの維持が焦点となろう。4月の下旬以降、この水準はレジスタンスからサポートへ転換していることが確認されている。この状況が続く場合、ユーロドルは下限を1.20としたレンジ相場へシフトする可能性が出てくる。上値の焦点は1.22台の維持となろう。

逆に1.20をも下方ブレイクする場合は、4月から続いてきた上昇トレンドが転換するシグナルと考えたい。

ユーロドルのチャート

ユーロドルのチャート

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