イールドカーブと米国市場について
現在、イールドカーブという単語を目にする機会が増えています。イールドカーブを考える上でのポイントは?そして米国市場の見通しは?詳細は本日のマーケットレポートをご覧ください。
Analysis Highlights
・イールドカーブと米国市場について
年初からの米国市場を確認すると、「株高/金利低下」という歪な状況に陥っている(チャート1)。この状況が発生している要因は2つある。ひとつは、FEDの政策スタンスが急速にハト派へ転換していることである。これは金利の上昇リスクを警戒していた米株にとってはポジティブ要因であり、米金利にとってはネガティブ(米債買い)要因である。そして、短期間のうちに両者のかい離が急速に拡大している状況を考えるならば、米国経済(先行き)に対する警戒レベルに差異が見られることがもうひとつの要因である。現在、10年債利回りと3か月物利回りの逆イールドが話題となっている。だが、景気後退シグナルとして最も注視すべきは10年債利回りと2年債利回りのイールドカーブ(10YT-2YT)であり、こちらは逆イールドには陥っていない。10YT-2YTが逆イールドに陥っても、実際に景気後退局面へ突入するには、1年程のタイムラグがあるのが過去のパターンである。FEDリスクが後退し、且つ実際の指標データが未だ米国経済の堅調さを示している状況も考えるならば、米債市場のように株式市場がヒステリックに反応する理由はない。それ故、米株のボラティリティは低位で安定していると思われる。だが、FEDの金融政策がハト派へ転換して尚、10YT-2YTのイールドカーブが15bp前後で膠着状態にあるのも事実である。通常であれば、上昇するはずのイールドカーブが上昇しない現在の状況は、近い将来の景気後退を示唆するシグナルと考えられる。だからこそFEDは利上げスタンスを放棄し、米長期金利は株式以上に景気後退の可能性に敏感に反応していると考えられる。
今後注視すべきは、チャート1のかい離の収斂(しゅうれん)である。これから発表される米指標データがことごとく市場予想を上回るならば、長期金利が上昇することでイールドカーブに対する懸念は後退しよう。しかし、中国やユーロ圏経済の減速を考えるならば、このシナリオが実現する可能性は現時点で低い。よって、警戒すべきは米株安による収斂である。中国とユーロ圏に続き2020年以降の米国経済減速を指標データが示唆するならば、株式市場は半年先からこの点を織り込む可能性がある。筆者は年後半にも米株のボラティリティが拡大することで、米長期金利の低空飛行が続き、外為市場ではドル安圧力が高まる展開を予想している。
【チャート1:米株と長期金利の動向】
【チャート2:米金利のイールドカーブ】
・ドル円は株式にらみ ユーロドルは1.12台の維持が焦点
今日のドル円は引き続き株式にらみの展開となろう。チャートポイントは28日のレポート時点から変わらず。111.90および111.00にはオファー、110.00にはビッドの観測あり。一方、リトレースメント76.40%の水準を下方ブレイクしているユーロドルは、1.12台の維持が焦点となろう。1.1210および1.1200にはビッドが観測されている。上値の焦点は1.1300下で推移している21日MA(1.1299)となろう。1.1280から1.1300にかけてはオファーが並んでいる。詳細はチャートを参照されたし。
【チャート3:ドル円チャート】
【チャート4:ユーロドルチャート】
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