重要ラインをブレイクするドル円
現在の外為市場で最も注視すべきはドル円です。2016年以降、ドル円をサポートし続けてきた重要サポートラインを下方ブレイクしつつあるからです。さらに下値トライとなれば、完全に弱気相場入りしたとの印象を市場に与えるでしょう。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
Analysis Highlights
・重要ラインをブレイクするドル円
5月のISM製造業景況指数は市場予想(53.0)を下回り52.1へと低下。同指数は昨年8月の60.80をピークに低下基調を辿っている。昨夏以降、米中対立が激化し始めたことを考えるならば、同指数のトレンドは米中対立を警戒した企業心理を反映している。また、この日はブラード・セントルイス連銀総裁が近い将来の利下げについて言及。これらが材料視され米長期金利(以下米金利)は一時2.061%と、2017年9月上旬以来の水準まで急低下した。問題は米株の動向である。昨年12月下旬から今年4月までの米金利低下はすなわちFEDリスクの後退として市場で捉えられてきた。それ故米株はV字回復したわけだ。しかし現在は様相が異なり、5月以降「米株安 / 米金利低下」のトレンドを形成中。この状況下で最も注視すべきはドル円の動向である。アベノミクスが導入されてからのトレンドを確認すると、トライアングルの攻防となっていることがわかる。このレポートで何度か指摘してきた昨年10月高値114.54を起点とした短期レジスタンスラインは、アベノミクス最高値125.85を起点とした長期レジスタンスラインの一部に過ぎない。このレジスタンスラインの突破に失敗し続け、現在はトライアングルの下限、つまり重要サポートラインを下方ブレイクしつつある。金利先物市場では年内の米利下げを織り込み始めている。この状況では、米金利が持続的に上昇する可能性は低いだろう。米金利が低空飛行状態となる中、米株まで崩れるならば、ドル円はさらに下値トライの展開となろう。その米株だが、S&P500で2018年以降の下落と反転のパターンを確認すると、20日MAとの乖離がマイナス6%前後まで拡大後に反転していることが見て取れる。現在はマイナス3.3%前後のかい離となっている。昨日時点の20日MAが2,838ポイントで推移していることを考えるならば、現時点で2,650前後まで下落する可能性がある。
【ドル円 長期スパン】
【S&P500】
・ドル円とユーロドルの展望
本日のドル円は売り買い交錯を予想する。米株の反発をサポート要因と想定。だが、米金利の低空飛行が続く状況では上昇幅の拡大は望めない。昨日NYタイムで上値をレジストした108.50レベル、もしくはフィボナッチ・リトレースメント38.20%の水準108.65での反落を警戒したい。これらレベルではオプションバリアの攻防が想定される。一方、下値の焦点は昨日安値107.87の攻防となろう。この水準を下方ブレイクする場合は、昨日指摘した107.50レベルが次のターゲットとして浮上しよう。この水準は1月4日の安値レベルでもある。
ユーロドルは反発基調の維持を予想する。サポート要因は米金利の低空飛行である。だが、1.1250以上ではユーロ売り圧力が健在であることが昨日の動向であらためて確認できた。特に1.1265レベルでの売りの強さが際立っている。よって、上値の焦点はこのレベルの攻防となろう。突破に成功すれば、1.13台を視野に上昇幅の拡大を予想する。1.1280、1.1290、1.1300にはそれぞれオファーが観測されている。一方、下値の焦点は1.12台の維持である。
【ドル円】
【ユーロドル】
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