相場の鍵を握るAI、 その波を取り込もう!
米国ウィークリー2019/7/17号
- 米国株式市場は、7/5発表の雇用統計で後退したかに見えた「利下げ期待」が、7/10-11のパウエル議長による議会証言で復活した。NYダウが7/11に節目の27,000ドルを突破し、余勢を駆って7/12には27,300ドルを超えて引けた。2018/1の高値26,616ドルと2019/10の高値26,951ドルを結ぶ上値抵抗ラインに達し、「青天井の真空地帯入りか?」と期待したくなるところかも知れない。
- しかし、米国債市場の反応を見ると「利下げ期待」とは裏腹に、10年物利回りが7/3の1.95%から7/11には2.12%に17ベーシス上昇した。長期金利上昇自体は景気の堅調さを表す限りにおいては株価にプラスの面もあるが、利下げを期待して買われている現状からすれば矛盾を孕んだ株価高騰のように見える。この点に関しては、2年物利回りが7/3の1.76%から7/11の1.87%まで11ベーシスの上昇にとどまって長短利回りスプレッドが拡大していることから、「米国景気は基本的に堅調だが、米中貿易摩擦などのリスクや物価上昇率の伸び鈍化への予防的対応としての利下げによって、景気拡大は維持される」というシナリオに株式市場がベット(賭け)しているように見受けられる。
- その一方で、7/10に更新されたアトランタ連銀の「GDP Now」では、2019年2Q(4-6月)の米国GDP予想が前四半期比1.4%増(年率換算)に落ち込み、7/12に更新されたファクトセットの「Earnings Insight」では、2019年2QのS&P500株価指数ベースの予想利益が前年同期比3.0%減と2016年2Q以来3年ぶりのマイナスとなった。しかも2019/3末の同0.5%減予想から減少幅が拡大した。米国株価指数の最高値更新はファンダメンタルズ面の悪化と相反している面があり、高値更新の持続力に疑問符を付けざるを得ないだろう。
- 需給面では、低金利が資金調達需要を喚起し、設備投資や住宅投資以外にも、M&A資金として企業の外部成長、あるいは自社株買い資金としてROEの向上に資することを通じて株価上昇を後押しする可能性は考えられよう。
- いずれにせよ、今や株式市場にもAIによる機械学習やディープラーニングの波が押し寄せ、それを使いこなすヘッジファンドが主導権を握りつつあるのが現状であり、その代表格がジェームズ・シモンズ率いるルネッサンス・テクノロジーズだろうか。勝ち組ヘッジファンドに振り回されるよりは、そのAI投資を支える最新テクノロジー動向への感度を高めてAI関連銘柄に投資チャンスを見出し、銘柄選択の参考として取り込むのも賢明なのかも知れない。(笹木)
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(7/5現在)
■主な企業決算 の予定
●7月16日(火):ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、ファースト・リパブリック・バンク、プロロジス、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー、ゴールドマン・サックス・グループ、ウェルズ・ファーゴ、ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングス、CSX、シンタス
●7月17日(水):コメリカ、PNCファイナンシャル・サービシズ・グループ、バンク・オブ・アメリカ、プログレッシブ・コープ、テキストロン、USバンコープ、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、イーベイ、アボットラボラトリーズ、オムニコム・グループ、ネットフリックス、ユナイテッド・レンタルズ、SLグリーン・リアルティ、クラウン・キャッスル・インターナショナル、IBM
●7月18日(木): BB&T、ダナハー、インテュイティブサージカル、ピープルズ・ユナイテッド・ファイナンシャル、ユニオン・パシフィック、サントラスト・バンクス、アライアンス・データ・システムズ、ジェニュイン・パーツ、PPGインダストリーズ、M&Tバンク、ハネウェルインターナショナル、ユナイテッドヘルス・グループ、スナップオン、ニューコア、ドーバー、フィリップ・モリス・インターナショナル、モルガン・スタンレー、キャピタル・ワン・ファイナンシャル、Eトレード・ファイナンシャル、マイクロソフト
●7月19日(金):シチズンズ・フィナンシャル・グループ、ブラックロック、カンザスシティー・サザン、リージョンズ・ファイナンシャル、シンクロニー・ファイナンシャル、シュルンベルジェ、アメリカン・エキスプレス、ステート・ストリート
●7月22日(月):ハリバートン、ケイデンス・デザイン・システムズ、セラニーズ、ZBナショナル・アソシエーション
■主要イベントの予定
●7月17日(水)
・米地区連銀経済報告(ベージュブック)、米住宅着工件数(6月)
・米モラー元特別検察官、下院司法・情報特別委員会で証言
・フェイスブック関係者、米下院金融委員会の仮想通貨計画巡る公聴会で証言
・先進7ヵ国(G7)財務 相・中央銀行総裁会議(フランス・シャンティイ、18日まで)
・欧州新車販売台数(6月)、ユーロ圏CPI(6月)、英CPI(6月)
●7月18日(木)
・米アトランタ連銀総裁講演、米ニューヨーク連銀総裁講演
・米新規失業保険申請件数(7月13日終了週)、米景気先行指標総合指数(6月)
●7月19日(金)
・米セントルイス連銀総裁講演、米ボストン連銀総裁パネル討論参加
・米ミシガン大学消費者マインド指数(7月)
●7月22日(月)
・シカゴ連銀全米活動指数(6月)
(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
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