弱気相場入りの可能性高まる米株
米国株式市場では、ダウ平均の弱気相場シグナルが点灯しました。S&P500も弱気相場入り目前となっています。焦点となる下値ポイントは?ドル円とユーロドルの展望は?詳細はマーケットレポートをご参照ください。
弱気相場入りシグナルが出始めた米国株式
11日の米国株式市場は再び急落する展開となった。多くの機関投資家がベンチマークとするS&P500指数のボラティリティ(=20日間の標準偏差を年率換算した値)を確認すると、ついに50%台まで急上昇している。この水準は欧州債務危機が意識された2011年と世界金融危機によりグローバル市場が大混乱に陥った2008-2009年以来の高水準である。しかも、低下の兆しすらまだ見えない状況を考えるならば、引き続き米国株式市場では上下に大きく振れる不安定な相場が続こう。
より注視すべきはダウンサイドリスクである。ダウ平均は年初来騰落率でマイナス17.47%まで下落しているが、先月12日の最高値からの下落率は20%を超えてきた(マイナス20.30%)。過去1年間の高値から20%以上下落する局面は、弱気相場入りのシグナルとして捉えられる傾向がある。S&P500指数の過去最高値は先月19日に付けた3,393.52。この高値から20%下の水準は2,714.816。昨日はこの重要ポイントを下方ブレイクする局面(安値2,707.22)があった。ローソク足の実体ベースで2,714.816を完全に下方ブレイクする場合、米国株式市場はさらに動揺する可能性があるため要注意。
S&P500の動向
ドル円とユーロドルのトレンド決定要因に変化なし
外為市場ではドル円は株式にらみ、ユーロドルは金利(利回り格差)にらみの展開が続こう。上述した通り、今後も米株が上限に大きく振れる展開が予想されることから、ドル円もその動きに追随する状況が続こう。上値の焦点は、10日の急騰で上値がレジストされた105.90レベルの攻防となろう。一方、下値の焦点は、ローソク足の実体ベースで相場をサポートしている102円台の維持が焦点となろう。このレンジ内で売り買いが交錯する間は、フィボナッチ・リトレースメントの各ポイントでの攻防を注視したい。106.00にはオファー、102.00にはビッドがそれぞれ観測されている。また、104.00および103.20にもビッドの観測あり。
一方、ユーロドルは11日のレポート「ユーロドルは米金利にらみ 米金利は株式にらみ」でも指摘したとおり、米独利回り格差をにらんだ展開が続こう。米金利の反発基調が続いていることで、現在のユーロドルは調整局面にある。このタイミングで資産購入額の枠を拡大する等の緩和強化が本日のECB理事会で決定される場合、1.12ブレイクの可能性を意識したい。だが、新型コロナウイルスの感染リスクと米株の不安定な状態を考えるならば、米金利の反発余地は限られるだろう。1.12を下方ブレイクしても、2月から3月にかけての高安50.00%戻しの水準1.1133レベルまでの米ドル高が限界と予想する。一方、上値の焦点は1.13台の再上昇となろう。
ドル円チャート
ユーロドルチャート
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