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アメリカ株に楽観ムード S&P500最高値 物価上昇加速も構わず

アメリカの2月CPIは物価上昇の根強さが感じられたが、S&P500は上昇。14日発表の2月小売売上高の結果が注目される。

アメリカ株に楽観ムード S&P500最高値 物価上昇加速も構わず 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式相場の楽観ムードが戻っている。12日のS&P500種株価指数の終値は前日比1.12%高で、2024年に入って17回目の史上最高値更新。この日発表された2月の消費者物価指数(CPI)で物価上昇の根強さがみられ、金利水準の高止まりが警戒される状況にも関わらず、投資家は強気な姿勢を崩さなかった形だ。ただ、米国経済の先行きについての懸念は残っており、楽観が今後どこまで続くかには不透明感もある。

アメリカのS&P500が17回目の史上最高値更新

12日のS&P500(SPX)の終値は5175.27。1月19日に約2年ぶりに史上最高値を塗り替えて以来、合計17回目の記録更新となった。2023年末比での上昇率は8.50%に達している。半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)の株価が7.16%高となって900ドル台を回復したほか、SNS大手のメタ・プラットフォームズ(META)やマイクロソフト(MSFT)も値上がりし、大手ハイテク株が勢いを取り戻した。

12日の株高には逆風もあった。この日発表された2月CPIの伸び率は、総合指数で3.2%となり、1月の3.1%から物価上昇が加速。市場予想(3.1%)も上回った。食品とエネルギーを除いたコア指数では3.8%で、1月の3.9%からは減速したものの、市場予想の3.7%を超えており、物価上昇が想定よりも根強いといえる結果だった。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが難しくなり、金利水準の高止まりが株価の重荷になることが想定される局面だ。

アメリカの消費者物価指数(CPI、総合、コア)の伸び率の推移のグラフ(2024年3月13日作成)

FRBの6月利下げへの期待は揺るがず

しかし金融市場ではFRBが6月に利下げに踏み切るとの観測は揺るがなかった。CMEグループのデータによると、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)後に政策金利が現状よりも低くなっていることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間13日午前11時段階で約69%。前日とほぼ変わらない水準となっている。

実際、投資家心理は改めて強気に振れている。S&P500のオプション取引の動向から算出され、投資家の不安度の大きさを示すとされるVIX指数(VIX)は12日に13.84となり、前日の15.22から大きく低下した。前日の水準は2月21日(15.34)以来の高さだっただけに株式相場の緊張感が緩んだ形だ。

S&P500とVIX指数の推移のグラフ(2024年3月13日作成)

投資家の利下げ期待が崩れなかった背景には、物価上昇の減速基調が続いていることへの信頼がありそうだ。2月29日に発表された1月の個人消費支出(PCE)物価指数は総合指数の伸び率が前年同月比2.4%で、FRBが目標とする2%への接近を感じさせる結果だった。FRBは物価動向の判断基準としてPCE物価を重視しており、2月の物価動向は3月29日に発表される2月PCE物価の結果をみるまで判断できない側面がある。また、今回発表された2月CPIでもコア指数の伸び率が低下している点に注目すれば、物価上昇高止まりへの過度な悲観は必要ないともいえる。

アメリカ経済が失速することへの不安は残る

ただ、米国経済の物価上昇減速への期待が揺るがない中でも、今後の米国経済が失速することへの不安は残る。8日に発表された2月雇用統計では失業率が2年1か月ぶりの高さになっており、悪い兆しとみることもできる。

こうした中、14日発表の2月の小売売上高の結果が注目される。ロイターがまとめた事前予想によると、小売売上高は前月比0.8%増となり、1月の0.8%減から反発する見通し。自動車と自動車部品を除いたベースでも、0.5%増が見込まれ、1月(0.6%減)からの回復が予想されている。しかし結果が予想を下回るなどして、米国経済が今後減速していくとの懸念が持ち上がった場合は、S&P500への下押し圧力になる可能性もありそうだ。


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