米CPI、2月も悪い結果か? 12日発表 S&P500に不安
アメリカの2月CPIは総合指数の伸び率が横ばいの予想。物価上昇の根強さが感じられれば、株価下落につながる可能性がある。
アメリカで12日に発表される2月の消費者物価指数(CPI)は、物価上昇減速が停止するとみこまれている。予想通りになれば米国の物価上昇の根強さが感じられ、S&P500種株価指数にとって重荷となる可能性がある。前回のCPI発表に際しては、結果が予想よりも強くなったことを受けて、S&P500は急落しており、悪い展開が再現される可能性もありそうだ。また、米国の株式市場は8日発表の2月雇用統計にも、半導体株を含めた値下がりで反応。2月CPIを控えて不穏なムードが漂っている。
アメリカの2月CPIは総合指数の伸びが3.1%の予想
米労働省は12日午前8時30分(日本時間12日午後9時30分)に2月CPIを発表する。ロイターがまとめた事前予想では、総合指数の伸び率は前年同月比3.1%となり、1月から横ばいになる見通し。総合指数の伸び率は6月に3.0%まで下がっていたが、その後は低下が進まない状況といえ、物価上昇の根強さが印象づけられる可能性がありそうだ。一方、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は3.7%となり、こちらは1月(3.9%)から減速すると見込まれている。
2月CPIが物価上昇率の高止まりを感じさせれば、米連邦準備制度理事会(FRB)にとっては利下げが難しくなる要因だ。金融市場が見込む利下げ開始時期が後ずれし、金利の先高観が広がって、株価にとって逆風になる可能性もある。CMEグループのデータによると、FRBの政策金利が6月の連邦公開市場委員会(FOMC)後に現状よりも低くなっていることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間11日午前11時段階で約70%となっている。
実際、1月CPIが発表された2月13日はS&P500(SPX)が1.37%下落した。総合指数の伸び率は前月からは低下したものの、予想よりは高い数字。コア指数の伸び率も予想を上回り、物価上昇の根強さが意識されたためだ。1月CPIは、それまで5月が有力視されていたFRBの利下げ開始時期が6月まで後退するきっかけになった。
2月雇用統計はS&P500への下落圧力に
また、S&P500は3月8日に2月雇用統計が発表された際も下落で反応している。2月雇用統計では、失業率が2年1か月ぶりの高さになったほか、非農業部門の就業者数の増加数について過去の数値が下方修正されるなど、米国経済が想定ほどは強くないととれる結果だった。8日のS&P500は0.65%値下がりしている。
こうした株価下落はS&P500を牽引してきた半導体株にも及んだ。8日は、人工知能(AI)ブームの主役である半導体大手のNVIDIA(エヌビディア、NVDA)の株価が7営業日ぶりの反落となる5.55%安。同じく半導体大手のブロードコム(AVGO)は6.99%安、半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(AMAT)も3.32%安だった。S&P500には含まれていない、ソフトバンクグループ子会社の英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)の株価も6.65%安だった。
2月CPIの伸び率が予想を下回ればS&P500の上昇も
しかし、米国の物価上昇をめぐっては明るいニュースもある。2月29日発表の1月の個人消費支出(PCE)物価指数では、総合指数の伸び率が2.4%まで下がるなどして、株式市場に安心感を与えた。この日のS&P500は4営業日ぶりに史上最高値を更新している。FRBは物価動向の指標として、PCE物価指数をCPIよりも重視している。
こうした中、2月CPIで物価上昇の落ち着きが感じられた場合は、6月利下げの確度が高まり、S&P500に上昇圧力がかかる可能性もある。米国の物価上昇は米国経済にとって最大の課題であるだけに、状況が改善すれば、市場の反応が大きくなることも想定されそうだ。
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