東京都区部5月CPIは減速予想 26日発表 動かない日銀は円安要因
東京都区部のCPIは3.3%の伸びが予想されているが、上振れる可能性がある。一方、日銀は金融政策変更に慎重で、円安要因だ。
26日に発表される東京都区部の5月の消費者物価指数(CPI、中旬速報値)の伸び率は4月からの減速がみこまれている。ただし過去2か月は発表が市場予想を上回るサプライズが続いており、今回の発表でも日本の物価上昇の根強さが印象づけられる可能性がある。一方、日本銀行の植田和男総裁は19日の講演で、現在の物価上昇は一時的な要因によるものだとの見方を強調した。5月の物価上昇率が上振れたとしても大規模金融緩和の見直しには慎重なままだとみられるが、円安という懸念材料にも直面しており、かじ取りの難易度は増している。
東京都区部の5月のCPIは3.3%に伸びが減速
ロイター通信のエコノミスト調査によると、東京都区部の生鮮食品を除く総合指数(コア指数)の伸び率は前年同月比3.3%になる見通し。4月の3.5%から物価上昇のペースが減速する形だ。東京都区部の指数は3-4週間後に発表される全国の指数とほぼ同じ傾向をたどっており、予想通りの結果であれば、全国の5月の物価上昇率も減速が見込まれる。
ただ、東京都区部のコア指数の伸び率はこのところ予想から上振れている。3月は3.1%予想に対して結果は3.2%。4月は3.2%予想に対して、3.5%という結果だった。物価上昇率は2月以降、政府のエネルギー価格対策の結果、幾分落ち着いているが、物価上昇にかかる圧力はエコノミストの見立てよりも強くなる傾向が感じられる。仮に5月の東京都区部のコア指数の伸び率が予想を上回れば、日銀による大規模金融緩和の見直し観測が強まる可能性がある。
日銀の植田総裁は「拙速な政策転換」を警戒
ただし日銀自身は金融政策の見直しには慎重だ。植田氏は19日の講演で、4月の全国のコア指数の伸び率が3.4%となっていることについて、輸入物価の上昇を起点とした価格転嫁が進んでいるためだと分析。今後はこうした影響が目減りしていき、2023年10月ごろにかけて「(伸び率は)2%を下回る水準までプラス幅を縮小していく」との見通しを示した。そのうえで、現段階で物価上昇を抑制しようと金融引き締めを行えば、経済や雇用環境を悪化させ、最終的には「一段と低いインフレ率がもたらされる」としている。
このため5月の物価上昇率が予想を上回っても、日銀が現在の大規模金融緩和を維持する方針は変わらないとみられる。植田氏は「拙速な政策転換を行うことで、ようやくみえてきた2%達成の『芽』を摘んでしまうことになった場合のコストは極めて大きい」と強調している。
円安ドル高は物価にとっての懸念材料
一方、こうした日銀の金融政策の変わらなさを背景として、ドル円相場(チャート)で円安ドル高傾向が続いていることは日銀にとって懸念材料だ。円安が現状からさらに進めば、輸入物価の上昇を要因とするコスト・プッシュ型の物価上昇が続き、企業や家計の負担は大きくなる。3月の春闘での賃上げ率は連合が5月10日に発表した数値で3.67%と高水準となっているが、それでも物価上昇には追いつかないという事態になれば、消費の活性化が経済成長を支え、賃金と物価が継続的に上昇していくという理想的なシナリオは遠のく。
日銀が大規模金融緩和を見直すとの方向性を示せば、円安に歯止めがかかる可能性はある。ただし実際に国内の金利が上がる事態になれば経済活動には逆風となることも考慮せねばならず、日銀は難しい局面に立たされている。
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