メタ決算、総収入回復に期待 AIで稼ぐ効率向上 20億人の利用者活用カギ
メタが26日に発表する2023年1-3月期決算は総収入回復の成否が注目点だ。不振脱却にはAIと20億人の利用者基盤の活用がカギを握る。
SNSのフェイスブックなどを運営するメタ・プラットフォームズが26日の取引時間終了後に発表する2023年1-3月期決算は総収入回復の成否に注目が集まる。メタはこのところ、総収入や利益で投資家の期待に応えられない不振が続いてきた。アップルの個人情報保護強化の取り組みやTikTokとの競合が影響しており、マーク・ザッカーバーグCEOはAIを活用して効率的に収入を上げる手段を模索している最中だ。フェイスブックだけで20億人という膨大な利用者基盤は健在なだけに、投資家の期待を超える結果を残すためには規模の強みを生かす戦略が問われている。
メタの2023年1-3月期の総収入は1.1%減の予想
金融情報会社リフィニティブのデータによると、メタの1-3月期決算に関する市場予想は総収入が前年同期比1.1%減の約276億ドル、1株当たり利益は26.7%減の1.99ドルと見込まれている。メタは過去3年間12回の四半期決算のうち、3回で総収入が事前の市場予想を下回った。1株当たり利益では5回、市場予想をクリアできなかった。
メタの株価(チャート)は2021年10-12月期決算の利益が市場予想を下回った際に1日で26%下落するなど、厳しい状況が続いてきた。2021年12月末に約336ドルだった株価は2022年11月初めには74%安い約89ドルまで値下がりしていた。株価はその後、217ドル程度まで回復している。
リフィニティブによると、直近の株価と予想年間収益から算出される株価収益率(PER)は21.1倍。SNSアプリのスナップチャットを運営するSnap(43.7倍、チャート)や、アマゾン・コム(76.4倍、チャート)よりも大きく割安な水準にある。アップル(27.9倍、チャート)と比べても安い。一方、広告収入の減少などが不安視されているアルファベット(20.6倍、チャート)とはほぼ同水準だ。アナリストが提示する目標株価の平均は226.6ドル。57人のうち17人が強い買い、25人が買いを推奨している。10人は維持、5人は売りを勧めている。
アップルの個人情報保護策が収益に影響
メタが2021年10-12月期決算発表で市場の期待を裏切った事情には、アップルが2021年4月に行った個人情報保護強化があった。アップルがiPhoneなどの端末利用者がアプリによる行動追跡を受け入れるかどうかの確認をとる仕組みを導入したことで、メタなどのアプリ事業者は利用者の消費行動などを把握しづらくなり、広告効果を出しにくくなった。メタはアップルの施策による影響は2022年に「100億ドル単位」の影響があったとしている。
メタにはTikTokとの競合にも直面している。短時間の動画を共有できるTikTokは米国でZ世代と呼ばれる10代から20代半ばの世代では4000万人のユーザーがいるとして、メタのフェイスブックやインスタグラムをしのぐ勢いがあるとの調査結果もある。ザッカーバーグ氏は2022年2月の決算会見で「TikTokは非常に速く成長している」と警戒感を示していた。
AIでリール動画の収益性をアップ
こうした状況を打開するため、メタはフェイスブックやインスタグラムで短時間動画(リール)を共有する仕組みを強化してきた。ザッカーバーグ氏は2023年2月の決算会見では「リールの再生回数は2022年に2倍以上に増えた」と成果を強調した。一方、リールの仕組みの中で表示される広告からの収入を視聴時間当たりでみると、従来型の投稿よりも「かなり低い」と認めており、改善が必要だとしている。
ザッカーバーグ氏が重視するのはAIの活用だ。SNSでつながりがある「友人」の投稿だけでなく、AIによって利用者の関心を引きそうなコンテンツを適切に表示する機能をさらに向上させていくことを狙う。アップルの個人情報保護の取り組みでデータを得にくくなったものの、広告の精度が上がれば収益も上がりやすくなる。
フェイスブックのデイリー・アクティブ・ユーザー(DAU)の数は2022年10-12月期に20億人に達した。2021年10-12月にはDAU数が前期からわずかに減るという局面にも陥ったが、その後は再び拡大が続いている。メタは2023年1-3月期の総収入の見通しとして、「260億-285億ドル」という市場予想よりも強い数字を掲げており、巨大な利用者基盤から収入を得る効率を上げることができたかどうかがカギを握ることになりそうだ。
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