ネットフリックス、株価2倍でも不安 18日決算発表 会員数増の勢いは?
ネットフリックスが18日に2023年1-3月期決算を発表する。株価は2022年春の底値の2倍になっているが、会員数増加の見通しには不安も。
動画配信大手のネットフリックスが18日に発表する2023年1-3月期決算は増収減益が見込まれている。ネットフリックスの株価は2022年の上半期に会員数が減少したことを背景に大幅に下落。足元の株価は2022年春につけた底値の約2倍に回復しているものの、投資家の信頼は取り戻せていない。ネットフリックスは低価格の料金プランやパスワード共有の取り締まりといった施策で成長性の維持を図っており、決算発表ではこれらの施策の効果にも注目が集まる。
総収入の市場予想は前年同期比3.9%増
金融情報会社リフィニティブのデータによると、ネットフリックスの1-3月期決算に関する市場予想は総収入が前年同期比3.9%増の約82億ドル、1株当たり利益は19.0%減の約2.9ドルと見込まれている。ネットフリックスは過去3年間12回の四半期決算のうち2回で、総収入が事前の市場予想を下回っている。また1株当たり利益では6回、市場予想をクリアできなかった。
ネットフリックス(チャート)の株価は2021年10月29日に上場来高値(690.31ドル)をつけたものの、その後の約半年間で約4分の1まで下落。2022年5月11日に底値となる166.37ドルをつけた。2022年の上半期に会員数が約120万人減少したことなどが要因だ。10日の終値は338.99ドルで、底値の約2倍に回復しているものの、上場来高値の水準を考えれば株価回復はまだ道半ばだともいえる。
リフィニティブによると、直近の株価と予想年間収益から算出される株価収益率(PER)は27.7倍。動画配信事業で競合するウォルト・ディズニー(20.8倍、チャート)よりも高い。一方、動画配信でライバル関係にあるアマゾン・コム(59.9倍、チャート)よりは割安といえる水準だ。アナリストが提示する目標株価の平均は現状の株価より5%強高い357.2ドル。43人のうち12人が強く買い、8人が買いを推奨する一方、20人は維持、3人は売りを勧めている。
競合激化やアカウント共有の影響で会員数が一時減少
ネットフリックスの会員数が2022年上半期に減少した背景には、ウクライナに侵攻したロシアの会員約70万人を除外したことのほか、ディズニーやアマゾンなどとの競合激化で会員獲得が鈍ったことがある。また、会員がアカウントやパスワードを家族以外と共有する行為が会員数の増加を妨げるという事情も、ネットフリックスの成長とともに無視できない規模になってきたという。ネットフリックスは家族以外とのアカウント共有がなければ、2億3000万人の会員数がさらに1億人増えるとの推計を示している。
広告付き低価格プランも導入
こうした中、ネットフリックスは会員数での成長を見据えた新たな施策を打ち出している。2022年11月からは米国で広告付きの低価格の料金プランを開始。1時間に4-5分の広告が流れるデメリットはあるものの、料金は従来の最安値プランよりも3ドル安い6.99ドルに設定された。同様の広告付き低価格プランは日本や欧州各国などでも導入されている。また、アカウント共有に関しては2022年に南米などの一部地域で、共有する際の条件を明確にする施策のテストを実施。2023年2月には、同居を条件にアカウント共有を認める一方、違う場所に住んでいる場合は追加料金をとる方針を公表し、対象地域に、カナダ、ニュージーランド、ポルトガル、スペインを加えるとした。
ネットフリックスは有料動画配信サービスの先駆けとして世界中で市場を開拓してきた。1-3月期についても市場では193万人の会員数増加が見込まれている。これからも成長が可能であることを投資家に納得させるは、魅力的なコンテンツの配信に加え、価格戦略なども駆使して期待に応えていく必要がありそうだ。
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