日米の株価が分かれ道 S&P500上昇でも日経平均低迷 円高懸念で
日経平均株価が円高に足を引っ張られた。米国株上昇と明暗が分かれ、今後、日銀の金融政策修正の影響を受ける可能性もある。
日米の株価の方向性が分かれ道に差し掛かっている。米国の代表的な株価指数であるS&P500種株価指数は14日の終値が1週間前と比べて2.4%増。一方、日本の日経平均株価は1週間で微増にとどまり、米国株が上がれば日本株も上がるという5月中旬以降のパターンが崩れる寸前だった。米国では物価上昇沈静化の兆しを受けた楽観が広がる一方、日本では外国為替相場で進む円高ドル安が株価の重石になっている。今後、日本銀行の金融政策見直しといった円高材料が加われば、さらに日米の株価の勢いに差がつく可能性もある。
S&P500は1週間で2.4%高、日経平均は0.01%高
S&P500(SPX)の14日の終値は前日比0.1%安の4505.42。一方、先に取引を終えた日経平均株価の14日の終値も同じ0.1%安の3万2391.26円だった。しかしこの1週間の騰落率をみれば明暗は明らかだ。S&P500の1週間前比2.4%高に対して、日経平均はわずか0.01%高。両者は5月中旬以降、9週連続でS&P500が上がれば日経平均も上がり、S&P500が下がれば日経平均も下がるという連動を続けているが、今回の日経平均はほぼ横ばいといえる状態で、日米のムードの違いは明らかだ。
米国の株高を後押ししたのは、経済をめぐる明るいデータだ。12日発表の6月の消費者物価指数(CPI)で物価上昇の弱まりが感じられ、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げが7月で打ち止めになるとの見方が強まった。金融市場関係者の間では、米国の株価上昇に強気な見方が続いている。
一方、日本では外国為替市場で進む円高ドル安が株価の重荷となった。ドル円相場(USD/JPY )は14日のニューヨーク市場で1ドル=138.73円で取引を終え、この1週間で3.34円の円高ドル安が進行。米国の株価を押し上げた利上げ打ち止め観測が、外国為替市場ではドル売りにつながった格好だ。ドル円相場ではこの前の週にも2.25円の円高ドル安が進んでいる。日経平均の低迷は、円高が海外投資家の日本株買いを鈍らせる可能性があることや、日本の輸出関連企業の業績悪化につながることへの警戒感が表れた結果だとみられる。
ワクチン接種のスピード感で方向性が分かれた時期も
日経平均は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大への不安で株価が底値圏にあった4月1日と比べると、約1.8倍になっている。同じく、S&P500も同期間で約1.8倍になっており、日米の株価は全体としては足並みをそろえて上昇してきたといえる。ただし、2021年春から年末までの間は、米国でワクチン接種が進んで経済活動が強まる中でも、日本では行動制限が続き、株価が低迷した。その後、米国の株価がFRBの利上げが進むとともに下げ足を強め、日米の方向性が一致するようになったが、今度は米金利安と円高の組み合わせに対する日米の株価の反応の違いが改めて方向性を分ける可能性がある。
日米の金融政策をめぐっては、日銀が27、28日の金融政策決定会合でイールド・カーブ・コントロール(YCC)などの大規模金融緩和策の修正に着手するとの観測もある。日本の物価上昇の根強さが意識されていることが背景にあり、金利水準を引き上げる方向で修正されれば、為替市場にとっては円高要因だ。今後、米国の株高が続いた場合でも、日本株は方向性の定まらない動きが続く可能性がある。
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