【ポンドドル】目先の展望とチャートポイントについて
ポンドドルはヘッドアンドショルダーの状況にある。下値を目指す状況が続いているが、8月の消費者物価指数(CPI)や英米の中銀イベント次第では、短期的な反発相場が予想される。しかし、長引く高インフレで景気の先行きリスクに直面する英国の状況を考えるならば、ポンドドルが反発しても下落相場を意識する状況が続くと予想する。詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・反発局面が見られるもポンドドルは下落トレンドを維持している
・目先の注目材料は、8月消費者物価指数(CPI)と英中銀イベント(MPC)
・英中銀の追加利上げ期待が後退すれば、ポンドドルは下落基調を維持するだろう
・目先、注目しておきたい上下のチャートポイントについて
焦点は英中銀イベントと8月CPI
英中銀イベントの焦点
今週21日にイングランド銀行(英中銀、BOE)は、金融政策委員会(MPC)を開く。
今回のMPCでは0.25ポイントの利上げが予想されている。市場参加者の焦点は、英中銀が利上げ姿勢を維持するのかどうか?この点に集中している。
英中銀(BOE)は現在、インフレのリスクと景気の先行きリスクに直面している。
例えば住宅市場では住宅ローン金利の上昇が影響し、英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)の住宅価格指数は8月にマイナス68と前月のマイナス55からさらに悪化し、2009年以降で最低を記録した。
RICS住宅価格指数の推移:月次 2009年以降
一方、景況感を考える上で重要な経済指標である購買担当者景気指数(PMI)の動向を確認すると、製造業PMIに続き、サービスPMIも今年の4月に低下へ転じ、8月は景気判断の分かれ目である「50」を下回った。
この動きに追随し、総合PMIも「50」を下回る状況にある。
英国の購買担当者景気指数(PMI)の推移:月次 2022年以降
追加利上げに懐疑的な市場
現状、短期金融市場では、11月2日に開かれるMPCでの利上げ確率を40%程度と予想している。
英国のインフレは鈍化の傾向にある(下のラインチャートを参照)。しかし、コアインフレ率は英中銀(BOE)の物価目標よりはるか上の水準で高止まりしている。
それにもかかわらず11月利上げの可能性について不透明感が漂っている状況は、今後英中銀が景気の先行きリスクを意識せざるを得ない状況に追い込まれることを市場参加者が意識していることを示している。
ゆえに、9月のMPCで英中銀の利上げ姿勢が後退しているとの印象を市場参加者に与える場合は、外為市場でポンド安が進行しよう。
なお、今日は8月の消費者物価指数(CPI)が発表される。前年同月比で6.8%から7.0%へ上昇する予想となっているが、コア指数は同比で6.9%から6.8%へ低下する見通しである。
8月CPIでインフレの進行が確認される場合、ポンドドル(GBP/USD)は調整の反発が予想される。
だが、FOMCとMPCを控えていることを考えるならば、その幅は限定的となる可能性があろう。まずは、下で述べるテクニカルポイントの攻防に注目したい。
一方、8月CPIでインフレの鈍化傾向が確認される場合は、ポンドドルの下落トレンドが続くと予想する。
英国消費者物価指数(CPI)の動向:月次 22年8月以降
ポンドドルのチャートポイント
ポンドドル(GBP/USD)は現在、ヘッドアンドショルダーの状況を維持し、下落トレンドにある。MACDでも地合いの弱さを示唆する動きが続いている。
今週に入り反発の局面が見られる。しかし、1.2450レベルがサポートからレジスタンスの水準へ転換するムードにある。
また、テクニカルの面では10日線(今日現在1.2437レベル)がレジスタンスのラインとして意識されている。
上で述べた8月CPIや9月のMPCがポンドの買戻し要因となり、米連邦公開市場委員会(FOMC)が米ドル売りの要因となっても、ポンドドルがこれら上値の水準を完全に突破しない限りは戻り売り、そして下落トレンドの継続を想定しておきたい。
逆にポンドドルが1.2450レベルを完全に上方ブレイクすれば、次の焦点は21日線のトライとなろう。この移動平均線は今日現在、1.2532レベルで推移している。
一方、8月CPI、FOMCそしてMPCの各イベントがポンド安・米ドル高の要因となる場合は、1.2310前後を視野にポンドドルの下落幅が拡大する展開を予想する。
1.2315レベルはフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる。1.2308レベルは5月25日安値の水準にあたる。
ポンドドルのチャート:日足 23年2月以降
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