米CPIと長期金利の反応 /ドル円とポンド円 目先の焦点と上下のチャートポイント
4月の米CPIを受け長期金利は低下で反応。5年債利回りも低下した。これらの動きは景気の先行きリスクが意識されていることを示唆している。ドル円とポンド円の焦点は?上下のチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
米CPIと長期金利の反応
【サマリー】
・4月米CPIを受け長期金利は低下で反応
・ドル円は短期的な調整相場を意識する局面に
・ポンド円の焦点とチャートポイントについて
・米CPIと米長期金利の反応
米労働省が11日発表した4月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で8.3%となった。3月の8.5%から鈍化したが、予想の8.1%を上回る内容となった。コア指数も同比で6.2%と、予想の6.0%を上回った。
今回の内容は、インフレがピークアウトしても、米連邦準備制度理事会(FRB)が物価目標に設定している2%前後まで低下するには時間がかかる可能性を示唆する内容となった。
今回の結果を受け米長期金利(10年債利回り)は、一時3.07%まで上昇した。しかしすぐに低下へ転じると、あっさり3.0%を割り込む展開となった。ドル円(USDJPY)のトレンドに影響を与えている5年債利回りも低下で反応した。
米金利のチャート
一方、米金融政策の方向性に連動する2年債利回りが小幅ながら上昇したことを考えるならば、昨日の米債市場の動向は、「インフレ懸念→米金融引き締めペースの加速→景気の先行きリスク」を意識した動きと言える。
事実、11日の米国の株式市場では景気敏感株の下げが最もきつく、主要指数の下落をけん引した。過去3か月間のセクター別パフォーマンスを見ても、景気敏感株の下落幅が最も拡大している。
インフレ懸念とFRBのタカ派スタンスは米金利(5年債利回りと10年債利回り)の上昇要因だが、昨日のように低下で反応する場合、ドル円(USDJPY)は下値トライとなろう。
ドル円とポンド円 目先の焦点と上下のチャートポイント
・ドル円の焦点とチャートポイント
11日のレポートで指摘したとおり、ドル円(USDJPY)は調整の反落ムードにある。通貨オプション市場のリスクリバーサル(1週間)は、明確にドル・プットの状況へ転じている。
上で述べたとおり、今の米国市場(株式と債券市場)では、景気の先行きリスクを意識する動きが見られる。130.80レベルがレジスタンスポイントとして浮上しつつある状況も考えるならば、目先のドル円は下値トライを警戒する局面にある。
ドル円が調整相場となる場合のチャートポイントは、129.00レベルの維持である。昨日は安値129.43レベルを付ける局面が見られた。今日も長期金利の低下が続く場合は、129.43のトライ&ブレイクを想定しておきたい。実際にドル円が129.43レベルを一気に下方ブレイクする場合は、129.00トライのシグナルとして警戒しておきたい。
ドル円が128円台の攻防へシフトする場合は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準128.61レベルを視野に下落幅の拡大を予想する。この水準は、今月4日に相場をサポートした経緯がある。
一方、ドル円が反発する場合は(このケースでは5年債利回りと長期金利の上昇が条件となる)、130.80レベルの突破が焦点となろう。この水準は、今月6日と11日にレジスタンスポイントとして意識された経緯がある。
ドル円が130.80レベルを完全に上方ブレイクする場合は、131.00および131.34レベルのトライが焦点として浮上しよう。
ドル円のチャート
・ポンド円の焦点とチャートポイント
クロス円では、ポンド円(GBPJPY)の変動幅が拡大傾向にある。今月5日の金融政策委員会(MPC)後、ポンド相場は下落トレンドが鮮明となり、ポンドドル(GBPUSD)は1.24レベルがレジスタンスポイントとして意識され始めている。英中銀(BoE)の金融引き締めスタンスがポンド買い要因となっていない状況、4月下旬以降、円相場のトレンドが円安から円高へ転換していること、そして上で述べたドル円の調整相場の可能性も考えるならば、ポンド円は下落幅の拡大を警戒する局面にある。
テクニカル面での注目点は、89日線(EMA)の攻防である。この移動平均線は、レジスタンスとしてもサポートとしても意識される局面が見られるが、昨日はサポートとして意識された。ポンド円が89日線を維持する場合は、160円台の回復と短期レジスタンスライン(今日現在161.40レベル)のトライが焦点となろう。
逆に、ポンド円が89日線を下方ブレイクする場合は、157.50レベルが、レジスタンスからサポートへ転換するかどうか?この点を確認することが、次の焦点となろう。フィボナッチ・リトレースメント61.8%(157.63)の下方ブレイクは、157.50レベルをトライするシグナルとして警戒しておきたい。
ポンド円のチャート
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