強気相場を維持するポンドドルとポンド円、目先注目しておきたいチャートポイントは?
ポンド相場は現在、対米ドルと円でともに上昇トレンドを維持している。強気相場を維持する背景には何があるのか?そして、目先注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
※5月の米雇用統計とドル円の展望についてはこちらのレポートをご覧ください
サマリー
・英米の金融政策スタンスの差が意識されやすい状況にある
・米ドル安にサポートされ、ポンドドルは1.2550レベルのブレイクアウトが焦点に
・ポンドドルの上昇と日米の株高トレンドが重なり、ポンド円は上値トライの状況が続く
・ポンド円が上昇トレンドを維持する局面で注目しておきたいチャートポイント
・ポンド円の反落局面で注目しておきたいチャートポイント
英米の金融政策スタンスの差
今朝に配信したIG為替レポートで指摘したとおり、連邦準備制度理事会(FRB)による6月利上げの観測が急速に後退している。FEDウォッチツールで状況を確認すると、13時時点で6月利上げの確率が24%前後となっている。
一方、英国ではインフレが鈍化の傾向にあるが、4月の消費者物価指数(CPI)が前年比で8.7%と高止まりする一方、エネルギー・食品・たばこを除くコアCPIは同比で6.8%と、1992年3月以来の高い伸びとなった。
英国の根強いインフレ圧力が最新のCPIで確認されたことで短期金融市場では、イングランド銀行(BoE、中央銀行)が今年を通して利上げ政策を継続する可能性が意識される状況にある。
政策金利の予想推移:英中銀(BoE)
ポンドドルは1.2250のブレイクが焦点に
6月FOMCでの利上げ見送りが強く意識され、現在の外為市場では米ドル安の圧力が再び高まっている。米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は104ポイントを下方ブレイクし、重要サポートポイントの103.00レベルを視野に入れるムードにある(詳細はこちらのレポートを参照)。
BoEとFRBの政策スタンスの差が意識され、ポンドドル(GBPUSD)は89日MA(今日現在1.2294レベル)の上で反発し、短期サポートラインの形成に成功している。昨日は大陽線で21日MA(今日現在1.2473レベル)の上方ブレイクにも成功した。
MACDでゴールデンクロスが示現している状況も考えるならば、目先のポンドドルは米英金融政策スタンスの差が意識されることで、上昇トレンドを維持する公算が高い。
ポンドドルが上値トライとなる場合、目先の焦点は1.2550レベルの攻防となろう。今年の4月以降、この水準(1.2550レベル)はレジスタンスとしてもサポートとしても意識された経緯がある。現在は、レジスタンスポイントとして意識されるかどうか?を確認する状況にある。
今晩の5月米雇用統計が米ドル安要因となれば、ポンドドルは1.2550レベルをあっさりと上方ブレイクするだろう。このケースでは、1.2600のトライが次の焦点となろう。
ポンドドルが1.26台へ難なく上昇する場合は、5月11日の高値1.2641レベルの突破が焦点として浮上しよう。
ポンドドルのチャート
ポンド円も上値トライを意識する状況に
3度目のサポート転換の兆し
ポンドドル(GBPUSD)の動きに連動し、ポンド円(GBPJPY)も3月下旬以降の上昇トレンドを維持している。
日足チャートで直近のトレンドを確認すると、10日MA(今日現在172.85レベル)がサポートラインとして意識されていることが分かる。
さらに注目したいのが、上昇トレンドを形成する過程で2度のサポート転換が発生していることである。
1度目のサポート転換は、168.00レベルで発生した。この水準は、フィボナッチ・リトレースメント38.2%戻しにあたる。2度目のサポート転換は、171.20レベルで発生した。
そして現在、3度目のサポート転換の兆しが見られる。その水準が、173.00レベルである。
昨日のポンド円は陰線引けとなった。しかし10日MAにサポートされ、日足ローソク足の実体ベースで173.00レベルを維持した。そして今日の東京時間はポンド高優勢の展開となり、日足ローソク足は陽線となっている。
ポンド円のチャート
リスクリバーサルと予想変動率の動向
ポンド円のリスクリバーサル(1ヶ月と3ヶ月)の動向を確認すると、ポンドプットの傾きが後退している。
一方、予想変動率(1ヶ月と3ヶ月)は、9%台の低い水準にある。過去の動向を振り返ると、予想変動率が上昇する局面では、ポンド円の下落幅が拡大する傾向にある。しかし、現在は予想変動率が急上昇するムードは見られない。
米ドル安(=英米の金融政策スタンスの差)にサポートされている現在のポンドドルや日米の株式市場が高値圏の攻防を維持している状況も考えるならば、ポンドドルと同じくポンド円(GBPJPY)も上値トライを意識したい。
ポンド円のリスクリバーサルと予想変動率の推移
ポンド円のチャートポイント
上昇局面でのチャートポイント
ポンド円(GBPJPY)が上値トライとなる場合、5月30日の高値174.27レベルをブレイクアウトできるかどうか?この点が目先の焦点となろう。
このレジスタンスポイント(174.27レベル)をポンド円が難なく突破する場合は、175.00レベルのトライが次の焦点として浮上しよう。
2013年12月から2016年2月にかけて175.00レベルはレジスタンスとしてもサポートとしても意識された経緯がある。ゆえに今のポンド円の状況では、このレベル(175.00)を重要なレジスタンスポイントとして意識しておきたい。
5月の米雇用統計が米ドル買い要因となる場合は、ドル円の上昇にポンド円が連れ高の展開が予想される。
しかし、ポンド円は5月12日以降の上昇局面で3%超上昇している。そして13週MAとの乖離が2σ(標準偏差)の上限まで拡大する状況が見られる。
短期間で上昇幅が拡大している状況を考えるならば、「米ドル買い→ポンドドル(GBPUSD)の下落」の影響により、ポンド円は175.00レベルで上昇が止められる可能性がある。
米議会上院は1日、63対36の賛成多数で債務上限法案を可決し、デフォルト(債務不履行)を土壇場で回避した。
このタイミングで5月の米雇用統計が6月FOMCの利上げ停止の思惑をさらに高める内容となれば、米株高と米ドル安が同時に発生することが予想される。このケースでは、ポンド円の175.00ブレイクを想定しておきたい。
実際にポンド円が175円台の攻防となる場合、次の上値ターゲットとしてフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準178.69レベルが浮上する。
ポンド円のチャート
反落局面でのチャートポイント
一方、5月米雇用統計や他の要因でポンド円(GBPJPY)が反落する場合は、173.00レベルがサポートへ転換するかどうか?を確認したい。
ポンド円が173円台を維持する場合は、来週以降も上値トライを意識する状況が続くだろう。
一方、ポンド円が173円を下方ブレイクする場合は、10日MA(172.85レベル)の維持が次の焦点として浮上しよう。
ポンド円が10日MAをも下方ブレイクする場合は、5月26日の安値172.22レベルおよび172.00レベルの維持が焦点となろう。
ポンド円のチャート
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