米国株の強気復活か S&P500久々続伸 エヌビディア期待崩れず
S&P500は17日に1か月ぶりの2営業日続伸。2月小売売上高が安心材料となった。FRBのパウエル議長のFOMC後の記者会見に注目が集まる。

アメリカの株式市場が強気を取り戻しつつある。S&P500種株価指数の17日の終値は前週末比0.64%高で、約1か月ぶりの2営業日続伸。半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の株価も大崩れは回避した。17日に発表された2月の小売売上高が自動車・部品を除いたベースで市場予想通りの結果だったことが安心材料になったもよう。今後の見通しをめぐっては、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が19日の記者会見で米国経済への見通しを維持すれば、株式市場にさらに安心感が広がりそうだ。ただ、ドナルド・トランプ大統領の高関税政策への注目は4月2日の相互関税発動に向けて改めて高まるとみられ、S&P500に再び下落圧力がかかる不安も拭えない。
アメリカのS&P500は1か月ぶりの続伸 見通しに明るさ
S&P500(SPX)の17日の終値は5675.12で、2月19日の最高値(6144.15)から7.63%安となった。3月13日には最高値から10.13%安まで後退していたが、反発の流れが出ている形だ。2営業日続伸は最高値更新につながった2月18、19日以来。約1か月にわたって続いた一進一退の展開から抜け出したともいえ、S&P500の見通しが明るさを増してきた。


2月の小売売上高は自動車・部品を除けば予想通り 投資家の不安は低下傾向に
S&P500の底打ち期待を強めたのは17日に発表された2月の小売売上高が極端な悪材料にはならなかったことだ。前月比での伸び率は0.2%増で、ブルームバーグがまとめた市場予想の0.6%増を下回ったものの、自動車・部品を除いたベースでは予想通りの0.3%増を確保した。トランプ氏の高関税政策をめぐる経済の混乱が消費を縮小させるというシナリオがひとまずは回避されたと受け止められたようだ。

S&P500の見通しが落ち着きつつあることはウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の値動きからも感じられる。シカゴ・オプション取引所によるとVIXの17日の終値は前週末比5.79%下落の20.51。10日につけた27.86からの低下が進み、2月28日以来の20割れに接近してきた。VIX指数はS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど今後の値動きが激しくなることへの警戒感が強いことを意味する。

こうした中、投資家の関心は18、19日の連邦公開市場委員会(FOMC)に向かう。政策金利の維持が確実視される中、パウエル氏が19日の記者会見で米国経済の堅調さを強調すれば、S&P500にとっては安心材料が増すことになりそうだ。パウエル氏は7日の講演で「米国経済は引き続き良い状態にある」と述べており、19日の記者会見でも同様の立場が維持されれば、S&P500に値上がり圧力がかかることも考えられる。
トランプ氏の高関税への不安は継続 4月2日の相互関税発動に向けて再び緊張感も
ただ、S&P500の今後の見通しをめぐっては、再び下落圧力が増すシナリオも否定できない。トランプ氏は12日に鉄鋼とアルミニウムの輸入に対する25%関税を発動させており、米国内への物価にかかる上昇圧力は強まっていく見通し。また4月2日には米国製品に関税をかけている国や地域からの輸入品を対象とした相互関税を発動させる考えだ。相互関税の詳細や各国からの反発などが株式市場で材料視されれば、株式市場での米国経済の先行きに対する不安は改めて高まりそうだ。
株式市場の先行きへの拭い切れない不安は、エヌビディア以外の大手ハイテク株の値動きからも感じられる。トランプ氏との蜜月関係が知られるイーロン・マスク氏が率いる電気自動車(EV)大手テスラの株価(TSLA)の17日の終値は前週末比4.79%安の238.01ドル。2024年12月17日の最高値(479.86ドル)の半分以下だ。また、SNS大手メタ・プラットフォームズの株価(META)は3月14日に590.64ドルまで下落し、2月14日までの20営業日続伸で到達した最高値(736.67ドル)から19.82%安となった。

トランプ氏の政策に関しては、不法移民の取り締まりの厳格化や連邦政府職員の人員調整も進んでおり、労働市場の不安定化につながる可能性がある。トランプ政権下で株高が進むという楽観的な見通しは崩れており、経済指標や企業決算の発表が近づくたびに不安が高まる展開も想定されそうだ。
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