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米国株、トランプ氏就任後の見通しは? S&P500週次反発 底打ちも

S&P500は週次で3%近い上昇。投資家の間では先行きへの悲観も強いが、トランプ次期大統領の20日の就任が好意的に受け止められる可能性もある。

米国株、トランプ氏就任後の見通しは? S&P500週次反発 底打ちも 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場は、20日に迫ったドナルド・トランプ次期大統領の就任を、前向きなムードで迎えた。S&P500種株価指数の17日の終値は1週間前比で3%近い上昇。大統領選挙でトランプ氏が勝利した11月初め以来、10週ぶりの高い伸びとなった。半導体大手NVIDIA(エヌビディア)も復調の兆しをみせており、見通しが明るくなった形だ。一方、トランプ氏の就任は物価上昇圧力という株価にとっての悪材料も連想させる。こうした中、個人投資家の間ではS&P500の今後の見通しに対する悲観的な見方が強い。ただし米国経済が好調さを維持する中、トランプ氏の政権運営が経済活動を刺激することで株価に追い風が吹くとの筋書きも考えられ、S&P500の上昇が改めて勢いづくこともありえる。

アメリカのS&P500は週次2.91%高 3週ぶりの反発

S&P500(SPX)の17日の終値は前日比では1.00%高の5996.66。週次での上昇率は2.91%高で、3週ぶりの上昇となった。伸び率は大統領選があった2024年11月4-8日週(4.66%高)以来の大きさだ。15日に発表された12月の消費者物価指数(CPI)物価上昇の過熱感が出なかったことが米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げへの期待をつなぎ、S&P500の見通しを明るくした。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

エヌビディアは2週ぶりの上昇 半導体企業にはTSMCの設備投資意欲が追い風に

17日の取引では大手ハイテク株もそろって上昇した。エヌビディアの株価(NVDA)は前日比3.10%高。週次でも1.32%高を確保し、2週ぶりの上昇を果たした。エヌビディアの株価をめぐっては、13日に米政府が発表した人工知能(AI)向け高性能半導体の輸出規制の見直し案が悪材料となっていたが、下落に歯止めがかかった形だ。大手ハイテク株では電気自動車(EV)大手のテスラ(TSLA)も週次で8.05%高となり、3週ぶりに反発している。

エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、テスラ、アマゾン・コム、アルファベット、アップル、マイクロソフトの株価の推移のグラフ

エヌビディア以外の半導体株では、半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(AMAT)が週次で11.88%高。台湾積体電路製造(TSMC、TSM)が16日の2024年10-12月期決算会見で2025年の設備投資を大幅に積み増す見通しを示したことが、アプライド・マテリアルズの業績の見通しを明るくしている。このほか半導体大手のブロードコム(AVGO)も週次で5.85%高、クアルコム(QCOM)も4.83%高となった。S&P500構成銘柄ではないものの、英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)も週次で6.24%高となっている。

エヌビディア、アーム・ホールディングスなど半導体株の株価の推移のグラフ

トランプ氏の大統領就任はS&P500の懸念材料 個人投資家の強気割合は急低下

一方、20日に大統領に就任するトランプ氏の政権運営はS&P500の見通しにとって懸念材料でもある。高関税や、減税路線による経済活動の刺激は物価上昇圧力を連想させ、FRBの利下げを難しくするからだ。12月雇用統計で就業者数の増加幅が市場予想を大きく超え、物価上昇への懸念が強まった10日には、S&P500は1.54%安となり、悲観的な反応を示した

こうした中、個人投資家の間ではS&P500の見通しへの強気な見方が急激に落ち込んだ。米個人投資家協会(AAII)が16日に発表した週次調査では、今後6か月でS&P500が上昇すると考える「強気」な投資家の割合は25.4%で、前週の34.7%から大きく低下している。2023年11月2日発表分(24.3%)以来、約1年2か月ぶりの低さだ。

S&P500と個人投資家の強気度合いの推移のグラフ

トランプ氏は中国との協力姿勢を表明 S&P500の見通しに安心感も

ただ、米国経済が大きな悪化をみせない中で、S&P500の今後の見通しには明るいシナリオが浮上する可能性もある。トランプ氏の減税路線や規制緩和を重視する姿勢は消費や企業業績を上向かせるとの期待も強い。懸念される中国との関係悪化についても、トランプ氏は17日に自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に、「たった今、中国の習近平国家主席と話した」と投稿。電話で貿易を含む両国関係について議論したと明かし、「われわれは共に多くの問題を解決することになる。すぐに始まる」とした。大統領就任直後に中国に対する極端な対決姿勢を示すことはないともみられそうだ。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の17日の終値は15.97で、12月27日(15.95)以来の低さとなった。

S&P500とVIX指数の推移のグラフ

このためトランプ氏が20日の就任演説などで打ち出すメッセージが米国経済に対して前向きだと受け止められれば、投資家の間には安心感が広がるとも考えられる。20日はキング牧師記念日にあたり、米国の株式市場や債券市場は休場となるが、21日以降の米国の株式市場が値上がりで反応する可能性もありそうだ。


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