米国株に半導体株効果 S&P500連騰 FOMCはタカ派見通し
テスラや半導体株が牽引する形でS&P500は5100台を回復。ただし1日までのFOMCは利下げ見通しを後退させる可能性がある。
アメリカの株式市場が決算発表シーズンの最中に勢いを取り戻している。S&P500種株価指数の29日の終値は続伸し、前週末比0.32%高。5100台を回復し、4月中旬までの不振を感じさせない好調ぶりだ。牽引役は電気自動車(EV)大手のテスラ。また、大手ハイテク企業の決算発表を機に、米国の半導体株も勢いづいてきた。ただし5月1日までの連邦公開市場委員会(FOMC)は、利下げ観測を後退させるタカ派的な内容と受け止められる可能性がある。今後の見通しに関しては、長期金利(10年物米国債利回り)の上昇が改めて株価を下押しするおそれも拭えない。
アメリカのS&P500は連騰で5100を回復
S&P500(SPX)の29日の終値は5116.17。26日の1.02%高に続く連騰で、12日以来約2週間ぶりに5100台を回復した。S&P500は12日から19日にかけては、長期金利が上昇する中で6営業日続落し、5000を割り込む不振ぶりだった。しかしその後の6営業日では、値下がりは1日だけという好調さで、株式相場の見通しを明るくしている。
テスラの株価は29日に15.31%高の急騰
相場の牽引役となっているのは大手ハイテク株だ。なかでもテスラの株価(TSLA)は29日、前週末比15.31%高と急騰。イーロン・マスクCEOが28日に中国・北京で李強首相らと会談したと報じられたことなどが好感された。米ウォールストリート・ジャーナルは29日、中国政府はテスラの運転支援機能「FSD」を中国で導入することに暫定的な許可を与えたと報じている。テスラは中国のIT大手、百度(バイドゥ)が提供する地図やナビゲーション機能を用いるという。
テスラの株価は2024年1-3月期決算発表翌日の24日にも12.06%高と急上昇した。決算会見で新型車の投入時期を2025年前半に前倒ししたことが要因だ。また、25日に初の配当実施を発表したアルファベット(GOOGL)も値を上げている。
アメリカの半導体株は大手ハイテクの積極投資が追い風に
さらに大手ハイテク企業での決算会見では、マイクロソフト(MSFT)やメタ・プラットフォームズ(META)も人工知能(AI)への積極的な投資を続ける姿勢を維持。半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)の株価が勢いを取り戻した。エヌビディアの株価の29日の終値は877.57ドルで、S&P500が5000を割り込んでいた19日の終値の762ドルとの比較では15.17%高の水準。この1週間強の間で、ブロードコム(AVGO)も11.12%高となっている。またS&P500構成銘柄ではないものの、英半導体大手アーム・ホールディングスの株価(ARM)も19日比で18.41%高となっている。
FRBのパウエル議長の会見はタカ派色が強まる見通しも
ただ、FRBが5月1日まで開くFOMCは投資家心理を冷やす可能性がある。FRBが6会合連続で政策金利を維持することが確実視されているほか、ジェローム・パウエル議長の記者会見では利下げ姿勢の後退が意識されるとみられるからだ。パウエル氏は前回3月20日のFOMC後の記者会見では物価上昇率の低下について楽観的な見通しを維持。しかし4月16日のイベントでは、物価上昇率が2%に向かうという確信を得るまでには「想定していたよりも長い時間がかかる」可能性に言及している。
パウエル氏が利下げに慎重なタカ派色を強めた背景には、米国の物価上昇率の根強さが長期化していることがある。10日に発表された3月の消費者物価指数(CPI)は3か月連続で市場予想を上回る強さ。26日発表の3月の個人消費支出(PCE)物価指数の伸び率も市場予想を上回っている。LSEGのデータによると、金融市場の動向から算出される12月のFOMC後の政策金利は日本時間30日午前10時30分ごろの段階で4.978%で、現状の5.25-5.50%から0.25%利下げが1-2回行われる見通しとなっている。
一方、1日のパウエル氏の記者会見がタカ派寄りになったとしても、株式市場では「織り込み済み」と判断されることも考えられる。S&P500は長期金利が上昇する中でも値上がりの勢いが戻っており、ハイテク株や半導体株の業績見通しへの期待が金利の先高観という逆風を跳ね返す可能性もありそうだ。
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