7月のFOMCにサプライズなし、次はECBイベントが焦点に
7月の連邦公開市場委員会(FOMC)にサプライズはなかった。次の注目イベントは欧州中央銀行(ECB)理事会。ラガルド総裁の言動次第でユーロドルは上下どちらに振れてもおかしくない状況にある。
サマリー
・7月の連邦公開市場委員会(FOMC)にサプライズはなかった
・次の注目イベントは欧州中央銀行(ECB)理事会
・今回の理事会の焦点はラガルド総裁の言動と市場が抱く追加利上げ期待の動向
・ユーロドルの展望とチャートポイント
連邦公開市場委員会(FOMC)のサマリー
パウエルFRBはデータ重視を踏襲
米連邦準備理事会(FRB)は26日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを決定した。今回の利上げで政策金利(FFレート)の誘導目標は5.25%-5.5%と、22年ぶりの高さに引き上げられた。
今回の会合の焦点は、パウエルFRB議長がインフレや金融政策の動向についてどのような見解を示すのか?この点にあった。
結論から言えば、IG為替レポートで指摘した「データ重視」のスタンスをあらためて強調した。
インフレについては幾分かやわらいではいるが物価目標の2%まで長い道のりがあるとし、インフレの粘着性について述べた。
9月19-20日に開催される次回のFOMCでの追加利上げについてパウエルFRB議長はその可能性を示唆しながらも、判断はデータ次第と強調した。年内の利下げについてはあらためて否定した。
アメリカ政策金利(FFレート)の動向
市場は利上げサイクルの終了を意識する状況を維持
今回のFOMCにサプライズはなかった。
パウエルFRB議長は追加利上げの可能性に含みを持たせた。しかし短期金融市場では、7月の利上げを最後にパウエルFRBが利上げのサイクルを終了させるという予想に変化は見られない。レポート執筆時点(27日午前8時時点)で9月会合での利上げ確率は20%程度である。
一方、米債市場では、金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りが低下で反応した。10年債利回り(長期金利)も同じく低下した。
パウエルFRB議長は景気の先行きについて、FRBのスタッフが今年後半の景気後退の予想を撤回したことを明らかにした。しかし、景気の動向を織り込みながら動く長期金利が今後低下トレンドを形成する場合は、米債市場の参加者が景気減速の可能性を意識している動きと捉えたい。
米金利の低下トレンドが鮮明となる場合、外為市場では通貨ペアによって強弱まちまちの展開が予想されるも、米ドル相場全体としては緩やかな下落トレンドを形成する展開を想定しておきたい。
7月に入り米金利の上昇が抑制されて以降、米ドル相場のトレンド示すドルインデックス(DXY)は下落基調にある(下チャートのグレーゾーンを参照)。
米金利と米ドル相場のチャート
次の注目イベントはECB理事会
揺れる9月利上げの思惑、ラガルド総裁の言動に注目
今日は、欧州中央銀行(ECB)理事会がある。外為市場では0.25%の利上げがすでに織り込まれている。
よって今回の焦点は、ラガルド総裁の言動とその内容を受け市場参加者が予想する追加利上げの期待がどのように動くのか?この点にある。
短期金融市場では、9月理事会(9月14日開催)での利上げについての思惑が揺れている。24日にさえない経済指標が確認されて以降、9月利上げの可能性が後退する傾向にあり、レポート執筆時点では五分五分と市場参加者の予想が割れている。
ユーロドルの展望とチャートポイント
ECBの追加利上げに対する市場の思惑が揺れている状況を考えるならば、上で述べたとおり今回の理事会の焦点はFOMCと同じく、定例会見でのラガルド総裁の言動となろう。
サプライズなく通過したFOMCの後に、ラガルド総裁がインフレを抑制するために追加利上げ維持の姿勢を強調すれば、ユーロドル(EUR/USD)は1.11台の攻防へシフトすることが予想される。
昨日のユーロドルは米ドル売りにサポートされ、1.11台へ反発する局面が見られた。その際、1.1108レベルで戻りが止められた。この水準は、サポートとしてもレジスタンスとしても意識された経緯がある。昨日、再びレジスタンスとして意識された状況を考えるならば、1.1108(1.1110レベル)の上方ブレイクは、さらなる上値トライのシグナルとなろう。
今日のECBイベントがユーロ買いの要因となる場合は、上で述べたレジタンスポイントを突破し、半値戻しの水準1.1150レベルやレジスタンスへ転換する可能性があるフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準1.1178レベル(1.1180レベル)のトライおよびブレイクが焦点となろう。
ユーロドルのチャート:1時間足
なお、通貨オプション市場のリスクリバーサルの動向を確認すると、1ヶ月のそれはユーロ・コールへ向かう状況にある。
ゆえにECBイベントがユーロ買いの要因となり、上で述べたレジタンスポイントをことごとく突破する場合は、1.12台への攻防シフトを想定しておきたい。
ユーロドルとリスクリバーサルのチャート
3つの下値の焦点
一方、ラガルド総裁が景気の先行きリスクにについて触れ、パウエルFRB議長と同じく「追加の利上げはデータ次第」という姿勢を強調すれば、市場が抱く9月利上げの期待が後退することが予想される。
このケースでは、ユーロドル(EUR/USD)の1.10トライおよびブレイクを警戒しておきたい。
ユーロドルが1.10以下の攻防へシフトする場合は、1.09ミドルの維持が焦点となろう。この水準をも難なく下方ブレイクする場合は、1.08台の攻防シフトを想定しておきたい。
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