米個人消費関連の経済指標と米債市場の反応 / ドル円のチャートポイント
今週の注目材料はアメリカの個人消費関連指標とそれらの内容を受けた米債市場の反応である。ドル円の焦点と注目のチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
米個人消費関連の経済指標と米債市場の反応
【サマリー】
・インフレ関連指標の低下を受けても米金利は反発
・完全に後退していないアメリカのインフレリスク
・今週の注目材料はアメリカの個人消費関連指標
・ドル円と強い相関関係にある米金利とは
・ドル円 今週注目しておきたいチャートポイント
・今週の焦点と注目の材料
先週発表されたインフレ関連指標(消費者物価指数、生産者物価指数、1年先の期待インフレ率)は、いずれも物価上昇のピークアウトを示唆する内容が続いた。
インフレ関連指標の推移
前回:消費者物価指数と生産者物価指数は6月 / インフレ期待は7月
今回:消費者物価指数と生産者物価指数は7月 / インフレ期待は8月
米国の株式市場ではインフレリスクが後退するとの期待が高まり、多くの機関投資家がベンチマークとするS&P500指数(SPX)が4週連続の陽線引けとなった。
そしてテクニカルの面では、年初来高値(4,818.62)を基点とした短期レジスタンスラインをトライするムードが高まっている。同指数のオプション取引の値動きをもとに算出されるVIX指数(VIX)も20ポイントの水準を下方ブレイクしている。
投資家のリスクセンチメントの改善傾向は、外為市場で資源国通貨や資源と関わりがあるリスク性の高い通貨買いを促した。
S&P500指数(SPX) / VIX指数(VIX)のチャート
「今後はインフレが低下する」との期待が続くかどうか?今週はこの点が外為市場の焦点となろう。
これを考える上で注目すべき材料は、アメリカの個人消費関連指標である。今週16日に7月住宅関連指標、17日には7月小売売上が発表される。いずれの指標もアメリカの個人消費を考える上で重要である。
今後の利上げ政策について連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は「経済指標重視」のスタンスを示している。インフレがピークアウトする兆しは見え始めている。しかし未だ高水準にあること、そして今後順調にインフレが低下基調を辿るかどうかは不透明である。これらの状況を考えるならば、個人消費が堅調さを維持する場合、9月連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利上げ(0.75ポイント利上げ)の思惑がくすぶり続けよう。
なお、FEDウォッチで9月FOMCの利上げ確率を確認すると、0.75ポイント利上げの確率は45%前後で推移している(15日7時時点)。
また、米国の債券市場の動きを確認すると、5年債利回りと10年債利回りはいずれも先週10日の消費者物価指数(CPI)が発表される前の水準を回復する局面が見られた(10年債はその水準を上回っている)。
インフレ関連指標が総じて予想以下となったにも関わらず、これら米金利が反発した事実は、インフレリスクの根強さを示唆している。故に、上で述べた個人消費関連の指標が総じて予想以上となれば、「パウエルFRBの期待どおりにインフレが低下しないリスク」が意識される可能性がある。
この懸念が高まる場合、外為市場では米ドルを買い戻す圧力が高まることが予想される。
米金利のチャート
・米5年/10年債利回りとドル円の関係
米国の5年債利回りと10年債利回りの動向を取り上げた理由は、ドル円(USDJPY)と強い相関関係にあるからだ。
昨年9月のFOMC(21~22日開催)でパウエルFRBは政策転換のシグナル(テーパリングの開始が近いシグナル)を発信した。それ以降、米債市場では2年債、5年債そして10年債の各利回りに対して上昇の圧力がジワリと高まった。
昨年9月FOMC以降のドル円と各米金利との相関関係を相関係数で確認すると、2年債利回りとのそれが0.41である一方(青のボックス)、5年債利回りと10年債利回りとのそれらは0.5を超えている(赤のボックス)。後者2つの利回りは、将来の景気動向を織り込みながら動く特性がある。故にこれら利回りは今週、上で述べたアメリカの個人消費関連指標の内容次第で上下に振れる展開が予想される。
これら利回りと強い相関関係にあるドル円も、同指標の内容でトレンドが左右されることが予想される。
ドル円と米金利の相関マトリクス
なお、数字(相関係数)の上では、米国の5年債利回りと10年債利回りの動向がドル円のトレンドに与える影響はほぼ同じである。
しかし、プロットの散らばり具合を散布図チャートで確認すると、データがより密集しているのは5年債利回りとドル円の方である。よって、米金利をにらみながらドル円を取引する際は、5年債利回りのトレンドを常にチェックしておくことが重要となろう。
ドル円と5年債の利回りの散布図チャート
ドル円と10年債の利回りの散布図チャート
ドル円のチャートポイント
・引き続き2つの移動平均線の攻防が焦点に
今週のドル円(USDJPY)は、引き続き2つの移動平均線の攻防が焦点となろう。
ドル円が上昇する場合は、21日MAのトライ&ブレイクに注目したい。一方、下落の局面では100日EMAのトライ&ブレイクが焦点となろう。
MACDのトレンドを考えるならば、より注視すべきは100日EMAのトライ&ブレイクの方である。今年に入りドル円は、この移動平均線を一度も下方ブレイクしていない。故に100日EMAは、短期サポートライン(3月4日安値114.65が基点)と同じく、ドル円の上昇を象徴しているトレンドラインである。
上で述べたアメリカの個人消費関連指標が総じてさえない内容となる場合、米金利には低下の圧力がかかるだろう。このケースでは、100日EMAを視野にドル円が下落する展開を想定しておきたい。
・100日EMA以下のサポートポイント
ドル円が100日EMAを難なく下方ブレイクする場合は、130.39(8月2日安値)および節目の130.00が次の下値ポイントとして浮上しよう。
これらのサポートポイントをも下方ブレイクする場合は、5月24日安値126.36レベルを視野に下落幅の拡大を想定しておきたい。
・21日線を突破する場合
一方、アメリカの個人消費関連指標が総じて強い内容となれば、米金利には上昇の圧力が高まることが予想される。このケースでのドル円は、21日MAを視野に入れた攻防が予想される。
ドル円の反発が続き、MACDでゴールデンクロスとゼロラインの突破が確認される場合は、21日MAのブレイクおよびサポーラインへの転換を想定しておきたい。特に後者の点(21日MAのサポート転換)が確認される場合は、相場の上値を抑制する局面が見られた137.50レベルを視野に再び上昇幅が拡大する可能性が出てくる。
ドル円のチャート
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