トヨタ、営業利益どこまで 11月1日決算 円安で再び1兆円台か
トヨタ自動車の7-9月期の営業利益は2四半期連続の1兆円台が予想されている。一方、中国市場やEVの苦戦は不安材料だ。
トヨタ自動車が11月1日に発表する2023年7-9月期決算は営業利益をどこまで伸ばせるかが焦点だ。4-6月期の営業利益は日本企業の四半期決算として初の1兆円超え。7-9月期の営業利益も再び1兆円台に乗ると期待されており、下半期の株価は日経平均株価が下落する中でも14%超上昇している。外国為替市場で続いている円安ドル高もトヨタにとっては追い風といえそうだ。ただ、中国市場での苦戦や電気自動車(EV)の出遅れといった課題もあり、順風満帆とばかりはいえない事情もある。
トヨタの7-9月期の営業利益は1兆円超えの予想
金融情報会社リフィニティブのデータによると、トヨタの7-9月期決算に関する市場予想は、総収入が前年同期比15.7%増の10兆6690億円、営業利益が92.3%増の1兆820億円。予想通りになれば、2四半期連続の営業利益1兆円台となる。トヨタは過去13回の四半期決算のうち、総収入で2回、営業利益で3回、市場予想を下回っている。
トヨタの株価(7203)は2022年、ロシアによるウクライナ侵攻や、半導体需給のひっ迫などを背景にして約14%下落した。しかし2023年に入ってからは株価は反転し、10月26日の終値(2594.50円)までで43.1%上昇している。同じ期間の日経平均株価(N225)の上昇率(17.3%)をしのぐ実績だ。また、7月以降の下半期で限ってみてもトヨタの株価は12.4%上昇しており、日経平均の7.8%下落と対照的だ。
リフィニティブによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は9.74倍で、ホンダ(7.66倍、7267)や日産自動車(5.54倍、7201)よりもやや割高となっている。株価純資産倍率(PBR)は1.26倍だ。アナリストが提示する目標株価の平均は2861.10円で、現状よりも約10.2%高い。10月に入ってからは目標株価を3300円に引き上げるケースも出ている。24人のうち6人が強い買い、9人が買いを推奨。8人は維持、1人は売りを勧めている。
トヨタは販売台数増加や円安が追い風になる見込み
トヨタは4-6月期決算で営業利益1兆1209億円をあげ、発表当日の株価は前日比2.5%高。翌日も買いが集まって、さらに2.3%高となった。トヨタは4-6月期決算の営業利益の好調さの理由として、前年同期に比べて販売台数が増えたことや、為替相場が円安に振れたことでドル建てでの収益が円換算では割高で評価されたことなどを挙げている。
こうした中、トヨタはすでに7月と8月の全世界での販売台数について、いずれも過去最高を記録したと発表しており、7-9月は引き続き好調なもよう。また7-9月期のドル円相場は平均で1ドル=144円台で推移しており、前年同期の138円台や、4-6月期の137円台と比べて円安ドル高となっている。トヨタの業績に対する追い風は7-9月期も止んでいないようだ。営業利益が市場予想通りとなれば、直近6か月の営業利益の合計は約2兆2000億円となり、トヨタが5月に示した2024年3月期の営業利益の見通し(3兆円)の3分の2以上を達成することになる。
ただ、販売台数の2割弱を占める中国市場では競争が激化しており、8月の販売実績が前年同月比6.6%減となるなど、苦戦している。また、アメリカのテスラ(TSLA)や中国のBYD(1211)が先行している電気自動車(EV)の販売は4-6月期は前年同期の7倍超にあたる2.9万台だったが、2024年3月期の目標として掲げている20.2万台の達成にはさらなる加速が必要だ。中東情勢の緊迫化や米国経済の先行きといった不安要素も消えない中で、今後の展開次第でトヨタの株価の勢いがそがれていく可能性も否定できない。
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