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米国株の強気相場目前 S&P500が底値から19.8%高 継続に不安も

S&P500種株価指数が値上がりし、底値からの20%高に近づいている。ただ今回の株価上昇は一部銘柄に依存するもろさもある。

出所:ブルームバーグ

S&P500種株価指数が強気相場(ブルマーケット)入りの領域に迫っている。6月6日の終値は2022年10月の底値から19.8%高い水準。一般的に底値から20%値上がりすれば強気相場が始まったとされ、株価のさらなる値上がりを見込んだ投資に適した相場環境になるとされる。ただし今回の株価上昇は半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)をはじめとする、少数の銘柄の株価急騰に支えられている事情もあり、強気相場に入ったとしても短命に終わる可能性もある。

S&P500は強気相場まであと9ポイント

S&P500の6日の終値は前日比0.24%高の4283.85で、2023年の最高値を更新した。2022年10月12日につけた直近の底値は3577.03で、強気相場まであと9ポイント程度という状況だ。このところは米国の債務上限問題が決着したことなどが追い風となっている。

S&P500は米国でいち早く始まった新型コロナウイルス禍からの回復への期待から、2022年1月3日に史上最高値の4796.56まで値上がりしていた。しかし物価上昇を警戒するFRBの利上げが始まる中で株価は下落基調となり、6月13日には高値から20%の値下がりが基準とされる弱気相場(ベアマーケット)の領域に入った。この弱気相場が強気相場に切り替われば、投資家心理の改善が進んでいることを意味する。

S&P500種株価指数の推移と強気相場(ブルマーケット)と弱気相場(ベアマーケット)の基準

強気相場では株価の先行きに楽観的になっている投資家が株式を買い増し、株価はさらに値上がりする傾向が強まるとされる。このため、「強気相場で利益を得たいなら、株価上昇の早い段階で株式を買う」といった投資戦略も存在する。

エヌビディアなどの急騰に依存

ただし金融市場では相場の実力を不安視する声も多い。S&P500の値上がりはエヌビディアなど一部の銘柄の大幅な値上がりに依存する部分が大きいからだ。6日の終値とS&P500が底値を付けた2022年10月12日の終値を比較した場合、エヌビディアの株価(チャート)は3.4倍に上昇。SNSのフェイスブックなどを運営するメタ・プラットフォームズの株価(チャート)は2.1倍になっている。これらの銘柄は時価総額も大きいため、S&P500の値動きを左右する度合いも大きくなる。

S&P500種の主な構成銘柄の株価の動向

また、株式市場に大きな影響を与えてきたFRBの動向は不確定な部分も多い。金融市場では、FRBが6月13、14日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げは見送り、7月に0.25%の利上げを行うとの見方が優勢だ。とはいえ、今後の経済指標で物価上昇圧力の強さが確認されれば、改めて利上げの必要性が材料視され、投資家心理が一気に冷え込むおそれもある。

仮にS&P500が強気相場入りした場合、どれだけ長続きするかが次の焦点になる。一部の企業への成長期待が薄れていく展開になれば、史上最高値を超えないまま再び弱気相場入りする可能性もありそうだ。


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