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1月米雇用統計の焦点 / ドル円のチャートポイント

1月の米雇用統計の焦点は「賃金の動向」にある。インフレの進行と原油価格高騰のリスクが意識されているタイミングで、賃金の上昇傾向までが確認される場合は米金利の上昇が予想される。米雇用統計後のドル円の焦点は?上下のチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

1月米雇用統計の焦点


【サマリー】

・1月の米雇用統計の焦点は「賃金インフレ」にある
・米指標の内容を受けた長期金利の反応に注目
・利回り動向次第では対欧州通貨で米ドルが買い戻される可能性あり
・ドル円のチャートポイントについて



・1月米雇用統計の焦点はどこに?

今日は1月の米雇用統計が発表される。オミクロン株の影響を受け非農業部門雇用者数(予想15万人増)が予想以下となる可能性があるが、この点について各市場の参加者はすでに想定している。

よって、今回の米雇用統計で注目すべきは雇用の増減ではなく、「賃金の動向」にあると筆者は考えている。

その理由は、米連邦準備制度理事会(以下パウエルFRB)が現在直面している最大の課題が、「高インフレの抑制」にあるからだ。

21年12月の消費者物価指数(CPI)は1982年6月以来となる7.0%へと上昇した(82年当時は7.1%)。個人消費支出(PCE)デフレーターも5.8%と、パウエルFRBの平均インフレ目標2.0%を大きく上回っている(チャート赤ライン)。

アメリカのインフレ率

アメリカのインフレ率


インフレはいずれピークアウトするだろう。問題は、ピークアウトしたインフレがパウエルFRBの予想通りに、平均インフレ目標(2%)に向かって低下するかどうか?である。

この点を言い換えるならば、「インフレがパウエルFRBの予想通りに低下しないリスク」がある、ということでもある。

今年は、インフレの低下を阻む3つの要因に注視する必要がある。ひとつは、生活コストが一番重くのしかかる家賃の上昇である。

ふたつ目は、エネルギー価格の上昇である。NY原油先物価格(WTI)は3日、2014年10月以来となる1バレル=90ドル台へと突入した。ウクライナ情勢次第では100ドル台へ上昇するとの指摘が出始めている。



・賃金インフレと米長期金利の反応

そして最後の要因が、「賃金インフレ」である。

1月の平均賃金の予想は5.2%(前年同月比)と、昨年12月の4.7%(同比)から上昇する見通しとなっている。

米雇用統計:平均賃金のチャート

米雇用統計:平均賃金のチャート

実際の結果が予想以上となれば、3月16日の連邦公開市場委員会(FOMC)での50bp(0.5%)の利上げ確率が上がる可能性がある。原油先物価格が高騰しているタイミングで「賃金インフレ→パウエルFRBによる利上げスピードの加速」までが意識される場合、米債市場では各年限の利回りに上昇の圧力が高まることが予想される。

特に注目したいのが、長期金利(10年債利回り)の反応である。レジスタンスとして意識されている1.9%の水準を一気に突破する展開となれば、実質長期金利(10年)のマイナス幅も縮小しよう。外為市場では米ドルを買い戻す圧力が高まることが予想される。特に、今日の午前のレポートで取り上げたポンド(GBPUSD)やユーロ(EURUSD)での米ドル買い圧力が高まる可能性を意識したい。


一方、米国株(アメリカ株)市場では、金利の上昇リスクが意識される可能性が高い。特にグロース株には売り圧力が高まることが予想される。

だが、実際にグロース株が下落しても、好決算のビッグテック株(アルファベットアップルマイクロソフト)に限っては押し目買いの戦略を意識したい。

米長期金利のチャート

米長期金利のチャート


ドル円のチャートポイント

・上値のチャートポイント

1月米雇用統計後のドル円(USDJPY)は、米金利の動きでトレンドが左右されると予想する。

上で述べたとおり、賃金インフレが確認される場合、米債市場では長期金利を含めて各年限の利回りが上昇する可能性が高い。このケースでは、米グロース株を中心に米国株の下落が予想されるが、昨日の米株安では米ドル買いの圧力が勝った。直近の状況を重視するならば、「米金利の上昇→ドル円の上昇」を意識したい。

だが、米国株の下落はドル円の上昇幅を抑制する要因となり得る。115円台の攻防となっても、115.50より上の水準では反落リスクを意識したい。テクニカル面では、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準115.66レベルの攻防となるかどうか?この点に注目したい。このテクニカルポイントは、先月28日に相場の戻りを抑制した経緯がある。


・下値のチャートポイント

一方、今回の米雇用統計が米ドル売りイベントとなる場合は、10日線(EMA)の下方ブレイクおよび114.00トライを想定しておきたい。

今月2日の安値114.14ブレイクは、114.00トライのシグナルと想定したい。また後者のケースでは、短期サポートラインの維持が焦点となろう。このラインは今日現在113.89レベルで推移している。

ドル円のチャート

ドル円のチャート

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