ウォルマート、粗利益率改善カギ 18日決算発表 仕入れコストなど上昇
ウォルマートが18日に発表する2023年2-4月期決算は粗利益率改善が焦点。仕入れコストアップなどを克服できるかがカギだ。
米流通最大手ウォルマートが18日朝(日本時間18日午後8時)に発表する2023年2-4月期決算は粗利益率の改善が焦点だ。ウォルマートは新型コロナウイルス禍以降も順調に総収入を伸ばしてきたが、このところは4四半期連続で粗利益率が悪化。物価上昇の中で仕入れコストが上がっていることなどが収益性の足を引っ張っている構図がある。ウォルマートには巨大企業としての強みがあるものの、世界的な先行きの不透明感はウォルマートの株価に影響を及ぼす可能性がある。
ウォルマートの2023年2-4月期決算は増収増益予想
ウォルマートは決算発表から1時間後の日本時間18日午後9時に決算会見を開く。金融情報会社リフィニティブのデータによると、ウォルマートの2-4月期決算に関する市場予想は総収入が前年同期比4.9%増の約1485億ドル、ウォルマート決算で投資家が注目する調整ベースの1株当たり利益は0.8%増の1.31ドルと見込まれている。ウォルマートは過去12回の四半期決算のすべてで総収入が事前の市場予想を上回った。一方、1株当たり利益では2回、市場予想をクリアできなかった。
ウォルマートの株価(チャート)は1年前の2022年5月の決算発表で1株当たり利益が市場予想を下回った際に3日間で約18%下落したこともあったが、秋までには急落前の水準を回復。現在は152ドル程度で取引されている。リフィニティブによると、直近の株価と予想年間収益から算出される株価収益率(PER)は24.2倍。同業のターゲット(17.4倍、チャート)や、ホームセンター大手のホーム・デポ(18.0倍、チャート)よりも割高な水準にある。アナリストが提示する目標株価の平均は164.78ドル。44人のうち12人が強い買い、24人が買いを推奨している。残り8人は維持を勧めている。
ウォルマートは新型コロナ禍が始まった2020年以降も総収入は常に前年同期を上回ってきた。これに対して業績のネックとなっているのは粗利益率だ。株価の急落を招いた2022年2-4月期決算は調整ベースの粗利益率が23.8%で、前年同期から0.87%ポイント(87ベーシスポイント=bps)低下していた。その後も粗利益率は前年同期を下回り続け、2022年11月-2023年1月期は22.9%という水準まで下がっている。ウォルマートは粗利益率低下の理由として、追加的な値下げや、利益率の低い食品などが販売に占める割合が増えていること、仕入れ価格の上昇などを挙げている。
粗利益率は「改善すると予想」
一方、ジョン・レイニーCFOは2月の決算会見で粗利益率の見通しについて「今年は2022年度(2021年2月-2022年1月)の水準まで戻らないにせよ、改善すると予想している」とも説明している。仕入れコストの増加や値下げの影響が薄れていくことなどが理由だ。
また、ダグラス・マクミロンCEOは、多様な商品を安値で販売することを強みとするウォルマートという巨大企業のビジネスモデルについて、「変化に対するヘッジが効いている」と述べた。消費者の好みが変われば在庫の割合を変化させればよく、景気が強ければ消費増が期待でき、景気が弱くても消費者は「お買い得感」を求めて来店するといった例を挙げて、業績の安定性に自信を示している。
ただ、仕入れコストの増加に歯止めがかかるのか、追加的な値下げなしでも売り上げを伸ばすことができるのかといった課題には、流通網全体の動向や雇用情勢といったマクロ経済的な要因も大きく働くため、予測は難しい。仮に投資家の期待に応えられなければ、株価に売り圧力がかかる場面も想定される。
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